笠井紀美子. We Can Fall In Love(1976)
日本人のジャズミュージシャンには疎いですが渡辺貞夫さんと上原ひろみさん、今回紹介する笠井紀美子さんは好きでレコード(CD)は見つけたら買うようにしています。本作はシカゴ録音でプロデューサーにテオマセロ、アレンジャーにリチャードエヴァンスを迎えたソウルとジャズを融合したアルバムでレアグルーヴ好きならみんな気にいるであろうA面もジャズ度高めのB面もどちらも最高の一枚です。
メンバー
70年代にしては珍しくメンバーが分かりません。しかしシカゴ録音でリチャードエヴァンスが編曲、シンガー兼キーボード奏者でシカゴを拠点にしたテニソンスティーブンスのIn Commonをカバーしているあたりシカゴのミュージシャンが中心なのは間違いなく、キーボードはテニソンの可能性が高そうです。また74から75年にテニソンは同じシカゴ出身でプライベートでも親交のあったギタリストフィルアップチャーチと連名のアルバムをKUDUからリリースしている他、76年にはナタリーコールのアルバムに2人で参加しています。テニソンが本当に参加していればこのアルバムの録音にフィルが参加している可能性もありえます。(ギターの音はフィルに聞こえなくもないです。)
We Can Fall In Love
ネチネチしたワウギターがかっこいいディスコ受けも狙えそうなリズミカルなソウルナンバー。後半のリズミカルなラッパとスキャットの掛け合い、ブルージーなギター、掠れたトランペットがかっこいいです。
In Common
前述の通りテニソンスティーブンスの曲。リリカルなピアノが印象的な切ないジャズバラードです。
Love Don’t Nobody
ジャズよりのバラードナンバー。高揚感のあるピアノやリズムギターが印象的です。
This Masquerade
レオンラッセルのカバー。レゲエタッチのアレンジでベースはほとんどダブといってもいいサウンドでクセになります。後半はサックスを中心にジャジーな展開です。
God Bless the child
ビリーホリデイの曲。ケニーバレルとB,S&Tのバージョンを参考にしたであろうギターとホーンの使い方が印象的です。また重たいベースがブイブイ鳴っているのがかっこいいです。
Being In Love
ジャジーでポップなタッチの曲。スウィンギーなリズムといいミュートトランペットといいレトロなタッチでそこが好きです。
Along The Nile
モダンジャズ風の演奏ですがよく聴くとアープシンセのような音が聞こえます。気だるいボーカルが印象的です。
Today, Tomorrow And More Than Yesterday
ジャジーでフリーソウルっぽさもある曲です。ソフトなボーカルとリズムギターのようなクラヴィネットが印象的です。
この後一枚日本で録音した後再びアメリカで録音(ヘッドハンターズやシダーウォルトン、ベアードアイグナーと豪華すぎるバックです。)そして来日したヘッドハンターズと傑作を録音します。