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エンドレスヒール#18 -3.11

この物語はフィクションです。登場する人物、団体等は架空のものです。
3月2日(水)午前中(震災9日前)

和美は職場に「風邪」と話して休みをもらい、南へ車で一時間の、主治医の呼吸器科に来ていた。
「ツベルクリン反応の注射をしよう。」
ツベルクリン?
「あの・・・大きな病院を紹介するって・・・。」

「初めはそう思ったけど、大きい病院は混んでるし、ツベルクリン反応を見ないと、肺結核か判断できない。
長い時間待ってツベルクリンして、また長い時間待って結果を聞くより、ここで判断して、その間、肺炎の治療をした方が良いと思う。」

昨日のCTの結果は、
「好酸球肺炎。肺結核の疑いあり」
だったのだ。

「あの、仕事は。」
「肺炎なら仕事に出ても問題ないが。」
「感染症の疑いがある以上、行けませんね。」

また、欠勤。なんて、役立たずな私。
「好酸球肺炎で三日休むと言いなさい。」
医師の指示が決まった。

ツベルクリンをすると、看護師は
「48時間後に結果がわかるから、明後日、三日後の同じ時間に来て下さい。」
「点滴で毎日通うように言われましたが。」
「あ、肺炎の治療ね。そちらも、明日来て下さい。」

和美はベッドに移され、マスクをきっちりつけたまま、好酸球肺炎のための点滴をした。
肺炎・肺結核・・・肺がんでは、無かったが。

「がんかと覚悟してました。でも、結核なら、治るから安心しました。」
和美がそう言うと、看護師の顔がくもった。

肺結核。かつて誰でも受けていたツベルクリン。
今の日本は、かつてほど結核に敏感ではない。
しかし、実際には先進国で最も結核が多い国なのだ。
病状によっては、甘くない。

和美は、点滴を受け終わると、職場に
「好酸球肺炎で、三日間休みたい。」
と、携帯から電話した。

続く
2011年4月4日(月)

エンドレスヒール#18 -3.11

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SF作品
そして、またどこかの時代で

かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

次回 エンドレスヒール#19 へ続く
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