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初めての同人誌、幻の即売会

 「同人誌」というものがある。
 今までいくつも読んできたが、作ったことはもちろんなかった。商業誌と違い、まったくの自費出版であるから自分にその気があれば作れるわけだが、とはいえそんな手軽に……というわけにもいかなかった。
 まず、何をもって作るか、というところであったが、それまで私は絵を描くわけでもなく、文を書くわけでもなし。受けはすれど何かを出す、ということは一切してこなかったのである。 
 
 ところが、これにひとつ変化があった。2022年の秋頃から絵を描くようになったのである。もちろん(今もだが)決してうまいわけではない。それでも、今までの受け一方から少しではあるが出す、ということができるようになったのである。

 それでもそういったことは自分には縁のないことと思っていた。
 ところで現在私は「アイドルマスターミリオンライブ!」(以下ミリオン)というゲームをやっている。もうかれこれ3年位の付き合いになるわけだが、もはや生活の一部になっているといっても過言ではないくらいの存在となっている。 
 ある時、そのミリオンで知り合った人から「みずしまさん、今度のISF(簡単に言うとミリオンを含むオンリーイベント)出ますよね???」と誘われたのである。最初は冗談で言っているのかと思ったが、その後も何回も誘われ、そのうち「出てみようか?」という気持ちになってきた。
 
 結構悩んだ。その話を持ち掛けられたのは去年の12月くらいだったような気がするが、出ると決めて、申し込みをしたのが今年の1月30日。締め切りの一日前であった。
 その後無事に当選したのはいいのだが、肝心の本については今までSNSに上げたイラストの再録をする、ということ以外には何も決めていなかった。まだ時間はあるし、この月(2月)の下旬にはライブもあるからそれが終わってからでもいいかと考えていたら、ひどい風邪をひいてライブは行けなくなった。その上潰瘍性大腸炎にまでなってしまい心身ともどもそれどころではなくなってしまった。

 ようやく考えられるようになったのは4月も終わろとしていたころ。
 時間も少しずつ迫っていたので、いい加減やらないと…と思い少しずつやり始めていったわけだったが、振り返れば大変だったが楽しい日々だったように思う。なにせ、本を作るための基礎知識すらない状態である。いろいろ調べて「これでいいのか?」と試行錯誤。また、他の方たちと作業通話をしながらの作業はまるで学生の頃を思い出すようで楽しかった(いろいろアドバイスなども頂けて助かった)。

 そうして5月の終わり、ようやく1冊の本が出来上がり、あとは届いて当日を待つだけとなった。

 しかし、二度あることは三度あるという言葉があるように、6月の上旬、また風邪をひいてしまった。しかも一度は熱まで出てしまい参加危うし、と思った。が、さすがに当日まで時間があるから、少々時間はかかったが当日の一週間くらい前には落ち着いてきた。
 これで安心したのが良くなかったのか、あるいはこの半年体力がすっかり落ちてしまっていたのか、もう一度風邪をひいてしまい、さらには出発の直前にぎっくり腰までやってしまう始末。ここまでやってしまってはもうどうしようもない。泣く泣くイベント準備会側に欠席の連絡を入れ、チケットを払い戻した。
 家には頒布するはずだった30冊の本とそのほかの小物たち。初めての同人は幻と消えてしまったのであった。

 これまでの努力が全く無駄になったかといえばもちろんそうではないと思うが、それでも一番の目的がなくなってしまったのである。
 正直、一人置いてきぼりになったような感覚が残った。しかしこればかりは(自分のことであるが)仕方ないことであろう。
 
 次回のISFは11月と聞いている。ミリオンの11thライブと近いので果たしてどっちも行けるかは微妙だが、できるなら両方行きたいと思っている。このまま中途半端のまま終わらせたくはないから……。(終)

今回頒布予定だった本の表紙

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