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運命の王子様ってなんだろう?——喜多日菜子の「世界滅亡 or KISS」を聴いて

こんにちは!皆さん妄想してますか?
水原つえと申します。

アイドルマスターシンデレラガールズのキャラクターである、アイドルの喜多日菜子のキャラソン、「世界滅亡 or KISS」!お聞きになられたでしょうか。私は昨日買ってフル聞きました。

めちゃくちゃ良い!!!!!!!

あっちこっち急転する曲の雰囲気や、途中途中に入る早口の語りが電波曲好きな私を満たし、妄想としての完成度が乙女思考の私を満たしてくれました。最高。

まだ聞いていないひとはこっちの試聴から、

まだ買ってない人はぜひ買ってみてください!

iTunesとかのリンク貼ろうと思ったけどよくわかんなかったすみません!


聞いたかな?
※ここからネタバレ※

魔法使いさんと結ばれる展開が本当に好きだなあ、王子様なんていないなら私が決めるって言う展開に日菜子の強さを感じるなあ……と考えているうちに、曲中の妄想から、日菜子の王子様観を考え始めました。頭を絞ってまとめた結果がこの記事です。
喜多日菜子ちゃんについてはさほど詳しくなく、記事を書くにあたってメモリアルコミュと劇場の日菜子ちゃん登場回はさらったのですがイベントコミュとかその他もろもろはほとんど見ていないので、齟齬が起きるかもしれませんが、広い心で読んでくだされば嬉しいです。可能性の一つみたいな感じで……。
それから、「世界滅亡 or KISS」の「私」はほとんど喜多日菜子、もしくは喜多日菜子の妄想であるという前提でこの記事を書きます。こういうとこ、大事だよね。

「運命」の定義

運命の人と出会った、と聞いたら、あなたはどんな場面を思い浮かべますか?
一目見て恋に落ちた、運命だと感じた、という場面がまず1パターンでしょう。たいていのひとはまずこちらを思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし日菜子にとっての「運命」は、どうにもこちらではなさそうです。
日菜子にとって、王子様は待つもの、迎えに来てくれるもの。少なくとも最初はそうでした。なぜかと言ったら童話の影響でしょう。シンデレラを筆頭に、白雪姫も、眠れる森の美女も、王子に見初められ、求婚され、幸せになる物語です。日菜子はいつか王子様に見初められる日を夢見て、日々妄想していたわけです。
つまり、日菜子にとっての「運命の王子様」とは、一般的な「運命だと思った人」ではなく、「運命だと思ってくれる人」ということになります。もちろん、日菜子自身が運命だと思えなくては意味がないので、最終的には「運命だとお互いに思える人」ということになるのでしょう。(最終的に、とつけたのは、突然「君が僕の運命なんだ!」と言われて始まるストーリーも日菜子にとっては妄想しがいがありそうだな……と思ったからです。)
相手が運命を感じるほどに、強く愛されてみたい――日菜子がたまに口走る妄想の端々からも、そんな願いが読み取れます。そういう意味ではアイドルに向いている子です。
「世界滅亡 or KISS」でも、王子様を探しつつ、一番サビでは「見つけて!」「気づいて!」など、王子の側からアプローチしてほしい心が垣間見えています。
ちなみに運命の人と出会ったと聞いて考えられる場面のもう一つは、長く連れ添う二人が、過去を振り返って、あの時は今思えば運命だったと言うパターンです。

王子様の条件

前章ではああいったものの、デレステのメモリアルコミュ2の「王子様が現れたときに、選んでもらえる子じゃないとぉ……」という台詞から、自分は運命の人だと思ったけど選ばれないというパターンも考えられないわけではないようです。アイドルにスカウトされた時もそうですが、日菜子は王子様に見初めてもらうために頑張ろうという意識があります。シンデレラガールズ劇場740話「集中しますっ」では、妄想の中の王子様は一発でそうめんを救い上げた日菜子を見て「見ていたよ日菜子…素晴らしい技だ 今度は僕のためにそうめんを取ってくれるかい――」と言っていますが、このような「日菜子の魅力に気づいてそれを褒めて求めてくれる」というのは、運命になるための王子様側の条件と言えるでしょう。
曲中の二番では、冒険に出た主人公が、空にハートを描くなどして王子様への積極的なアピールを始めます。待つだけでなく探し求め、サビも「羽ばたけ!」「見ててね!」など、自身が活躍し、それを王子様に見てほしい、そして愛してほしいという形に変化しています。

