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Wayne Shorter & Milton Nascimento. Native Dancer (1975)

 ウェインショーターが亡くなりました。訃報を目にすると寂しさやショックはもちろん後追いである事の残念さやリアルタイムのリスナーが羨ましくもあります。

今回紹介する本作はウェインがブラジルの声とも言われる歌手のミルトンナシメントを迎えて制作されています。これはウェインがブラジル出身の女性と結婚しており彼女からミルトンと会う事を勧められ会ったところ共演が決まったそうです。本作の翌年にはほぼ同じメンバーで録音されたミルトンナシメント名義のアルバムもあります。

メンバー
ウェインショーター:テナー、ソプラノサックス、ピアノ
ミルトンナシメント:ボーカル、ギター
デヴィッドアマロ:ギター
ジェイグレイドン:ギター、ベース
ハービーハンコック、ワグネルチゾ:キーボード
デイブマクダニエルズ:ベース
ホベルトシルヴァ:ドラム、パーカッション
アイアート:パーカッション
ワグネルとホベルトは当時のミルトンのバンドのメンバーです。ギターとベースでジェイグレイドンの名前があるのが異質です。

Ponta De Areia
ミルトンの年齢や性別を超えた不思議なハイトーンボイスが美しいナンバー。この曲のミルトンの声よりも美しい男性ボーカルは聴いた事がないです。ウェインのサックスも美しいですがミルトンの声が良すぎて霞んでしまいます。

Beaty And The Beast
ウェザーとはまた違ったタッチのリズミカルなフュージョンナンバー。ウェインのソロはとっつきにくい感じですがここでは歌うようなフレーズで聴きやすいです。

Tarde
ハービーのエレピが美しいメロウなバラードナンバー。ミルトンの落ち着いた声がまたいいです。

Miracle Of The Fishes
躍動感のある素朴なリズムがかっこいい曲。ミルトンのボーカルやウェインのサックスは素朴というよりも高貴さを感じます。

Diana
スピリチュアルジャズ風のリズムの曲。軽く漂うようなサックスとクラシカルなピアノが美しいです。

From The Lonely Afternoons
ミルトンの地声と裏声を行ったり来たりするスキャットが印象的なアグレッシブなジャズナンバー。

Ana Maria
ウェインが妻に捧げたナンバー。浮遊感のあるサックスが美しくミルトンが歌わない曲の中では1番好きです。

Lilla
エレクトリックマイルス風の演奏をバックにファルセットでスキャットする曲。アルバム全体のの雰囲気とは異なりますがベースをはじめファンキーなリズムがかっこいいいいのでこれはこれでありです。

Joanna’s Thene
ハービーが映画「狼よさらば」のサントラとして書いた曲。リリカルなハービーのピアノとウェインの抑えつつも情熱的なデュオでこの曲もアルバム全体のの雰囲気とは異なりますがこれはこれでありです。