函館本線923D(2024.1.3)
年が明けて令和も6年になった。年明けより波乱であり、誠に心が痛いところである。
そんなわけで、なんとなく出かけるのがはばかられるような雰囲気もあるような、ないような、微妙な空気感を感じていた。が、このまま家にこもっていても仕方がないし、やりたいことはやれるときにやっておくに越したことはないので、ここは出かけることにした。
かねてより乗ろうと思っていた列車はいくつかあったのだが、この923Dはそのうちのひとつで、唯一札幌発で旭川まで直通する普通列車である。もちろん、途中の各駅に停車する。
この区間は全線電化しているのだが、タイトルの通り列車番号は923D。Dとある以上気動車で運転している。聞いた話では、この列車は運転所のある苗穂から旭川方面に気動車を回送するついでに客扱いをしているとのことらしい。
この列車の札幌発は5:54。つまり、乗るには朝4時に起きないといけない。ところで私は朝にとても弱い。結局ギリギリに起きて駅に着いたのは列車の発車間際であった。
1月3日といえば世間はまだ正月休みである。同じ目的の人たちであろうか、早朝というのに列車はボックスに一人以上はいる具合に埋まっており、空席を探したが、結局、進行方向と逆側の相席しかなかった。
この一週間ほど前であったか、雪のためにこの列車が岩見沢で打ち切りになったという話を聞いていたが、今日は定刻に発車した。
乗客の大半は私含め乗るのが目的の人たちであるようであったが、始発ということもあって朝帰りらしい一団も見かけた。
始発列車というのはどうもなにか独特の雰囲気がある。時々別の方面であるが、始発に乗ることがある。その列車もやはり同様のきらいがあるように感じる。
さて、札幌から旭川というのは距離にして約136キロ、特急だと1時間半もあればついてしまう。それを全部の駅に止まりながら行くので、この列車はその倍の時間、つまり約3時間かけて進むのである。
そのため、途中の駅であとからやって来る特急に3本も抜かれる。ここまでのんびり行けばある種の贅沢ともいうべきか。
この時期の北海道ともなれば朝も7時前後にならないと空が明るくなって来ない。しばらくは暗闇の中を走ることになる。夏の季節なら朝焼けの中気持ちの良い風景を眺めながら行けるのであろうが、外が暗くては外を見ても自分の顔しか映らない。どこを走っているかよくわからないうちに、気が付けば江別まで着いていた。
江別を出ると次は豊幌であるのだが、ここで車掌が回ってきた。駅間が長いのだろう。この後何回か回ってくる場面があったが、決まって巡回をする区間があるのだろうか。もっとも、皆きっぷは持っているのが大半なので、特に対応をする場面もなく、そのまま乗務員室へ戻っていった。
岩見沢に着いた。ここで初めて後続の特急に抜かれる。札幌からのライラック1号である。
車内にずっといるのも疲れてくるので、一回外へ出た。1月の早朝である。とても寒く感じた。また、ホームが凍っているところがところどころありよく滑った。転んで線路に落ちては一大事である。そろりそろりと歩くようにして車内に戻った。
それにしても眠い。朝早かったのもそうだが、寝不足であった。
席は途中で2人掛けのところが開いたのでそっちの方へ移っていた。相変わらず後ろ向きであったが、これで少しは落ち着いてきた。
この辺りまで来ると時刻も7時頃。すっかり空も明るくなって周りの景色も見えるようになってきた。
周りに遮るものもあまりない。ここは空知平野のその中である。
美唄、奈井江、砂川と過ぎて滝川に着いた。この駅は根室本線への乗り換えであり、何度か使ったことがあった。もっとも、ホームに降り立ったのはもう何年前の事であっただろうか。ここの1番ホームから釧路行きの列車(2429D)に乗ったことがとても懐かしい。
この頃はまだ、不通区間もなくなんの問題もなく乗ることができた。その時は相席にはなったものの、進行方向と同じ向きで座れた記憶がある。ただ、富良野までは一両であったので空いてはいなかったような気がする。
JRとしてはもちろん混むほど乗ってくれた方がいいのであろうが、乗る側の人間としては空いているほうがよい。特に私などは人の多いところがどうも苦手なので空いているほうが助かるのであるが、それはただのわがままにすぎない。
少し話がそれたが、ここでも特急に抜かされてゆく。2本目であるが、これは網走へ行くオホーツク1号である。一昨年の秋に乗ったときはちょうど先代の車が引退する頃であった。今の車になってから見るのは恐らく初めてであったが、どうにもなれない。もともとは釧路行きのおおぞらなどで使用していたものであった。
年始ということもあって、5両編成である。近年、編成がどんどん短くなる中で、5両あるとある種の風格というかそういったものを感じる。普段は3両で走っているので、そうなるとちょっと寂しいような気もする。
ところで、札幌から車掌が乗っていたが、これはこの滝川までである。電車列車であればこの先も車掌の乗務はあるはずだが、これはワンマン運転に対応した気動車である。乗車人員を鑑みてもワンマンで問題ないということであろう。
ここまでに車掌の対応を見たのはきっぷを買う人が一人いたくらいで、あとは特段何かをしている様子は見かけなかった。
そういえばここまで席はそこそこ埋まれど、立っている人は見かけなかったような気がしたが、このあたりからそういった人をちらほら見かけるようになった。また、外国人らしき一団も見かけたが、これは観光客の類とも思えなかった。おそらくここに住んでいるのだろう。そういえば外国人労働者もずいぶん増えたような気がする。札幌ならともかく、こういった地方まで見かけることは数年前までそんなになかったような気がする。
深川に着いた。ここで3本目の特急に抜かれる。札幌からのライラック3号であるが、車内が少々混んできたのもあってここでは外に出なかった。
ふと目を外にやるとひとつ小さなホームがあった。6番ホームで、主に留萌本線用となっているところであるが、よく見ると、18:09の列車以外は4番ホームからの発車である旨が書いてあった。
ここからはすっかり寝てしまったのであまり覚えていない。ただ、3時間という時間も意外とすぐ過ぎていったように感じた。
旭川にはほぼ定時に着いたと思う。すぐに9時ちょうどの札幌行きがあるのでそれで帰ってもよかったのであるが、それだとさすがに味気ないし、車内の様子を見ると混んでいるようであった。10時に次の列車があるのでそれで帰ることにした。
さすがに旭川まで来るととても寒い。写真を撮る手も震えてくる。稚内行きの宗谷が来たあたりでホームを出ることにした。
改札のモニターを見ると夜の20時まで札幌行きの指定席は満席の表示があった。今日が何日であるか考えれば何も不思議なことはない。
構内のお店で蔵生を買った。なんとなく気が向いたのでこれは職場にもっていこうと思ったのである。
そのうち列車の改札が始まったのでホームへと向かった。すでに列車は着いていて、自由席の適当なところへ座って発車を待った。
少し前に別の列車があったのか、それとも時間が中途半端だったのかはわからなかったが、思ったより混雑してる様子もなかった。
40年前の車のボックスシートに3時間も腰を預けた身としては特急の座席などは比べるまでもなく快適であった。
札幌まで1時間半。あっという間だった。
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