見出し画像

みぞえ画廊 3回目のアートバーゼル香港2024出展記(2024年3月下旬)

前回、2023年アートバーゼル香港2023出展記では、開催までの準備作業などについてㇾポートしましたので、今年は、5日間のアートバーゼル香港スタートからの様子をレポートいたします。


展示作業開始前の様子


展示作業中の様子


展示作業完了後の様子


入口の様子


午前中オープン前の会場の様子


ほかのブースの様子


ほかのブースの様子


弊社ブース前の様子


今回制作したパンフレットとスタッフパス、アートバーゼル香港のフロアプラン パンフレットは、神奈川県立近代美術館 水沢館長(2024年3月末で退館されましたが)にテキストを執筆いただき、それを英訳したものを掲載。300部制作して使い切りました。

今年、11 回目になるアート バーゼル香港は、昨年の 177 から 242 の出展ギャラリーが集まり、休止期間を経て復帰したギャラリーは 69 ギャラリー、初参加のギャラリーは 23 ギャラリーでした。3 日間の VIP デーと 2 日間の一般デーとなり、VIPメインの体制に変わりはありません。
今回、3回目みぞえ画廊出展にあたり、猪熊弦一郎のニューヨーク時代に焦点をあてた展示・構成を提示いたしました。1955年から1975年の20年間、猪熊さんは、ニューヨークに滞在し、ウィラードギャラリーにて、2年に一度のペースできっかり10回個展を開催し、高い評価を受けました。その際に発表された重要な作品などを中心に計12点厳選した作品を展示。

Maxwell Rabb Artsy’s Staff Writer の記事によると、「フェアの規模は成功したものの、来場者数は減少。アート・バーゼル香港は、今年の来場者数が2023年の8万6000人に対して7万5000人だったと報告している。VIPデーは前回に比べて明らかに混雑が少なく、来場者はよりゆったりとした時間を過ごせたが、ディーラーには不安感を抱かせた。アート・バーゼル香港での販売ペースは、輸送や売れ残った在庫に関連するリスクを軽減するために、これまで既存顧客への事前販売に大きく依存してきた。それでも、初日の販売が比較的低調だった後、今年は徐々に勢いを増し、フェア終了まで活発に取引が行われた。」

世界最高峰のアートフェア アートバーゼルにおいて、なにが売れているのか気になるところですので、このArtsy(アーツィ)の記事から一部を紹介いたします。

メガ・ギャラリー ハウザー & ワースは、 初日にウィレム デ クーニングの「Untitled III 」で最高額の売上を記録、約14億円で販売。フィリップ ガストンの「The Desire 」は約13億円。マーク・ブラッドフォードの作品(2023) は約5.5億円で販売。
ジョージ・コンドの「エスケーピング・フィギュアズ」(1998) は約1.3億円、
パット・ステアの作品(2022) は約1.3億円など多数販売。

大手現代美術ギャラリー Sprüth Magers が販売した主なものは、以下の通り。ジョージ・コンドの作品(2024年)は約3億円で販売。
ジェニー・ホルツァーの『Minor Victim-3』(2022)は約7000万円で販売。

大手現代美術ギャラリー White Cubeが販売した主なものは、以下の通り。 リン・ドレクスラーの『Plumed Bloom』(1967年)は1.8億円で販売、その他多数販売。

大手現代美術ギャラリー Thaddaeus Ropac が販売した主なものは、以下の通り。トニー・クラッグの『インシデント・ソロ』(2023)は、1.2億円で販売、その他多数販売。

大手現代美術ギャラリー Lisson Gallery が販売した主なものは、以下の通り。アニッシュ・カプーアのブラック・トゥ・ブランデー・ワインとオーガニック・グリーン・ミックス(2022年)は約1.2億円で販売、その他多数販売。

大手現代美術ギャラリー ペロタンが販売した主なものは、以下の通り。Mr.『無題』(2024)は4800万円で販売。バリー・マッギーの『無題』(2023年)は3500万円で販売。ジョルジュ・マチューの『ギョーム・デュフェイへのオマージュ』(1970年)は3500万円、加藤泉の作品2点がそれぞれ約500万円で販売、その他多数販売。

メガ・ギャラリー Pace Galleryが販売した主なものは、以下の通り。
キキ・スミスの『シルバー・ムーン』(2023年)は約1500万円で販売。
田島美香の「ネガティブ・エントロピー」(2024年)は約1500万円で販売、その他多数販売。

