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元祖 巴の龍#80

兵衛も大悟も、躱しながら少しづつ定継に近づこうとしていたが、菊之介は桐紗の真実が堪えて、動くことが出来ない。
火の玉が菊之介に向かっていった。

「あの愚か者!
大悟が体を滑らせて、菊之介に飛びついた。菊之介の体が衝撃で倒れ、かろうじて火の玉を交わしたものの、桔梗の太刀が宙を飛んで落ちた
大悟は菊之介の頬をなぐった。

「今は母上を助けることだけを考えろ!我らはそのために命懸けでやって来たのだぞ」
大悟に怒鳴られて、菊之介は目の覚める思いがした。

間髪入れず、再び火の玉が襲ってくる
菊之介は飛んできた火の玉に向かって飛び上がると、体をひねって廻し蹴りで火の玉を定継に蹴り返した。
それはロンが死んでから封印していたカンフーの技だった。


菊之介、太刀を取れ!
兵衛の声が聞こえた。
菊之介は火の玉を蹴り返しながら、桔梗の太刀の転がった方へ体をずらしていった。

蹴り返された火の玉のいっくつかは定継の体にあたった。
その都度定継は苦しそうにしていたが、やがてその一つが定継の目に当たった。さすがの定継も思わずのけぞり、一瞬火の玉の動きが止まった。

そのすきに菊之介は桔梗の太刀を取った。
その時定継の体を吹雪が襲い、体が凍り付いた。菊之介は後ろを振り向いた。流れる涙を拭いもせず、桐紗が手をかざして定継に向かって術をかけていた。

「今です、菊之介」
桐紗の言葉に迷う間もなく、菊之介と兵衛は定継に斬りかかる。
そして、大悟はの鋼の矢が定継めがけて飛んで行った。

矢が早いか太刀が早いか、定継に向かう三人の体からまた巴の龍の光が放たれ、彼らの力を倍加するように、一閃の光となって、太刀と矢が突き刺さった。
定継の体は氷が割れるように砕けていった。

桔梗の体がどさりと落ちる兵衛・大悟・菊之介が次々と駆け付けた。
兵衛は、初めて母を抱き起した。
「丈丸・・・梗丸・・・菊葉・・・」(幼名・兵衛・大悟・菊之介のこと)
桔梗は涙を浮かべながら微笑んだ。

よく三人とも生きていましたね。丈之介に伝えて・・・
「母上、父上にお会わせします」
兵衛が桔梗を抱きしめながら言った。桔梗は力なく首を振った。

「いいえ、私はもうだめです。それにこの十数年、菊葉(菊之介)の命を守るためとはいえ、この身を定継に捧げてきました。もう、丈之介には会えません」
大悟は桔梗の手を取り、震える声で言った。

続く
ありがとうございましたm(__)m

「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ

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