「Trek to Yomi」クリア記録
プレイ環境
ハード:Xbox Series X
クリア時間:約7時間
プレイ動機
PVを見てアクションの奥深さと、残酷で美しい世界観に惹かれた
所感
白黒映像に感じること
黒澤映画に影響されたという、全編モノクロ表現で貫かれた本作。
私は黒澤映画は未履修なのでそのあたりは語れませんが、現代人の白黒映像に対する恐怖のような緊張感を終始感じていました。
私は1990年代生まれなのでカラーTV放送に馴染みがあります。
目にした白黒映像といえば戦時中の映像であることが多く、そこに映っている人たちはたいていもうこの世にいないという前提で見ていたように思います。
本作プレイ中は、自分がその時代に入り込んだのを現代側から見ている心地でした。
本作は、めちゃくちゃ高精細できれいな映像というわけではありませんでした。
ですが、白黒だと脳が補完して見るからか、「雰囲気ある〜」と好意的に解釈してしまったのも面白かったです。
奥深い剣撃
剣での攻撃はコンボのバリエーションもあって面白かったです。
ただ数が多く、覚えて実践に使えるものはパターン化してしまいました。
自分の場合は、振り返りざまに斬るアクションを最後まで多用していました。
振り返り発動前に背中を着られることもあってイライラしましたが、敵に背を向けるというのはそういうことなのでしょう笑。
(大砲のような飛び道具で遠くから攻撃を繰り返していると、「正々堂々と戦え」と言わんばかりにあっという間に距離を詰められてフルボッコにされてしまうのもちょっと笑えました)
激しいゴア表現もあり、敵を「切り捨て」て進んでしまったからには引き返せない、そんな覚悟や責任を感じました。
「残酷な世界を残酷に進んでいる主人公が、そう感じていないと説明がつかない状況」から次第にプレイヤーにもその感覚が伝わってきた。と言うのが正確でしょう。
世界観を深める
主人公が敵を追って進む先には、火事で焼けただれ苦しむ村人がいたかと思うと、尻目に疫病に侵された集落の人々、そして餓鬼道のような彼岸にいない存在までもが登場します。
タイトルにあるように、主人公は時代劇的な世界観からいつの間にか黄泉の国に足を踏み入れているのです。
今思うと、白黒で遠景の映像だったからこそ、段々と取り巻く人物たちの見た目が変わっていっても違和感がなかったのだと気づきます。
プレイヤー自身もいつの間にか迷い込んでいるように思えました。
突如、あり得ないほど大きな人の顔の形をした大岩が現れた瞬間は、この世でないところに迷い込んだのだと確信させられました。
海外の雰囲気ホラーゲームにありがちな、深遠に踏み込むと倍音の多いシマーリバーブのようなBGMが流れる現象は本作も例外ではありませんでした。耳を澄ますと、一緒に笙の笛の音が流れていて、日本の侍+雰囲気ホラーの面白い雰囲気が演出されていました。
終わりに
時代劇+剣撃アクション+雰囲気ホラーの融合した、良作でした。
トゥルーエンドまで行けなかったのが残念ですが、たっぷり雰囲気を楽しめました。
唯一気になったのが、ラスボスの刀の動きが剣道の動きだったことです。(面への一振りが振り抜かず、跳ね返っていました)
焼けていく屋敷の奥で、さながら試練を与えるために主人公を静かに待っている敵と対峙する瞬間は息を呑みました。
抜刀という、「貴方への敵意がある」ことを示す行為の重みを感じるタイトルでした。
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