とある乙女ゲームで、日本語音声だけ消された話

未定事件簿というゲームを知っている人はいるだろうか。
miHoYoという会社のゲームが好きな人なら、一度は聞いたことはあるかもしれない。
未定事件簿は中国の会社であるmiHoYo(HoYoverse)からリリースされている乙女ゲームだ。
対応言語は、中国語(簡体字、繁体字)、英語、韓国語、日本語。
音声吹き替えは、英語を除いた中国語(簡体、繁体)、韓国語、日本語である。

未定事件簿の攻略対象キャラは4人と少ないが、
その4人の声を担当している日本の声優は
オタクならば誰しも聞いたことがある人達だらけだ。


そんな超豪華声優を雇ったゲームであるが
2022年10月8日、国際版の未定事件簿公式は、
本篇・イベントストーリーの「日本語ボイスのみ収録停止」の発表をした。
理由はコロナ禍の影響によるもの、だそうだ。
カードストーリーや衣装、招待状などは今後も継続して収録するとのことである。


あの発表から早3ヶ月。
今更ながら、未定事件簿の現状とゲームに対するお気持ち文を書いてみようと思う。
誤解がないように伝えておくが、私は未定事件簿のキャラクターが大好きだ。
ストーリー、世界観、イラスト、声優…どれも私好みで、
ここ数年でこんなにハマったゲームはない。
それくらい大好きだし課金もしてきた。
その上で現状に対する私の考えを綴る。




なんだかんだありつつも発表から3ヶ月経った。
結論から言うと、
今自分のなかにある感情は、運営に対する失望と怒り
そして諦めである。

声優やキャラクターには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
しかし申し訳ないが、運営に対しての感謝は一切ない。


まず現状を振り返ってみる。
事の発端は2022年1月下旬。
とあるイベントが開催される直前、ゲーム内にお知らせが出された。
それは「ボイス収録の延期」である。
既存プレイヤーはすぐにわかると思うが、とある弁護士のキャラクターである。
この弁護士キャラは中の人、所謂声優が2022年1月にコロナに羅漢してしまったため、このような選択になったのだろう。
こんなご時世だし仕方ないなと、私も納得していた。


この時点で、サービスが開始されて半年と1ヶ月だった。
しかし、今思えばこの頃からすでに雲行きが怪しかったと思う。

2022年3月、ボイス延期のキャラがメインを飾っている本篇6章(下)が追加された。
弁護士のキャラの日本語ボイスは実装されていません。以前のお知らせをご確認くださいと、そう書かれてあった。
私は7章が来る前には実装するだろうと、そう思っていた。

4月、砂漠が舞台であるイベントが開催され、
イベントに伴いSSRカードやその他諸々が実装された。
弁護士のキャラのSSR(この時2枚同時に実装された)には、日本語ボイスが実装されていません。以前のお知らせをご確認くださいと、そう書かれてあった。
私はまあ今年中(2022年内)にはくるだろうと、そう思っていた。

5月、ヒロインとキャラの関係性を深める重要な話である個別ストーリー3章が実装された。
弁護士のキャラのストーリー3章には、日本語ボイスが実装されていません。以前のお知らせをご確認くださいと、そう書かれてあった。
私は4章が実装する前にはくるだろうと、そう思っていた。

7月、個人ストーリー4章と本篇7章が実装された。
この2つには弁護士のキャラのボイスがあった。
だが、上に書いてあるストーリーのボイスは未実装のままであった。
このときはどう考えていたのか、今はもう思い出せない。
でも運営を信じて待っていたことは、事実だと思う。

9月、4月に実装されたSSRカード2枚のうち1枚にボイスがついた。
その時はどれだけ喜んだことだろう。
ボイスがない時に一度読んだが、ボイスがついたことで没入感が増した。
白黒だった情景に色が足され、キャラクターに命が吹き込まれた。
何回も読み直したし、キャラクターの一言一言が胸に刻み込まれた。

