Why obesity, hypertension, diabetes, and ethnicities are common risk factors for COVID‐19 and H1N1 influenza infections

宮澤大輔医師による、2020年の論説論文です

Why obesity, hypertension, diabetes, and ethnicities are common risk factors for COVID-19 and H1N1 influenza infections.pdf

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肥満、高血圧、糖尿病、人種が COVID-19およびH1N1インフルエンザ感染の共通危険因子である理由

編集者へ
肥満、高血圧、糖尿病、特定の民族（黒人およびヒスパニック系）は、COVID-19とH1N1インフルエンザ感染の両方に共通する併存疾患であり、重症化の危険因子である可能性が報告されている1,2。したがって、これら4つの危険因子がなぜCOVID-19とH1N1インフルエンザ感染の両方に共通するのか、共通のメカニズムが存在するのかを理解することが重要である。呼吸不全は、COVID-19およびH1N1インフルエンザ感染の重症化に寄与する最も重要な病態である。肥満患者では、制限性呼吸パターンがみられ、肺容積が減少する。重症の場合、この肥満-低換気症候群は呼吸不全につながる可能性がある。さらに、肥満は急性呼吸窮迫症候群（ARDS）発症の危険因子であることが報告されており3、これはCOVID-19とH1N1感染症の両方の重篤な臨床症状である。ARDSで入院した患者のうち、肥満のある患者では肥満のない患者に比べ、腹臥位でPaO2-FiO2比が有意に上昇することが判明している4。COVID-19患者を治療するクリティカルケア臨床医は、ARDS患者は腹臥位での侵襲的換気によく反応するようだと報告しており、それゆえ腹臥位換気はCOVID-19の管理に関する国際的ガイドラインで推奨されている5。肥満のある患者はARDSを発症するリスクが高いが、肥満のない患者と比較して死亡率は低いようである6。肥満は、ARDSの最も一般的な原因である敗血症7患者の死亡率の低下と関連しており、市中肺炎8患者の死亡率の低下とも関連している。これらの現象は「肥満パラドックス」の一例であり、敗血症や市中肺炎の最も一般的な原因が細菌感染であることから、肥満患者では免疫力が高いことを反映している可能性がある9。しかし、免疫反応の亢進は、サイトカインストームとして知られる過剰なサイトカイン産生を引き起こし、感染者によってはARDSや多臓器不全の一因となるため、COVID-19患者にとっては有害である可能性がある。したがって、肥満のパラドックスはCOVID-19感染には当てはまらないかもしれない。肥満は高血圧の危険因子であるが、重要なことは、高血圧がCOVID-19およびH1N1感染の重症度にどのように寄与するかを説明する説得力のあるメカニズムを発表した研究はないということである。高血圧がCOVID-19およびH1N1感染の重症度の危険因子であることを示した先行研究のほとんどは、多重ロジスティック回帰分析に基づいていないか、多重ロジスティック回帰モデルに説明変数として肥満またはBMIを含めていなかった。さらに、入院前の身長・体重測定が行われない救急・重症患者入院では、身長・体重測定の精度が信頼できないことも重要である。したがって、高血圧と肥満の関連による交絡の影響によって統計的な誤差が生じる可能性がある。さらに、糖尿病患者や特定の民族（黒人やヒスパニック系）の患者が、どちらの感染症にもかかりやすい可能性があるとして特定する場合にも、同様の注意が必要である。同様に、異なる民族に属する人々の結果としてCOVID-19による死亡率や各国の肥満率を扱う際にも注意が必要である。注目すべきは、あるレトロスペクティブ・コホート研究で、年齢、糖尿病、高血圧とは別に、肥満または高BMIがCOVID-19重症転帰の予測危険因子であることが示されていることである3。以上の点を考慮すると、高血圧、糖尿病、民族、COVID-19およびH1N1感染の重症度との関連は、肥満によってかなりの程度混同される可能性があると結論できる。

謝辞 本原稿を査読してくださった金子元博士（ヒューストン大学ビクトリア校芸術科学部生物学助教授）に感謝する。