水野菜々緒の心音~小説「虹を紡ぐ人びと」④後のこと(物語の終わり、玲王中3・菜々緒小6から四年後)
水野菜々緒は歩いている。並んで歩いている。
「菜々緒、どうした?」
彼がいつもの調子で聞いてくる。
彼・佐賀玲王(さが れお)と知り合って、もう何年になるだろう。
菜々緒は小学校の時、不登校だったことがある。
母が連れて行ってくれたスクールカウンセラーの柏倉メンタルクリニック。
今思うと、先生は心療内科医、つまり精神科医でもあった。
そこで三学年上の玲王と初めて会った。
出会いは、さんざんで、まさかその後に彼と意気投合するなど、思ってもみなかった。
そして、お互い複雑な