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FiNC代表取締役CEOの退任と50億円の資金調達等の発表について。

新年、明けましておめでとうございます。昨年も大変お世話になりました。

毎年、年末年始は修行僧のような生活をしているのですが、今年は人生初めて海外で元旦を過ごしました。

2019年も本当にいろいろなことがありました。中村アンさんを起用した初めてのTVCMや、コンテンツクリエイター集団クリエイスマイルラボ社の買収、また日本テレビと共同で実施したカラダWEEKの億ウォーク等々、昨年はインパクトのあるイベントを経験させてもらいました。お陰様でヘルスケアプラットフォームアプリ「FiNC」は2019年11月に800万ダウンロードを突破し、App Storeのヘルスケア&フィットネス部門のセールスランキングで年間を通して1位を獲得できました。

本日も新たに約50億円を超える資金調達を発表し(累計150億円)、また本日、アプリ内のAI(DL)による「食事画像解析機能」を大幅アップデートしました。本件に関連した大型特許で食事画像解析機能に関する特許の取得も発表しました(累計60件の特許取得)。さらに本日よりテレビ朝日にてフィンク1分フィットという番組をスタートします。(エクササイズを習慣化してもらいたいので、毎週月・火・水・木 0:45〜0:50で放映します)

詳細は下記をご覧ください!
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※調達先が非公開なのは、それぞれの会社に確認が取れてなくて…今回も素晴らしい企業ばかりです!

そんな中、タイトルにもあるように、2019年のまさに年末に実施した取締役会でFiNCの代表取締役CEOを退任しました。代表は降りますが、引き続きFiNCのVISION実現に全てを捧げてきた創業者として、FiNCの行く末に責任を有す筆頭株主として、FiNCの成長をしばらくは縁の下で支えながら、私自身は学習期間を設けた後に、新しい挑戦を始めたいと思います。

2012年4月にFiNCを創業して以来、「一生に一度のかけがえのない人生をサポートする」というビジョンの下、まだ轍のない、世界でどの企業も成し遂げていないヘルスケア・ウェルネスプラットフォームを作り、日本や世界のココロとカラダの健康を引っ張っていくリーディングカンパニーを目指してきました。
 
こうしたFiNCのVISIONに賛同して下さる多くの方々のご支援のおかげでプラットフォームの基盤を構築することができ、FiNC Technologiesという新たな社名の下でビジョンの実現に向けて邁進しています。
 
ここからさらにVISIONに近づけるには、更なるテクノロジー/AIへの投資と意思決定速度の向上や、数多の観点から葛藤を重ねて、これまでCTOとして共にをFiNCを創ってきた南野にFiNC Technologies全体の舵取りも委ねることにしました。
 
我々が歩んでいるのは世界でまだどのプレイヤーも大きな成功を収めていない予防ヘルスケア×テクノロジーの領域です。前例のない大きな挑戦を続けるベンチャー企業ゆえに、まだまだ課題だらけです。ですが、昨年(2019年)収益も前年比で2倍成長し、またどの角度から考えても、これからの世の中で市場としては求められ、そして伸び続けるであろう予防ヘルスケア×テクノロジーの分野において、最も多くの人に使われている国内No.1のプラットフォームの地位を確立し、また特許や人材や資金をはじめとした圧倒的な参入障壁を築くところまで成長しました。

昨年が最も多方面に大きな投資をした1年でしたが、お陰様でサービスやプロダクトの認知や開発も進み、またあらゆる領域に張ってきたこともあり、集中すべきエリアも明確になってきました。そうした中で、FiNCにとって今のフェーズは、僕よりも南野の方が良い方向にFiNCを導けるという結論に至りました。

もちろん、この決定は創業者である自分にとって決して容易なものではありませんでした。この重たい意思決定ができたのは二人三脚で一緒に苦楽を共に乗り越えてきた南野が成長したこと、また素晴らしい仲間が続々と加わったことでFiNCの組織が過去最高に安定し、強くなってきたことにあります。

これまで創業者としてトップダウンの経営スタイルを続けてきたこともあり、僕の器が会社の到達点の高さを決める、そのために必要なのは自らに課す負荷の総量だと思って今日まで生きてきました。学もなければ、育ちも悪い、この道でしか生きてこなかった僕のような人間は、人が休んでる時に努力しないといけないと思い、日中はあらゆる誘いを断り、FiNCに関係する仕事に集中し、友人とのランチや後輩や先輩とのお茶さえも、すべて週末か二次会、無我夢中でストイックに仕事に向きあってきました。そうした僕のVISIONに向き合う熱量が混沌や逆境を乗り越える原動力にもなれば、時に組織を疲弊させることも多々ありました。

ですが、創業から7年半が経ち、気づいたら強くて逞しい組織になっていました。ですから、資金調達をはじめ、新しい飛躍の機会がめぐってきたこのタイミングで南野に舵取りを委ねると同時に、僕自身は、少し学習期間を設け、さらに大きな未来を描き、それを形にするために必要な新しいマネジメントスタイルの確立と、膨大なインプットに時間を充て、次なる挑戦に備えるつもりです。

