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(創作・詩)平良くんの秘密
平良(たいら)くんの家で出される紅茶は
いつもちょうどいい温度で、
少しだけ甘くて、
たまに、ショウガの味がして、
たまに、ハチミツの味がする。
ある日曜日の昼下がり、
平良くんは
電車を乗り継いで、
「秘密の特等席」に連れていってくれた。
![](https://assets.st-note.com/img/1674719566487-ysjK1LopTz.jpg?width=800)
二月なのに緑のある屋上庭園。
ビルや大きな神社の鳥居が見える。
空には雲一つない晴れた日和。
そこで出される紅茶は、
ローズヒップや
レモンジンジャーもある。
アイスティーもホットティーも
たくさんの種類がある。
紅茶に飽きたら珈琲も。
三段重ねのお茶菓子は
どのお菓子も小さなお城みたい。
果物でお化粧されて、
キラキラまぶしいんだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1674719639927-qIRLIGsGzv.jpg?width=800)
平良くんは
おうちでも紅茶を入れる時、
空気の匂いをかぐという。
その日が雨か晴れかで
お茶の温度をかえる
茶葉もかえる。
平良くんは
わたしにキスをするときも、
そんなふうにやさしい。
いつもやさしいから、
幸せなのに、涙がなぜか浮かぶんだ。
(これはもちろんフィクションの詩です。
写真は九段会館です。)
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