この運営なら残りの未実装ボイスもやってくれるだろうと、そう信じていた。

だがそんな希望はあっさり打ち砕かれた。
まだボイスがない状態のものがたくさんあるのにも関わらず。
あのお知らせを出された。

そして2022年2月28日にボイスなしで実装されたSSRカード、1番最初にボイスが遅れたカードは
このnoteを書き始めた2023年1月12日時点でも今だにボイスがないままである。



後に実装してくれるのなら待とうかなと気にせず待っていた。
この時点では、私は運営のことを信じていた。
心のどこかであのmiHoYoだし必ずやってくれるだろうと、そう考え込んでいた。

このゲームを全く知らずにこの文章を読んでいる人は、馬鹿馬鹿しいと思うだろう。
本当にその通りだ。
今思い返してみれば、なんであそこで信じていたんだろうと私自身も感じる。
確かに「一部ボイスの収録が遅れています」とは言っていたが
実装しますとは断言していないから。
ボイスなしカードが実装されてから11ヶ月、約1年経ち
他の音声未実装ストーリーもあるのにも関わらず
もうボイスを収録しようとする気すら感じられない。
ほんと客を舐めた良い商売だなとしみじみ思う。


そして特に気に入らなかったところが2つある。
1つ目。
コロナを理由に音声の収録を「永久的に停止」とは?
まだまだコロナは治らないものの、2年前よりかはかなり落ち着いている。
感染対策などは行なっているものの、コロナ前の日常に戻りつつある。
それなのに、いきなりコロナで収録できませんは無理がある。

仮に本当にコロナが原因だとしたら、
なぜ同じ会社である原神や崩壊は問題なくボイス収録が行われているのだろうか。
まあ大体察しはつくと思うが、コロナではなく売上的な面が1番の原因だろう。
売上の言い訳(笑)としてコロナを盾にしただけ。

音声は放っておいて、コロナを言い訳にボイス停止。
ずっと逃げてばかりのこの運営の、どこが誠実なんだ。

ボイスが全然実装される気配がないため現状に耐えられず辞めていった人たち、
本篇のボイス消失で辞めていった人たちは、
良い選択をしたと心の底から思う。


2つ目。それに対するお詫びである。
日本語音声が収録停止になるお詫びが「女神の涙(ガチャ券)×15」である。
本当に、ここだけは意味がわからなかった。

日本語声優の価値は、ガチャ券15個のみ?
15個なんて、貴方達が販売しているお得パック約2100円分ですよ?
2100円分のガチャ券で、声無しが耐えられると思っているのだろうか。
乞食とかではなく、純粋に理解不能である。

自分で言うのも何だが、私自身はカードコンプ勢だった。
ガチャ券15回分なんて、課金してすぐに獲得できる。
それを今後何ヶ月と続くサービスのなかで
2100円やるからボイス無しで頼むわって…
ユーザーどころか声優も馬鹿にしているとしか思えない。

2100円で本篇ボイスを購入する有料パックがあれば
どれだけ良かったことだろうか。
むしろ喜んで課金していただろう。




ボイス云々もあるがゲームを遊んでいて感じていたこと。
ほんとにこの運営は、この会社は、
未定事件簿に対するやる気と愛がないんだな、と。

本編でどんなに酷い誤字やカタコトな翻訳があっても、
声優の演技があったから乗り越えられた。
声優側の台本はおそらく公正班がついているため、
セリフも自然な日本語になっていた。
ではなぜ、声優のセリフとゲーム内の文章に差異があるのか。
おおよそ予想できるが、現場でコンタクトが取れていないんだろうなとしか思えない。
そして誰も間違いに気が付かないまま、ゲーム内に実装してしまう。
社内でどれだけおざなりにされていたんだろうか。

