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Herbie Hancock . Flood(1975)

日本で録音されたライブ盤はいいものが多いですが本作もそんな一枚です。ヘッドハンターズのライブはVSOPのニューポートの追想や再結成後のものはありますが1番いい時代の音源をフルで収録したものはこれが唯一です。気合の入ったジャケやすごく良い音質など日本のスタッフの気合も感じる一枚です。

メンバー
ハービーハンコック:アコースティック、フェンダーローズ、クラヴィネット、アープシンセ
ベニーモウピン:サックス(テナー、ソプラノ)、バスクラリネット、フルート、パーカッション
ポールジャクソン:ベース
マイククラーク:ドラム
ビルサマーズ:パーカッション
ブラックバードマックナイト:ギター

この時代の黄金メンバー+ブラックバードの編成はスタジオ盤ではない(はず)の組み合わせです。ブラックバードはこの後Pファンクへ合流します。

Introduction / Maiden Voyage
ハービーのアコースティックピアノから始まります。アコースティックのハービーらしさの詰まった美しいピアノソロです。最後の1分頃になってドラム、ベース、フルートが入ってきます。ポールの重量級のベースがかっこいいです。

Actual proof
メドレー形式でこの曲へ移ります。ファンクナンバーですがハービーはアコースティックピアノのままなので新鮮な感じです。暴れ回るポールのベースとハービーのピアノのぶつかり合いがスリリングでとてもかっこいいです。

Spank-A-Lee
前半はヘッドハンターズのみの演奏でマイククラークのベイエリアスタイルのドラミング、ポールのスラップやウッドベース風の音を交えたベースやブラックバードの引っ掻くようなリズムギター、ビルサマーズの熱いコンガ、ベニーの丁寧なテナーなど各メンバーが気合の入ったソロを披露しています。後半に入ってハービーが入ると初めてクラヴィネットやエレピを弾いていきます。

Watermelon Man
オリジナルに近いスタイルで演奏していますが笛のイントロからテーマ、サックスではなくイントロ、サックス、テーマという順番になっている他ハービーのキーボードとベニーのサックスは結構アドリブ多めです。

Buttfly
曲の前にハービーが日本語で挨拶をします。ミステリアスなサウンドの曲でベニーはサックスとバスクラリネットを同時に吹いていますがこれは実際に二つ同時に吹いたのかどちらかは別録りなのかちょっと気になります。ハービーはシンセとエレピをメインで弾いています。パーカッションソロがアウトロというちょっと珍しい終わり方です。

Chameleon
シンセの不気味なイントロからスタート。Watermelon Manもそうですがマイクはオリジナルはハーヴィメイソンが叩いていた曲ではハーヴィのプレイに近づけている気がします。エフェクターを繋いだホーンとファズギターのユニゾンやオリジナルではシンセベースで弾いていたリフをエレベで弾いていたり、機械音やノイズのようなアナログシンセソロなどスタジオ盤とはかなり違うサウンドで面白いです。

Hang Up Your Hang Ups
オリジナルではワーワーワトソンのワウを使ったリフでスタートしますがここではドラムとパーカッションのデュオから始まります。ブラックバードとポールの2人があのリフを弾いています。アドリブパートはメンバーそれぞれの個性の出たプレイでChameleonのような奇抜なプレイは控えめです。最後曲が終わるともう一度ハービーが日本語で挨拶をして終わりです。