懐かしい涙

生徒に悩み相談を持ちかけられた。
何だろうかと聞いてみると『彼氏が…』
そんなものは友達にしてくれ!と思うも、その子は友達がいないタイプなのでとりあえず聞くことに。
なんでも、大事な記念日デートを前から楽しみにしていたのに、塾だか部活だかを入れられて断られてしまったと。それについて、最初はご立腹だった彼女はいつの間にか泣いてた((((;゚Д゚)))))))

この手の相談は非常に面倒なのだが、無下に断れないのは過去の自分と重ねちゃうから。
私は彼女ほど真面目に恋愛していなかったし、そんなに好きになった人もいないけど、人並みに恋に喜んだり傷ついたりしてきた。
そしてそれを友達に話して、聞いてもらうだけで救われる気持ちになったり、励まされて安心してみたり、恋を餌に友情を育ててきたんだなぁと過去を振り返ってしまった。
だがしかし。そんな自分自身も、友人たちも、いつの間にか恋の話なぞしなくなったし、むしろ恋なんてしなくなってしまった。
高校の頃、彼の一挙手一投足にドキドキしたりキャーキャー言っていたあの子も、その後彼と結婚して今ではポンコツ呼ばわりだ。
私は今はもう独身だし、恋いしたっていい身分なんだけど、やっぱり子供の存在が大きくて、胸きゅんな出来事なんてサッパリない。寂しいけど、寂しさを感じる暇なんてないぐらい忙しいし、だからこそ恋する暇もない。

人間は変わるものだ。
ときめきはなくなるものかもしれない。でも、高校時代の恋の思い出は、本当にかけがえのない宝物だ。
生徒に泣かれて少し困ったけれど、そんな気持ちになれることがかなり羨ましかった。
おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?