松野太紀さんの訃報によせて

どこで気持ちを整理したら良いのかわからなかったのでこちらに。
昔はブログというものをやっていたんですが・・。

まずは、松野太紀さんに心よりお悔やみ申し上げます。

私は金田一少年の事件簿が大大大好きで、間違いなく私の人生に影響を与えた作品の一つ・・というか一番影響を与えている作品だと思っています。
例えば今後人生で、一つの漫画しか読んではいけないということになったら間違いなく「金田一少年の事件簿」を挙げます。
よくTwitterでは「ラブライブは人生!」と言っていましたが、それと同じように「金田一は人生」なんです。Twitterはラブライブでつながったフォロワーさんが多いので、あまり金田一のことはつぶやいていませんでしたが。

金田一は、私が初めて自分のお小遣いで買った漫画でした。
きっかけは、確か友達のお兄ちゃんの部屋に金田一の漫画が置いてあって、そこで「オペラ座館殺人事件」を読んだことだったと思います。まだ小学校低学年とかそれくらいの時でした。
それまでテレビで火サスとかは親が見ている横で見てたんですが、漫画でミステリーを読んだのはもちろん初めてで、(結構グロいので)怖かったけど、それに勝る推理のワクワク感が勝ったのを覚えています。
それからはどんどん金田一の魅力に取り憑かれていき、気づけば自分で漫画を買うようになっていました。
どうしてそこまで金田一が好きになったのか、語ると長くなるので今回は割愛しますが。。
発売日に自転車でTSUTAYAに買いに行くのが本当に楽しみだった。

そうこうしているうちにアニメが始まって(当時どうやってアニメ化を知ったのかは覚えてないけど)、初回放送のとき、ドキドキしながらテレビの前に座って、あのロゴが映し出されて、OPテーマが流れた時の感動は、まだ鮮明に覚えています。

美雪が喋る。一が動く、喋る。
すごく新鮮だけど、自然にスッと入ってきて、まるで昔から知っていたような感覚でした。
ずっと私が頭の中で再生していた一と美雪そのものだった。それくらいお二人の声も演技もあまりにも自然で、ぴったりだったんです。たぶん当時原作を読んでアニメも見てた金田一ファン全員そう思ったんじゃないかな・・・。
一と美雪だけじゃなく、剣持警部も、明智警視も、みんな本当にはまり役で、漫画を読んでた時の脳内再生がそのまま具現化したみたいな感じでした。
金田一少年の事件簿のアニメが放送される月曜19時は、毎週の、一番の楽しみになりました。

どれだけ楽しみだったかっていうと、
当時我が家では必ず18:50~57分頃までNHKの天気予報を点けていたんですが、その後1,2分の番宣があって19時のニュースが始まるんですよね。
で、その19時のニュースが始まる3秒前から「ピッ、ピッ、ピッ、ポーン」っていうカウントダウンがあるんだけど、
私は18:55頃にテレビの前にスタンバって、そのカウントダウンの19時ピッタリの「ポーン」に合わせて4チャンネル(金田一の放送)に変えるっていう遊び?儀式?を毎回やっていたというw意味がわからないですね。
そんな儀式?をやっていたのは、あとにも先にも金田一のアニメだけでした。それだけ「金田一」は特別だったんだと思います。

それから第一期のアニメが終わるまでの約3年間、ほぼ欠かさずリアルタイムで見続けました。
見逃した(録画)のは、本当に1.2回あったかどうか・・・くらいだと思います。
5分前にスタンバって、19時に儀式(笑)を行って、アニメを見て、EDを見終わって、母から「終わった?ご飯にするよ」って声をかけられて、夕ご飯を食べる。これが私の月曜日でした。

続編の放送時はすでに社会人になっていたのでリアタイはできなかったのですが、それでも録画して毎回欠かさず観ていました。

松野太紀さんが金田一一を演じられていたということを認識するのは、第一期のアニメ終了からしばらく経ってからです。
(当時は声優が誰とか全く興味なかったし、今のように最後のクレジットをチェックするようなこともなかったので)
ただ、認知する前から、一の声の人はすごいな・・と幼いながらに感じていたのを覚えています。
普段のぐうたらでスケベでちゃらけた一と、事件を解いている時の冷静で真剣な一、犯人に対して涙ながらに声を荒げて必死に説得する感情的な一。一の最大の魅力とも言えるそのギャップを完璧に演じ分けられていて、それでいてなんの違和感もなく自然に耳に、心に入ってくる。すごいな、と思っていました。(当時は幼かったのでこんな風に言語化はできなかったけど、当時の感覚を振り返るとこんな風に感じていたんだと思います)

どんな作品のどんなキャラもそうだとは思いますが、ことに金田一一は、松野太紀さん以外考えられないというほどはまり役でした。あまり自然体で、松野太紀さんが「金田一一」そのものでした。
これまで「原作を知っていてアニメ化される」という経験は何度もしてきましたが、私の中では間違いなく金田一一が一番違和感がなかったと断言できます。

