「遠い町のムシカ」について

大友義鎮(宗麟)の元に嫁いだ奈多夫人が主人公。
キリスト教や異文化との関わり合いなどを描く。
2023年末までには完結させる予定です。

第1巻は2019年5月発行

大友義鎮(宗麟)に嫁いだ奈多夫人が主人公の長編漫画
キリスト教や異文化との接触による摩擦、人間関係の歪みなどを描いています
(この物語はフィクションです)

義鎮との出会い

奈多夫人(千寿=仮名)は奈多宮の出身であり、神仏崇拝者であった。
夫の服部右京亮との間に一児をもうけていたが、義鎮との出会いにより世界が一変、彼に想いを募らせていく。
その後二階崩れの変が起き、夫は謀反の疑いをかけられ義鎮の手の者により殺害されてしまった。
そして千寿は義鎮の元に嫁ぐことになる。

千寿の妹・おゆうは侍女として仕えることになる

義鎮は若い頃よりキリスト教に好意的だったが、出家し宗麟と名乗る。
しかし彼はその後もキリスト教に好意的な態度をとり続けていた。

キリスト教に入信した次男の親家は
府内の寺院を攻撃

息子の親家が起こした暴動を見て、千寿はキリスト教を敵視するようになる。
千寿はのちに親家に絶縁を言い渡す。

千寿の兄・紹忍の養子に入った親虎も
キリシタンとなり
家督相続放棄を願い出た

エステバン事件や親虎改宗事件などにおいて、義鎮はできるだけキリシタンを擁護し仏教徒を宥めるように努めてきたが、そのいざこざの中で安らぎを得られないまま日々を過ごしてきた。

義鎮はザビエルとの出会いを
忘れられずにいた


その後、義鎮は少しずつ仏教徒からは距離をとるようになった。
千寿に離縁を言い渡しキリスト教に入信、日向国にキリシタン王国を建設することを誓う。

幼少期より孤独を味わってきた宗麟にとって、キリスト教との出会いは彼にとって救いであった。しかし家臣らや仏教勢力との絡みを考えると容易に改宗などできるわけではなかった。
しかし家督を譲り隠居した宗麟は、これまでのしがらみを振り払い大きな夢を実現させようとする…



あらすじは大体こんな感じです(いつも上手く要約できない)
個人的にネタバレしたくない箇所は伏せました。
宗麟もですが、奈多夫人の方は特にオリジナル設定やストーリーで盛ってるので、あまりここでは語るべきではないかなと。難しいですね。



この作品を描き始めた辺りくらいから、ようやく史実とフィクションの扱い方が自分の中で安定してきたように思います。
今回はストーリー以上に魅力的なキャラ作りを心掛けるようにしました。

最初の頃は、資料を見ながら「私は奈多夫人のことを好きになれるだろうか?」と自問を繰り返していました。
「彼女に対する一般的なイメージはこうだ」とは断言できませんが、資料を素直に読むだけなら、奈多夫人は気性が激しく、陰険なイメージを持たれる人が多いのではないか…と思います。
でも彼女の立場を考えると易々とキリシタンを受け入れられない気持ちも分かりますし、想像を絶する苦悩があったはず。
でもそんな彼女をただ悲劇的に描きたくはないし、作品を暗いイメージにしたくない。

そんな感じで悶々しながら最初は手探り状態でしたが、ストーリーが出来上がっていくにつれ彼女の価値観がはっきり見えてきましたし、同時に他のキャラも自然に出来上がってきましたね。

具体的にどうやってキャラやストーリーを作っていったかは思い出せないけど、パズルみたいにピタッと嵌る瞬間が何度かありました。

(ただキャラもストーリーも生き物なので多少の矛盾やブレは当たり前だと割り切って描いてます)




奈多夫人は歴史創作の題材として扱うのにも難しい人物であると感じています。
まず彼女の場合、人生の一部分だけを切り取ってドラマにすることが難しい。
キリスト教との関係も、夫や子供たちとの不和も、離縁も赦しも、長い年月をかけて築き上げてきた歴史だから何一つ欠かすことができないんだよ!というわけで長くなってしまいました。
話をコンパクトにまとめるのが下手なんだと思う。

長編を描くメリットは、描き損ねた部分を後からフォローできる所だと思います。
この作品でいえば、ザビエルの描かれ方が1巻と2巻で違うのも実は後から設定を変えたからですし(見れる方は2巻のあとがき見てほしい)
あと調べながら描くので、調べる時間も増えるのも良いことだと思います。

ただ、途中で作品への愛情が薄れ描くことが苦行に変わってしまう恐れもあるので、
「描きたい気持ちの内に描き終わる」ことを目標にしています




多分8巻で終わります(現在7巻執筆中)

でも本当に8巻で終わるの…?という疑問はある。
これから地獄第2形態、第3形態とあるんだぞ………
しまづとか…しまづ…


ただ、ここまで描き続けてきて色々細かな反省点はあるものの、その時その時のベストを尽くしてこられたことは誇りに思います。

原の城や呼子鳥などこれまでに多くの作品を作ってきた経験の積み重ねもあり、「最後まで描けるだろうか」という不安の反面で「私ならきっと描ける」という謎の自信も同時にありました。

どうにか最後まで書き切りたいと思います。



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