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元祖 巴の龍#68(地図付)

一族うち揃っての祝いの席柄、洸綱は上機嫌だった葵はこまめに働いて、皆をもてなした。
そしていよいよ芹乃の手から、太刀が披露される時となった。

大きな風呂敷に包まれた太刀が取り囲む人々の中心に置かれた。芹乃は静かに包みを開いた。

すっかり姿を現した太刀は神々しいほどの光を放ち、カタカタと音を立てながらふわりと浮きあがると、すーっと菊之介の目の前に降り立ち、菊之介は太刀を掴んだ。

すると光は消え、音も鳴りやんだ。
菊之介はするりと太刀を抜き、目の前にかざした。太刀は一瞬きらりと光り、菊之介の手に収まった。

「どうしたことだ、この太刀は。まるで手に吸いつくようだ」
菊之介がつぶやくように言うと
桔梗の太刀は、菊之介を選んだようだな
と、洸綱が言った。
洸綱にしてみれば、妹の太刀であれば、兵衛が継ぐものと思っていた。しかし、太刀自身が決めたことを、誰も変えることはできない。


兵衛には、洸綱の気持ちがよくわかったが、あえて何も言わなかった。それよりも芹乃の方が気になった。
凛とした芹乃の姿は立派な刀鍛冶だ。兵衛には芹乃が眩しかった。


「何だ。二人揃うて、どうしたのだ」
兵衛は、太刀の稽古にひと区切りして汗を拭いた。大悟、菊之介が兵衛を訪ねてきていた。

「兄上、俺は望みの武器、鋼の矢をやっと手に入れた。菊之介も母の太刀を手に入れた。そろそろ母上を、救いに行きたいのだ
大悟が言うと、菊之介が口添えした。
「兄上、これは三つ口定継を倒す旅となるでしょう。
涼原一族の悲願が、三つ口定継を倒し、新城を奪還することであれば、兄上にもご同行願った方が良いのではないのかと、考えた次第です」

「わたしが行かぬと言っても、おまえたちは行くつもりであろう」
菊之介と大悟は頷いた。
「もとよりこの日が来るのは覚悟の上。まずは朱欄に行くのだな
「兄上、行っていただけるのですね」
菊之介が身を乗り出すと

続く
ありがとうございましたm(__)m

地図(モデルは九州ですが、私の線が下手すぎる。2001年作成)

現在「粛清に在住」これから山越えして「朱欄」に向かう


「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ

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