みぞえ画廊 2回目のアートバーゼル香港2023出展記1(2023年3月)

アートバーゼルとは?

 約3年間続いていたコロナの影響や韓国やシンガポールなどの新興アートマーケットの影響が広がり、香港の優位性が失われつつあると言われるなか、3月21日に香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開幕したアート・バーゼル香港2023(Art Basel Hong Kong、以下ABHK)をレポートします。

まず、アートバーゼルとはなにか?※以下、ARTNEWSJAPAN記事から

「アートバーゼルは、スイスの都市バーゼルで毎年開催される世界最大規模のアートフェア。その時々のトップギャラリーとトップアーティストにスポットライトが当てられ、世界中のコレクター、ディーラー、アートファンの注目を集める販売会である。

開催時期・場所

アートバーゼルはスイスのバーゼル、アメリカフロリダ州のマイアミ、香港の3か所で開催されている。また、2022年にはアートバーゼルの名前を冠したParis +, par Art Baselがフランスのパリで開催された。
それぞれの開催時期は、バーゼル・バーゼルが6月。バーゼル・マイアミビーチが12月。バーゼル・香港が3月に行われている。

歴史

世界3都市で年に1度開催され、世界のトップレベルのギャラリーが一堂に会し、絵画、彫刻、写真、デジタルアート、ビデオアート、インスタレーションと多種多様な作品が紹介されているアートバーゼルの歴史は1970年までさかのぼる。1970年、当時ドイツのケルンで開催していたアートフェアに対抗すべく、地元のギャラリー関係者3人により立ち上げられた。初年度は10か国から90のギャラリーが参加し、5年後には21か国から約300のギャラリーが出展する規模に拡大した。1994年からはメインスポンサーにスイスの銀行UBSが付く。2002年、アートバーゼル最初の別会場開催がアメリカのマイアミで行われた。現在ではアートバーゼル開催時期に様々なサテライト展示、アートフェアが開催されアメリカで影響力のあるアートイベントのひとつとなっている。マイアミビーチでの開催に続き、アートバーゼルは香港でもフェアを開催する。2015年に開催された1回目のバーゼル・香港ではアジアと西洋の最新のアートから歴史的マスターピースに至るまで、2000人以上のアーティストが展示される大規模なものとなった。」

 今年のABHKは、コロナ禍以来海外からの来場者がホテル隔離を受けずに参加できるフェアとなり、32の国と地域から171のギャラリーが集まっており、日本からも多くのギャラリーが参加。今年2回目の出展のみぞえ画廊は、昨年の豊福知徳に続き、現在102歳で現役活躍中の野見山暁治先生の作品7点を展示。

 アートバーゼルは、世界最大のアートフェアであるので、簡単に出展できるものではありません。よくできたプラットフォームがあり、そこから毎年、5月にアプライをして(英文での提案書の提出および作家のさまざまな資料の提出など、そのシステム上にアップロードして提出します)。その後、セレクションコミッティ―にて検討され、出展ギャラリーが決定していくわけです。大きくわけて、三つのカテゴリーがあります。比較的若手のギャラリーが出展することができる「ディスカバリーズ」。このセクションのブースは最小サイズ。そして、「インサイツ」このセクションに、みぞえ画廊は、昨年と今年出展。このセクションは、1もしくは2名のアーティストに焦点をあてた企画を提示することで、出展の可否が判断されます。アートバーゼルに出展する登竜門となります。三つめは、会場全体の7割程度を占める「ギャラリーズ」セクション。ここは、メガギャラリーが最大サイズのブースを展開したり、世界中の有名ギャラリーが出展するカテゴリーになり、それぞれのギャラリーが一押しするアーティスト複数名を展示することが可能になります。この「ギャラリーズ」に出展するには、「インサイツ」で3~5回の経験を積む必要があると言われています。

みぞえ画廊ブースにて、展示作業前の様子


ブース前に運ばれてきた展示作品が入ったクレート(輸送用木箱)。香港へは輸送経費を抑えるため船便で運ばれます。

今回のみぞえ画廊のスペースは、Sサイズになります。「ディスカバリーズ」よりは大きい下から2番目の大きさとなります。2023年3月のこの展示作業にいたるまで、出展の可否が2022年10月に発表されてから、さまざまなデッドラインが設けられ、書類の提出など準備が必要になります。2022年、2023年とABHKの同じ担当者と日常的にメールをやりとりして、ABHKのプラットフォーム上での各書類の提出などがあります。これだけの世界的なアートフェアがスムーズに進行していくには、あのような基本的なシステムがあるからこそ、成り立っていると実感します。アートバーゼルの出展申し込みは、ほかのどのアートフェアよりもきっちりしているのがよく分かります。
(NYのアートフェアであるアーモリーショーやTEFAF NYなどに申し込みしましたが、思いのほか簡単でアートバーゼルと比べものになりません)
 開催前の準備において最も重要なのが、ブースのプランを決める「ブーススケッチ」と呼ばれる図面作成になります。壁をどのようにレイアウトするか、スト―レージスペースを確保するか、照明は、ウォールウォッシャーにするかスポットにするかなど判断が必要になります。魅力ある作品をより魅力的に見せるための施策となります。
 このようにかなりの時間と労力を使って、開催前まで周到な準備を進めていくわけです。
 次回は、アートバーゼル香港2023がスタートしてから終了までの様子を報告します。

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