まあ、ゲームに対する愛なんてなくてもいい。
miHoYoに入社した理由が「未定事件簿の仕事をやりたいから」という人なんてごく僅かだろう。
だが、愛がない=テキトーに仕事をこなしていいとは限らないのではないだろうか。
運営チームはそれを「仕事」としていて
ゲームを支えている「ユーザー」からの課金で
対価の「給料」を貰っている。
お客様は神様とまではいかなくても
お金を出してくれている相手に対し、ぞんざいな態度をとることは
いささか失礼なのではないだろうか。

今まで何度もゲームのサービス終了を見届けてきたが
どんなに売り上げがないゲームでも、
ユーザーに寄り添っていてくれていたところが殆どだ。

未定事件簿も例に漏れず、いわゆる売り上げがないゲームに位置する。
正直「売り上げがないならコストカット」をするのは
至極当然のことだし、読んできた人もそう思うだろう。

でもこの運営がユーザーにしてきたことは酷いものだった。
中国版で先に実装されたストーリーを雑に翻訳して誤字を連発。
音声が流れないバグをいつまでも放置。
イベントを前倒ししてガチャラッシュ。
イベントを前倒ししたと思ったらイベントをスキップされ、
本来貰える予定だった記念バッジやアイテムが貰えない。
過去カードをほとんど復刻させず、皆が持っている初期恒常キャラを何度もPU。
そして未実装のボイスを放置。

まず根本的な原因は、
不親切設計と不誠実な対応で既存ユーザーの離脱を加速させた運営なのでは?


運営が頑張ってきて、それでも売り上げがないのなら
このボイス収録停止発表にも納得していた。
でも、この運営は私たちユーザーに、遊んでいない人達に対して
何かはたらきかけていたのだろうか。

宣伝なんて全然しないから、知名度なんて地の底。
ゲームに入ってきても文章が読みづらく、初期実装音声なんて口調がブレブレ。
それらはもちろん、既存のバグや誤字を直そうともしない。
アンケートで文章をしっかりしてと回答しても、一向に改善されない。
こんなテキトー運営なのに脳死でよく遊べていたな、自分。



そしてボイスを無くした時の文章には
「高品質なコンテンツをお届けできるよう」とあった。


どの口がそれを言っているんだ。
ボイスを無くしてから高品質なコンテンツどころか
文章のクソ翻訳・誤字は直らず、同じミスを繰り返す。
おまけに面白かったストーリーは1年目より劣化してばかりで、
つまらない低品質なコンテンツばかりが量産されているのが現状だ。
この運営はどこまで、ユーザーを馬鹿にすれば気が済むんだろうか。


今、未定事件簿では「飛雪浮世に流浪す」というイベントをやっている。
まだこのイベントは始まったばかりだが、
もう終わって欲しいと願ってばかりである。


漢検1級で出るような難解漢字が沢山でてくるのにも関わらずふりがながなく、
文章が読みづらくて謎解きどころではない。

ただでさえ多いイベントの登場人物の名前を間違えて、
キャラの因果関係を掴み損ねるところだった。

イベントに伴い実装されたSSRカードの中には、
明らかにキャラが崩壊していて
今までのSSRストーリーとは比べ物にならないくらい酷い出来のものがあった。

挙句、期間限定チャージ(課金)限定カードのストーリーでは、
「オークション」を「億ション」という意味不明な変換をしていた。


遊んでいるユーザー視点で物事を考えることができず、
雑に仕事をこなし、
コロナを言い訳に自分たちの都合を押し通すこの経営陣。
もうこの運営にはうんざりだ。
色々な意味でそろそろ限界だと、そう感じた。



このゲームはストーリーで勝負しているゲームだ。
同会社ゲームの原神や崩壊のストーリーが悪いとは言わないが、
その二つはストーリーの翻訳が酷くても、
それをカバーできるほどの楽しいアクション要素がある。
しかし、未定の戦闘なんてあってないようなものだろう。
ただ引いたカードをレベルアップとスキルアップさせ相手にぶつけるだけ。
肝心なのはストーリーの質だ。
ストーリーの質を高めている一つに、声優もいる。
でもそのストーリーから大事な根幹が、剥ぎ取られた。


