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【声劇台本】まるくてあかい君が好き

【登場人物】
千歳―ちとせ
 高校 2 年生 東陽神社の娘。使い狐の丸狐を
 自分の兄弟と思っている

丸狐―まるこ
 東陽神社の使い狐。尻尾は 5 本。
 きつねうどんが大好き。ちょろい

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 夕方、田舎の川べりの道。

 千歳、下校中。

千歳「あー、もういったい何なのよ!体育の
 時間には吉田先生に“お前はたるんどる!”
 っていいがかりつけられてグラウンド 2 周
 走らされたし、担任には“こんな成績じゃ
 進学は無理です。もっと勉強に心血を
 注ぐのです!”って詰められるし・・
 今日はほんとついてない!!」

 千歳、何かに気が付き後ずさりする

千歳「ん?・・・!!ちょっと丸狐!ここで
 なにしてるのよ」

 丸孤、罠にかかっている。

丸狐「・・・つかまりました。」

千歳「見ればわかるわよ!・・・あーっ!!
 あんたのせいじゃない今日の不運。
 守り狐のあんたがそんな簡単に罠にかかる
 んじゃないわよ。」

丸狐「すみません・・」

千歳「で・・一応聞くけど、なんでつかまった
 の?」

丸狐「・・・きつね・・きつね・・うど・・
 ん」

千歳「なに?もうちょっとはっきり言いなさい
 よ!」

丸狐「きつね・・きつねうどんだよ!
 道にきつねうどんの新味が置いてあったか
 ら、つい・・気になって・・そしたら足が
 罠に引っかかったんだよ!!」

千歳「このバカ狐!また?!またなの!
 たかがきつねうどんのカップ麺ごときで
 捕まる神の使いがどこにいるのよ!知って
 る?あんた地元の小学生になんて言われて
 るか。“東陽神社の狐は道にカップ麺置くと
 捕まえられるんだって”
 ってバカにされてるのよ。バカ狐のお守りを
 持つとバカになるって、おかげでうちの
 学業守は売れなくなってるんだから!」

丸狐「それは・・申し訳ないと思う・・
 けど!!あのカップ麺はただのカップ麺
 じゃないんだよ。たかが!とか言うな」

千歳「ただのカップ麺じゃない。何が特別なの
 よ」

丸狐「いいか、あのカップ麺は作った会社が
 東洋物産。商品のキャラクターの名前が
 マルコだ!そして商品名がきつねうどん。
 パッケージが俺の好きな緋色
 ・・・どうだ偶然の一致が多すぎて、
 もう運命すら感じるだろ。ここまで一致す
 るともう身内みたいな安心感があるんだ
 よ」

千歳「だからぁ、だからあんたはバカ狐なの
 よ!何が偶然の一致よ勝手に運命感じて
 ファミリー感強めてるんじゃないわよ。
 それに、先週うちのお母さんが丸狐の為に
 買ってきたじゃない。
 赤いきつねうどんの新味1ケース用意した
 でしょ。」

丸狐「おまえの母親が用意したのは・・
 きつねうどんじゃない!餅入りうどんだっ
 たんだよ」

千歳「・・・おかぁさぁん。もう!」

丸狐「俺は、飢えてもきつねうどん以外は
 食いたくない」

千歳「・・がんこ!わがまま!・・・ばーか!
 ばーか!」

丸狐「なんか、お前急に語彙力なくなった
 な」

千歳「もう・・こんなんじゃまたお守りの
 売り上げ落ちてうちの一家貧乏になるよ。
 いやだぁ、進学もしたい!一流大学に入っ
 てIT長者になって国際結婚する夢が
 叶わないのはいやだぁあああ」

丸狐「お前、神も引くほどの自分勝手な将来
 像だな」

千歳「ほっといてよ。人の夢なんだから」

 千歳のスマホがなる。

千歳「あ、電話だ。・・・はい、もしもし?
 あ、パパ?・・うん・・おじさんが来る
 の?わかったすぐに帰るね。
 ・・え?丸狐?道端で罠にかかってたけど。
 きつねうどんのカップ麺で・・あ、罠?・・
 草で作った縄みたいなやつだから
 すぐにほどけるよ。・・わかった。
 連れて帰るね。はーい」

丸狐「誰かくるのか?」

千歳「ああ、おじさん。それより丸狐、
 早くその草ほどいて帰るよ。」

丸狐「ああ。」

 千歳、カバンからはさみを取り出して、
 切る。

千歳「じっとしててよ!動くとはさみで
 足切っちゃうからね。よし、これで大丈
 夫。」

丸狐「いやぁ助かった」

千歳「感謝しなさいよ」

丸狐「ところで、おじさんってどんな奴なん
 だ?」

千歳「ああ、おじさん?パパの弟で東洋物産
 の社長だよ。あのきつねうどんの開発者で
 もあるんだ。」

丸狐「え?・・・・なんだよ!身内の開発商
 品じゃないかーーー!!」

千歳「そだよ。東陽神社から会社名つけて、
 きつねのあんたの名前のキャラクター作っ
 てきつねうどん開発したんだよ」

丸狐「なんだよ!ほぼ俺の商品だったんじゃ
 ねえかああああー!」

END
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作者より
あの有名なカップ麺をテーマに書いた
声劇台本です
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