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エンドレスヒールⅡ-3.11 #13あさみの場合

(再び、2011年4月~)

「凄いわね。本当に書庫の並び変えはキツイわ。水月さんも疲れたでしょ?」
浅海達は バイト6人で昼食を摂っている。
皆 それぞれ お弁当を作ってきている。
「正確が一番。急がなくていいの。とにかく、ゆっくりでもいいから、きちんと並べ方を覚えて正確に並べること」

一番ベテランの赤城が、他の5人にも言うように、言っている。
「はい。」
浅海は返事をしながら、息をついた。
正直、上下左右、スクワットでのしているような動きで 本を移動・並べ帰るのは重労働だ。

今までも立ち仕事だった。
福祉・介護系の仕事は なかなか座ってはいられない。
天気が良ければ、利用者さんと散歩に出かけることも多かった。
いわゆる肉体労働だと感じた。
しかし、図書館も肉体労働だった。

座ってはいられないだけではなく、今回の震災のために現在は休館状態で、毎日毎日、本の並べ替え。
しかも、何段にもなる幅もある広い書庫。しかも、他の所の本が入っていたり、逆にどこかに飛んでしまったかもしれない本がある、書棚。
行ったり来たり、立ったり座ったり、時には重い本を何冊も移動したり。
順番を説明されたが、自信の無い浅海は、いずれにしろ不安だらけだ。

「今は、お昼だけでなく、他の時間にも休憩があるけど、開館するとお昼以外は休憩が無いのよ。」
「え・・・水分補給やトイレは?」
「交代の時、早めに降りて途中でトイレに行ったり。」
赤城は言葉を止めて、浅海を見た。

「あ、仕事中でも、トイレに行ってもいいのよ。体に悪いからね。」
浅海の不安が伝わったのか、赤城の説明が少し柔らかくなったように感じた。

2011年6月13日(月)
続く

エンドレスヒールⅡ-3.11 #13あさみの場合

かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

次回 エンドレスヒールⅡ #14はこちらから
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前回 エンドレスヒールⅡ #12は こちらから
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②エンドレスヒールⅡ あさみの場合 最初からはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n799a32079029


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https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921


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