「声優で釣れば楽に商売できる客層が多いコンテンツ」
もしかすると運営はこう思っているかもしれない。
しかし未定事件簿の声優を雇っている乙女ゲームなんて、日本にいくらでもある。

「miHoYoブランドで宣伝なんかしなくても売れる」
もしかすると運営はこう思っているかもしれない。
しかし、未定事件簿のメイン客層と、原神・崩壊のメイン客層が
同じであるわけがない。




はぁーーーーーーーーーーー。

色々書いてきたけど、なんかもう疲れてしまった。
他にも言いたいことなんて沢山ある。
ここに書ききれないくらい不満がいっぱいだ。
でももう、それらを言う気力すら無くなってしまった。


私はもう未定事件簿に期待していない。
唯一期待しているものがあるとするならば、
ヒロインとキャラが婚約を交わす2周年SSRカードのみだろう。

ボイスが未実装のまま放置されたストーリーたち、
本篇とイベントの日本語ボイス復活、
ストーリーの質向上、
固い翻訳や誤字を減らすこと、
もうこれらをやってくれる気がしないし、
これからもするつもりはないだろうと断言できる。

だってこの運営は、ユーザーの声を聞かないから。

ボイス停止の件でたくさんのお問い合わせやメールが行っても
テンプレート文章で一括返信された。
有料でもいいから実装してと言う多くのユーザーの声は
無視を貫き通された。
アンケートに文章の精度をあげてほしいと書いても
1年半改善されないまま。
ボイスはいつ実装されるのか。
聞いても答えられないまま有耶無耶にされ未だに実装されず。

これのどこが信用できるのだろうか。

何かの奇跡が起こって人気になって売り上げがあがったとしても
もう本篇・イベントの日本語音声を収録する気はないのだろう。
仮に音声が復活しても
一度日本語声優が捨てられたことに、変わりはないのだ。



もう何を言われても何をしようとも、この運営にはついていけない。
音声をなくしたイベントストーリーは、読むに耐えないレベルの幼稚シナリオ。
ボイスを継続すると発表したカードストーリーは、ご都合主義とキャラ崩壊。
もちろんカードストーリーは良い話もある。
だが今の現状を見ていると、
これからどんどん酷くなっていくんじゃないかと不安でいっぱいだ。
この数ヶ月間、彼らにときめくことが日に日に少なくなっていった。


一度、日本語ではない別の言語に音声を設定して遊んでみたこともある。
もしかしたら、声が変わった彼らでも好きになれるのかもしれないと。
でも声を変えたら
彼らに対する好きと言う気持ちが、全く湧いてこなかった。
私が好きなのは「日本語を話す彼ら」であった。
声が変わったら、同じ顔をした別人と思ってしまった。

声が変わっても彼らのことを愛せる人は、
尊敬すると同時に、羨ましいと少し感じた。
私もそのパターンの人間だったら、
ずっとこのゲームを楽しめたのかもしれないな、と。

でも結局私がこのゲームを、彼らを好きになったのは
日本語ボイスがあったからこそだった。
日本語音声が消えてしまった今、
私が好きだった彼らは、
本篇とイベントストーリーでは、もう死んだようなものだ。


このまま辛い思いをしていくならば
楽しい思い出を抱えて消えてしまう方がいいのだろう。

私はこのゲームが、本当に大好きだった。
メインキャラ4人はもちろん、サブキャラクターも、主人公も大好きだ。
彼らの臨場感あるボイスで織りなされるストーリーが、大好きだった。

でも、好きと言う気持ちだけで着いていくことはできない。
できなかった。
着いていくと、どうしても辛い気持ちになってしまうから。
本篇で、イベントストーリーで、好きな人たちの声を聞くことができないから。
だからお別れすることにしよう。
弱い自分でごめん。



今までたくさんの素敵な思い出をありがとう。
運営のことは一生許さない。