二番が終わった後、主人公はピンチに陥り、曲調も変わってちょっとギャリギャリした感じになります。(以下歌詞の引用)

紅 染まる 夕暮れ
アブナイ 恋の憧れ
触れちゃダメと
わかってるよ…けど

たまに刺激も欲しい
もちろん優しさも欲しい
全部叶えて王子様

ヤケドしちゃうくらいの恋
夢見たって いいでしょ

ここは妄想と言うより完全に欲望のターンですね。アブナイ恋への憧れは普段の妄想でも見られます。優しさも欲しいし刺激も欲しいのは割とみんなそう。全部叶えてくれる王子様がいてくれたら最高ですが、王子様の条件と言うよりは、オプションに近いかなと思います。
そうしてアブナイ恋に走ったのかどうかはわかりませんが、日菜子は恋に破れた者たちの苦しみの満ちる戦場跡に来ます。日菜子はもがきますが、意識を失い、そこを助けてくれたのは――。

愛のかたち

魔法使いさんでした。「えへへ……♪」のかわいさやべえな。
魔法使いさんがずっと見守ってくれていたことに主人公はとても幸せを感じているようです。見守ることもまた一つの愛だと日菜子にはわかるからです。日菜子は王子様以外からの恋愛ではない愛も喜んで受け取ります。ファンに対して「いっぱい、愛をくださ~い♪」と呼びかけるセリフもありますね。

舞台装置のタイムリミット

運命の王子様が見つからないまま、世界滅亡の時が来てしまいます。
タイムリミットによって決断を迫られた主人公は、王子様などどこにもいなかったのだと考え、魔法使いさんを自分の運命の王子様だと決めます。
妄想の上でタイムリミットがもたらす役割は何でしょう?世界滅亡も、呪いも、それがキスで解けることもそれにタイムリミットがあることも、すべてときめきのための舞台装置だとしたら、それらは何をもたらすために生まれたのでしょう?
それは、不可抗力です。決して抗えない力、抗わない理由を与えてくれる力。タイムリミットが無ければ、日菜子は自分の王子様が見つかる希望を捨てきれないかもしれません。でもタイムリミットがあれば、魔法使いさんこそが自分の王子様だと決めることができる。
自分のことを自分で決めることは、とても尊いことです。自分の夢を自分で掴みにゆき、勝ち取ることも。でも人間のこころは複雑なので、時には誰かに、何かに決めてほしいのです。自分では決められないから、あるいは決めたくないから、何か強大な力に後押しされたい。
日菜子はやっぱり、本当は、王子様の側から運命だと告げてほしかったのではないでしょうか。王子様を待つということはそういうことでもあります。求めてほしいから待っている。でも同じくらい、もう王子様だと決めて、求めてほしいと告げてしまいたい気もする。でも、もしかしたら……思考は堂々巡りで、どちらかには決められません。だから、決めるしかない、どちらかを選ぶしかない状況になってほしい。それが、舞台装置としてのタイムリミットの役割です。

幸せな日常

王子様と(おそらく)キスをした主人公が目覚めると、そこはいつもの自分の部屋でした。ここまで大掛かりな旅が夢だったかもしれないと思うと落ち込みそうなところですが、主人公の日常はあくまで幸せに満ちて描かれます。王子様とのハッピーエンドは日菜子の夢ですが、それを妄想しながら過ごす日々も日菜子にとってはとても幸せなものなのでしょう。もしかしたら、ハッピーエンドは「いつか未来に」おいて、今はもう少し日常を楽しんでいたいのかもしれません。

王子様か魔法使いか

これまでをまとめると、日菜子にとっての「運命の王子様」は、日菜子が運命だと思える人で、日菜子の魅力をわかって褒めてくれて、そして日菜子を運命だと強く想って愛してくれる人、ということになります。王子様と魔法使いを分けるのは最後の項目です。
二人の間に積みあがるのは事実だけです。それを運命だと決めるのは世界ではなく二人。日菜子は、もしかして運命の王子様かもと思っていても、決定的な一言はなかなか口にしません。それは、王子様に、運命だと決めてほしいから。
王子様か魔法使いか、他のかたちで日菜子を愛するものなのか。決めるのは日菜子ではなくあなたで、日菜子はきっと、どれを選んでも喜んで、あなたの愛を受け取ってくれるのではないでしょうか。


以上、水原つえでした!
担当の氏家むつみを何卒よろしく頼みます。
この曲むつみ好きそ~~~、ハイテンションで日菜子ちゃんに感想言いに行ってほしい。


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