もとより、トレーナーという仕事も主役のお客様を陰から支える仕事です。

FiNCにいる僕に近い存在の人なら何度も耳にしたことがあるかと思いますが、僕は代表というポジションに強い執着はありません。最も関心があるのはビジョンの実現であり、これまでもFiNCの未来を考えて、自分よりも社長にふさわしい方に、そのポジションを提示して採用を本気で目指した方もいました。ですから、当時、南野が東大エンジニア集団と共に創業し、CEOを務めていた会社とFiNCが合併した時からずっと、「いつかCEOをやるつもりで頑張ってほしい」と伝え続けてきたし、本人も成長するために自分がFiNCの舵を取る挑戦をしたいという気持ちもありました。
 
今日までを振り返ると、本当に様々なことが起きたとても濃密な7年半でした。失ったものも、犠牲にしたことも、陰で身に覚えのない批判に晒されることもたくさんありました。ただ、南野や仲間達とともに、それでもめげずに、腐らず、ビジョンを追い続けることを忘れずに共に歩んできました。

後悔は一つもありません。もちろん、今の僕ならもっとスマートに、最短で今の場所までFiNCを導けたという思いはあります。ただし、今よりもさらに未熟な経営者であったことに加えて、前例も轍もない道をずっと歩んできました。その時々の局面で、僕も南野も、私利私欲ではなく、あらゆる機会をあらゆる情報をもとに、局面局面をその都度必死に評価しながら判断し、今持てる全ての力を出して歩みを進めてきました。その意味では、後悔をする余地がないと思っている自分がいます。それを支えてくれた南野や仲間や支援者の方には心から感謝しています。

一方で、ここまで文章を書きながら、ずっと複雑な感情が頭から離れない自分もいます。その理由は、何もないところから力を貸し続けて下さった周囲の皆様、信じて応援してくださった株主の皆様、そして冒険をともにしてくれた仲間の皆の顔が浮かんでしまうからです。

FiNCはあらゆる面から、最も支援者の多い会社の一つだったと思います。良くも悪くもFiNCは僕の分身です。「FiNC=溝口勇児」という観点で支えてくれた方も多く、ゆえに、ひとり一人の顔がたくさん浮かんでは離れない状態で、今、この文章を書いています。

ですから、今回の退任が例えどんな理由であったとしても、大切な誰かの悲しみや怒りを買う結果になるのは理解しているつもりです。そしてそれを受け止めなければならない責任が僕にはあります。

僕は心から、仲間の皆や株主の皆様をはじめ、FiNCに関わってくれた方々に本当に感謝しています。その感情が湧いてくる最大の理由は、「皆と一緒だったら成功できるだろうな」とか、「皆に頑張ってもらって成功させてもらおう」というよりも、「皆とだったらたとえ上手く行かなかったとしても後悔しない」と思えたからです。

どうやら僕の人生の判断基準は幸せよりも何よりも「後悔しない」ということが最も優先度が高いようです。上述したように後悔が一つもない期間を過ごすことができたのは支えてくれた皆様のお陰なのだと思っています。

最後に

20歳の時に「人の寿命は30000日」と言う話しを聞き、「よしっそれなら!!」と思い立って、自分の人生の計画を立てました。その時は「10000日目の2012年4月11日に新しいチャレンジをする」と漠然とした目標だけを掲げました。まさか会社を設立することになるなんて、当時は夢にも思っていませんでした。友人の経営者の中には、学生時代から起業を目指していた人も少なくありません。

かく言う僕は、勉強なんて全くしない劣等生で、明日食う飯を調達するのがやっと。僕と彼らとを比べると、いや、比べてはいけないほど本当に何も持っていない空っぽの人間でした。人に嫉妬したり、非行に走ったり、時に人を傷つけたり、真っ当な生き方とは程遠いものでした。そんな僕には大志を抱く権利もなかったし、一度たりともそんな感情が湧き上がってくるような機会もありませんでした。ですが、物心ついてから出会った素晴らしい先輩や仲間が僕の人生のすべてを変えてくれました。

昨年末、ふと思い立って高校時代の恩師の二人と5、6年ぶりに再会しました。スクリーンショット 2020-01-06 15.38.12

左は、「他の先生に溝口は任せられないから」と毎年担任で面倒を見てくれたみね子先生と、右は何もなかった僕に自信を与えて導いてくれた八木原先生。

ブレザーやパンツが破れて直すお金がなかった時も、悪さをしたりケンカをして学校にいけなくなってしまった時も、暴走族が4人組で「溝口をだせ」とドラマみたいに校舎に殴り込んできた時も、3年生の時は学校にもまともに行かず本来なら100%卒業できなかった時も、恩師の二人が献身的にサポートしてくれたお陰で今があります。(ほとんどは忘れていた記憶なのですが、いろいろ思い出しました苦笑)

いつも言うことですが、僕の人生は実力であがってきた要素は10%もありません。ほとんどは人の縁や環境によるものが大きいです。これまでの環境や、今まで出会ってきた方達が今の僕をつくってくれました。