ウィキペディアが世に出てきた頃、ようやく金田一一の声は松野太紀という声優さんが演じている、ということを認知しました。金田一を演じるにあたっての苦労話なども知ることができました。一番印象的だったのは「謎解きの回は、30分ほぼずっと一が喋っている。そんなことは普通のアニメではほとんどないので、どのように演じれば良いのかかなり悩んだ。悩んで、収録に行くのが怖かった時期が何年もある」というインタビューです。
松野さんは当時おそらく30歳そこそこだったと思います。まだまだ声優として駆け出しだった頃に、前例のほとんどないような役をあそこまで完璧に演じたのは、才能と努力の賜物だったんだろうと思います。
金田一一というキャラクターと真剣に向き合って、本気で演じてくださってありがとうございました。過去形にするのは悲しすぎるけれど・・。

松野さんが演じる金田一一のセリフに何度も涙したし、いろんなことに気付かされたし、ときには美雪との掛け合いでキュンキュンしたりもしました。漫画では何気なくスルーしていたセリフも、アニメを見て松野さんの演技でハッとさせられたことが幾度もあります。
改めて、才能に溢れたすごい声優さんだったんだなと、そう思います。


確か去年だったかな?Youtubeで金田一のアニメが限定公開されていたことがありました。
見つけた瞬間狂喜乱舞して、期間終了までの間、暇さえあればずっと見ていたんですよね。
リアタイしていた当時、実は録画はしていなかったので(録画はリアタイできない時にするものというイメージだった)、アニメを見返すという機会はほぼありませんでした。ビデオをレンタルして見返したことが1回くらいはあったのかな・・?あったような気もするしなかったような気もするし。
だけど、Youtubeで限定公開されたアニメを見た時、「次はこういうシーンでここはこういうセリフで・・」って、鮮明におぼえてたんですよね。もちろん忘れてる部分もたくさんあるけど。たった1回、何年も前に見ただけでこんなに覚えてるもんなんだってびっくりしました。やっぱりそれだけ私にとって印象的で特別だったんだなと思います。

今年に入って、今度はアマプラに金田一が入ったことを知りました。
嬉しくて嬉しくて、140話近くを2日くらいで一気見したと思う。笑
見終わってからは作業BGMとしてほぼ毎日ずっと流していました。誇張ではなくホントにほぼ毎日。
衣装が修羅場の時も、金田一のアニメを流すと頑張ろう、やろう!って気持ちになれた。

そしてつい3〜4日前、本当に偶然というか、今思えば虫の知らせというか・・・・
ふと、「松野さんって今おいくつなんだろう?」って思ってウィキペディアで調べて、あぁ56歳なんだな、って。だったらまだ全然金田一のアニメやれるな、アニメ化されてない続編もたくさんあるし、37歳の事件簿もあるし・・って思って。本当につい最近のことでした。
その時に、「(不謹慎だけどいつか人は死ぬから)もし松野さんがお亡くなりになったら、私絶望するんだろうな」って、そこまで考えてたんですよ。信じられない話なんですが。
「金田一一」という私にとってあまりにも特別なキャラクターを、唯一無二で演じられる松野さんがいなくなったら…って考えただけで辛くなったので、その時はひとまず考えないことにしてウィキペディアを閉じ、青二プロのサイトで松野さんのサンプルボイスを聞いて、「やっぱ素の声で一だな(笑)」って思って、ついでに松野さんのTwitterを見に行って、お元気そうでよかったなって思ってTwitterを閉じて・・・。本当に3〜4日前のことでした。


私にとってあまりにも特別な作品、特別なキャラクター、それを演じてくださっていた(もはや演じるというより一そのものだったと私は思っている)松野太紀さんがもうこの世にいないというのは、信じたくない事実です。
もし今、神様が誰か一人を生き返らせていいよって言ってくれたら、真っ先に松野さんの名前をあげると思います。
だけどもう、帰ってくることはありません。

昨日はあまりにも辛くて、いつも作業BGMにしていた金田一のアニメを流すことはできませんでした。
続編も37歳の事件簿も、もしアニメ化することがあったら、当然のように松野さんの一で見られると思っていたのに。
永遠に叶わなくなってしまった。本当に何も言葉にできないくらい悲しくてやるせないです。

だけど、いつまでも立ち止まってはいられないから。松野さんが全身全霊で演じてくれた金田一少年の事件簿という作品を、これからもずっと大切にしていきます。

松野太紀さん、金田一一に命を吹き込んでくださって、本当にありがとうございました。
あなたが金田一一でよかったと心から思います。
きっとやり残したこと、やりたかったことがまだまだたくさんあると思います。天国で、それができていて欲しいと願っています。

あなたが演じた金田一一を、ずっと忘れないし、ずっと大好きです。
どうか安らかにお眠りください。

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もしここまで読んでくださった方がいらっしゃったら、私の気持ちの整理の駄文長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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