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カオル #17

柚季はシャワー室をでて、

カオルの待つベッドへと向かった。

期待で気持は昂揚し、胸がはちきれそうだった。

部屋には誰もいなかった。

ベッドに座っていたはずのカオルは消えていた。

柚季は最初 何が起こったのかわからず

立ちすくんでいたが、やがて事態を理解すると

その場に座り込んだ。

ショックで涙が頬をつたった。

カオルは柚季を傷つけることより

ひきょう者になることを選んだのだ。

柚季はそれから十日間 学校を休んだ。

やっと 出てきた日も、晃二をまともに見れなかった。

また学校も休みがちになり、

たまに出てきても晃二の目から逃げまくった。

晃二は柚季の態度が変わったことに疑問を感じていた。

奇妙なきっかけとはいえ、お互いの共通点が

心地よさを感じさせていた。

辛い家庭環境でありながら、

いつも明るくふるまっている柚季。

晃二と柚季にしか わかりあえないことが

増えるにつれ 学校で会うのが待ち遠しくなり

話をするのが楽しみになっていた。

その柚季が、どうも晃二をさけているようだ。

以前のように学校にまともに出てこない。

来ても姿を見かけると、

すぐどこかへいなくなってしまう。

二か月ほど過ぎた ある日、

珍しく柚季は学校に来ていた。

晃二は今日こそ柚季と話そうと、

心に決めた。

無視されるにしても理由がわからないでは、

このまま柚季と離れてしまうのは、

どうにも納得がいかなかった。

お昼休み、柚季はこの時間あたりで

学校を抜け出してしまうことが多い。

たいていは校門から堂々とだ。

今日も柚季は定番どおり 無断自主早退で

校門を通り過ぎようとしていた。

と 突然手が伸びて 柚季の腕をつかんだ。

晃二が、そこにいた。

柚季が逃げようともがいたが、

つかまれた腕は 決して振りほどかれることはなかった。

ありがとうございました( `ー´)ノ

カオル#18へ続く

カオル#17

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カオル#18こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n3c7e15a913c6

カオル#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/nb8d33d9d576f

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