ヴィクトリア・ミロは草間の3作品を総額約17億円で販売した。その他多数販売。

ベルギーの大手ギャラリー Xavier Hufkensが販売した主なものは、以下の通り。 ウララ・イマイの絵画2点、価格はそれぞれ1500万円前後で販売。 ルイーズ・ブルジョワによる紙の作品が1500万円で販売。その他多数販売。

大手現代美術ギャラリー テンプロンは、塩田千春の作品3点をそれぞれ1500万円前後で販売。その他多数販売。

上記がレポートから一部抜粋した内容になります。日本人作家が大手ギャラリーにおいてどの程度取り扱われているかも垣間見れます。

当画廊のブースに話しを戻すと、初日から多くの方が立ち寄られており、香港という場所柄か、国際色豊かな方々がお見えになりました。かなりの割合で英語を話されるので、コミュニケーションも取りやすいです。猪熊さんについては、ほとんどの方がご存知ないです。ただし、アートバーゼル香港のこの「インサイト」というカテゴリーは、1名ないし2名のアーティストにフォーカスし、そのアーティストの知られざる側面を紹介するという性質がありますので、「知られていないからこそご紹介する意味がある」というスタンスで臨んでいます。

5日間の会期を通して、猪熊作品を紹介した感触は、非常に評判良く、来場された方々がみなさん熱心に作品を見ていただけることが、このアートフェアが世界的に評価されている所以だとあらためて感じました。ビジネスにおいては、初日からの3日間(VIPメインのこの期間が重要なのですが)において、何件かの商談があり金額のご提示まで進みましたが、最終的な売約までは至らずという状況でした。一般公開がはじまった4日目になり「なにも売れなかったらどうしよう」と心の中で考えはじめていましたが、それは一切口に出さず、ブースに張り付いて、感心のある方を逃さないよう努めました。そしてこの日、香港在住のお客様(ベビーカーのお子さん連れご夫婦)に、メイン作品のうちの1点をご購入いただきました。同じ日、もう1点小品が売れ、計2点が売約になりました。この日の終わりに、ほかのスタッフがグラスのシャンパンを買って、ブースに持って来てくれ(日本円に換算して一杯4000円とか)、皆で乾杯しました。「あーよかった!」と思った瞬間です。

以下は、アートバーゼル香港において、10万ドル以下で販売された絵画作品の公表されたリストになります。弊社は売り上げを公表していないので、このリストに入っておりませんが、このあたりにランクインすると思われます。

UNDER $100,000
$99,200: A Miriam Cahn work at Galerie Jocelyn Wolff

$95,000: Mika Tajima, Negative Entropy (Seishoji Priest Prayer Drumming, Mustard, Quad), 2024, at Pace Gallery

$95,000: Cinga Samson, Igcukuma (2024) at White Cube

$90,000: Salvo, La valle (2008) at Mazzoleni

$90,000: Jason Boyd Kinsella, Grace (2020) at Perrotin

$90,000–$110,000: Mungo Thomson, December 28, 2015–January 4, 2016 (The Year Ahead), 2022, at Galerie Frank Elbaz

$86,100: Laurent Grasso, Studies into the Past at Perrotin

$85,000: Celeste Rapone, Sprawl (2024) at Marianne Boesky Gallery

$85,000: A painting by Daniel Crews-Chubb at Timothy Taylor

$85,000: A painting by Daniel Crews-Chubb at Timothy Taylor

$85,000: Wangari Mathenge, In Our Midst Yet Nowhere At All (2024) at Pippy Houldsworth

$80,000–$130,000: Chico da Silva, Untitled (1969) at David Kordansky Gallery

$80,000–$125,000: Two paintings by Ulala Imai at Xavier Hufkens

$80,000–$100,000: Jules Olitski, Without Trembling 5 (1974) at Templon

$80,000: TARWUK, MRTISKLAAH_emoC_saH_eM_gnilbmeseR_enoemoS (2024) at White Cube

$80,000: Agostino Bonalumi, Rosso (1968) at Mazzoleni

$80,000: Maia Cruz Palileo, The Water Between Them (2024) at David Kordansky Gallery

次回は、本年9月上旬にソウルで3回目の開催になるフリーズ・ソウル 初出展記をレポートする予定です(みぞえ画廊が、アートバーゼルに次ぐ、世界的なアートフェア フリーズにはじめて出展することになりました)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?