「後悔と懺悔」斬佐

Twitterの小説お題アンケートで得票が多かった「後悔と懺悔」をメインに獄都事変の斬島×佐疫で小説を書きました。

お題からずれた感は否めない。ごめんね。

ご注意
① BLです
② 斬島が一人悶々としてます
③ 付き合ってる/付き合ってないはご想像にお任せします
④ 斬島のキャラが行方不明

始まるよ٩(。•ω•。)و

とある人は言った。
鬼に心は無いのだと。

では俺を支配する、この気持ちは一体なんであろうか。

「佐疫は鬼に心が無いと思うか?」
首を傾げて佐疫は答える。
「こころ?」
正面に座る佐疫はより良い答えを言おうと暫し思いを巡らす。
「…人間のような、ちゃんとした心は無いんじゃないかな」
「…つまりは?」
話が少し難しいばかりにふと詳細を要求してしまったが彼ならばこのもやもやを解消するような正答を答えてくれるだろう。
「えーっと、何て言うか…。人間はさ、短い寿命の中で一瞬一瞬を大切に生きてるから感性が豊かで心が『出来上がってる』んじゃないかな。それは生まれた時から………いや、生まれる前から『心』っていう器官が出来上がってる」
一瞬机の上に視線を落とし思考を巡らして佐疫は続ける。
「それに対して俺達鬼は、悠久の時を贖罪のため生きる。彼ら人間のように命を燃やして輝くことが目的ではなくて、贖罪のため生きてるから、その分感性というアンテナは狭い範囲しか捉えられない。捉えたとしてもそれはきっと想像っていう部分も入ってるんじゃないかな。人間ならこういう気持ちなのかなって思うこと斬島もあるでしょ?無意識のうちに自分を騙して想像の気持ちを受け入れているのも鬼だと思うんだ。つまりは本当の心を持つ人間からしたら俺達の心は不完全なんだよ」
「不完全だから、それは無いということと等しい――と佐疫は考えるんだな」
「そうだね。少々こじつけがましいけどね」
「そうか。勉強になった。ありがとう」
そう言うと水色の瞳はにこりと微笑む。
「いえいえ、どういたしまして」

佐疫の答えに納得できない自分がいた。

確かに他の皆は自分よりは感性が、心が欠けている、と感じる。

では、自分は?
人とほとんど等しい感性を持っている自分も心はないのか?

所詮鬼の気持ちはただの想像であって心はないのか?

佐疫への気持ちは、偽物なのか?

好きで好きで仕方なくて、いつも相手のことを考えてるこの俺の気持ちは、ただの妄想なのか?

元人間という過去を持たねばよかった。
他の皆と同じように感性がかけていればよかった。

本当の鬼であれば、よかったのに。

これまでもこれからも、俺は後悔と懺悔を繰り返すのだろう。

でも彼はきっといつものように微笑みながら俺に言うのだろう。

「感性が豊かで、人のような心を持ってる君が好き」と。

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