FiNCもそうです。スタートアップのセオリーをほとんど無視した会社なので色々楽しいことを言われてきましたが、間違いなくすごい会社になっているし、これからはテクノロジーやオペレーションに強い南野を中心にさらに伸ばしていくはずです。僭越ですが、このチームで解決できないのであれば、我々の領域で大きく課題を解決するベンチャーは現れないのではないかと心から思っています。

素晴らしい人たちとの出会いが、一歩間違えれば、空虚なものになってもおかしくなかった僕の人生を大きく変えてくれました。できるなら僕の人生そのものだったFiNCにもこれからの挑戦を通じて大きく成長することでさらに貢献したいですし、ここまで多くの方から賜った支援をさらに大きな形で皆様や社会にお返しできる存在になりたいと強く思っています。そして、これまでの人生でずっと、凡将である僕を、天才や傑物と信じてくれている人の目や、その応援が正しかったことを証明したいです。

これまでの人生において「こういう立場になりたいな」と思ったことはありません。ただ「一人でも多くの困ってるお客様をサポートしてあげたいな」、「周囲の大切な仲間にこんなことしてあげられたらいいな」ということだけはいつも考えていました。ただ、いつしかそれを成し遂げるためには力が必要で、上にあがらなければいけないと理解しました。皆様から得た学びと、これからの新しい挑戦で必ずそれができる存在になります。

今日だけでも、「今年の年末に一緒にM1に出よう」とか、「五十肩が重たいから指導してほしい」、「スポーツチームの代表をしてほしい」、「社外取締役になってほしい」、「共同代表になってほしい」、「一緒に会社を作ろう」、「うちの会社に出資してくれ」とか、たくさん連絡が来ていて、なんだか驚いているのと同時に、多くの人が必要としてくれて、今は内側からやる気が込み上げています😎

なので僕は学習期間を経て、また新しい大きな挑戦を始めるつもりです。今日まで、未踏の地を好んで進みたがる、このあぶなっかしい船に乗り込んでくれた皆様、FiNCや僕を支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。

これからは、弟のような存在であり、また天才エンジニアでもあり、創業期からずっと一緒にやってきた南野にCEOのバトンを預けます。引き続きFounderとして、若い南野の課題でもある戦略面や事業提携等で彼やfincを支えていきます。

急なお話で大変恐縮ではございますが、今後FiNCをより発展するための決断でございますので、皆様におかれましてはより一層FiNCへのご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2020年正月 溝口勇児

※最後の写真は昨年末の忘年会の時に撮影したものです。(笑顔がないのは僕の退任挨拶直後に撮影したからかな笑)

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追記

上記の文章を友人に見せたところ、「なんか本当のことが書かれていない気がする。ミゾらしくない」と言われました。まぁちゃんと補足をすると、確かに経営陣と戦略面で意見が合わなかったことはもちろんありました。皆がVISIONに本気だからこそ、FiNCや僕のことを大切にしてくれるからこそ、なぁなぁに進むのではなく、激しい議論になることもありました。

経営陣、チームメンバー、株主含めて、あまりに多様的な組織を指揮する中で学んだことは、僕自身を含め、人それぞれ固定概念が存在するということです。これを強烈に理解しました。

人間関係の問題の根本にあるのは、この固定概念からくる解釈と判断基準の違いによるものがほとんどだなぁと。

それも当たり前で、年齢や経験が異なれば、物事の捉え方も異なります。その中でも、特に摩擦を生むものは、「事実と経験からくる思い込み」によるものと、「短期や長期といった時間軸」です。

例えば、今はない新しい価値を創造しようとするベンチャー企業において、一見すると奇抜な論理や非常識に見える戦略でなければ、大きな未来を創れないという側面は当然あります。

一方で、今の僕たちのように、未上場ベンチャーで多くを巻き込んできたレイターフェーズにおいては、例えベンチャー企業であったとしても、常識的で妥当な戦略ばかりを講じないといけなかったりするのかもしれません。

これらは、どちらが正しくて、どちらか間違っている、といった単純なものではなく、あらゆる変数や前提の上に成り立っている双方の正義です。だからこれを埋めるのはとても難しく、もはや僕の会社ではなく公器と捉えなければいけない今のFiNCにおいては、とっても重たい意思決定については最後は取締役会で決めるとしていました。

勘違いしてほしくないのは、僕はFiNCが大好きであり、特に経営陣とは、僕の育ちが悪いのもあって心ない言葉をかけたことも涙、この数年で大喧嘩したことも一度や二度ではありませんが苦笑、最後はいつも温かく受け入れて応援してくれたし、僕は彼らやFiNCの仲間がとても大好きです。

今生の別れなんかではまったくありませんし、出社もしますし、slackもメールも見ています。ですから、皆様におかれましては、引き続きご支援をいただけたら嬉しいです。もちろん僕もまた新しい仲間と大きな目標に向かって一生懸命歩んで行きます。

追伸:今、僕の人生史上、最も飯に誘われているのですが、どこかでワァーと集めて、ワァーと補足や感謝をする場を作ろうかなって。。。皆、ありがとね。


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