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FANFUN VRを創る#4

ここからは何回かに分けて、どのようにFANFUN VRの開発を進めていったのかを紹介していきます。
もともと趣味で始めた開発であり、個人的にこんな風に作っていく人もいるんだくらいの感覚で読んで頂ければ幸いです。

■開発のきっかけ

元々のFANFUNを創ったのは1983年。来年FANFUN開発から40周年になることもあり、何か残すものを創りたいという想いからでした。
(VR版にしようとしたのは後付けで、たまたまOculusQuest2を購入した機会に合っていたというのもあります)

当時のFANFUNのパッケージ

当時はパッケージとして形に残るものを創れていましたが、今はネットで配信できる時代。少しでも想いを形にし、何かしらの形で遊べるものを残し・伝えられたらというのがきっかけです。
(そのため、本記事の中にはビジネス的は全く入っていないので、何かしらビジネスのヒントという感じで読まれると肩透かしになるかもしれません)

■「何を創るか」でなく「何が創りたいか」

パソコン時代に開発したFANFUNも、最初は家の扇風機でゴム風船を飛ばしたところから着想しており、当初の着想・想いを形にすることを目的としていました。
昔の作品のリメイクとうたっていますが、昔の創りたかったものを思い出し、別の形で表現するといったほうが正しいのかもしれません。

40年近く前に雑誌の取材を受けた際に撮影してもらった写真

当時のパソコンは8ビットでグラフィック・色数にも限界があり、表現が制限されていましたが、最新の技術を使えば様々な表現が可能になります。
今回VRという表現方法を選んだのも、たまたまVR機器が手に入り、開発環境も簡単に安価にそろえられたいうのもありますが、「何を創りたいか」という想いさえあれば、その時代時代に合わせての技術を使って表現は可能かと思います。

8ビット時代の表現力

今回、開発は1年以上に渡っており、ほぼ毎日実験・改善・改良繰り返しでしたが、毎日積み重なって形になっていくのが楽しみでもあり、誰かのために作ったり稼ぐ目的でなく、自分のために創りたいというのがずっと開発を続けられる原動力になっていたように思います。

■創りながらイメージを具体化

今回の開発は企画らしい企画書というのは作っていません。創りたいもの自体がまだぼんやりしていたというのもありますが、無理して企画書にしてまとめるのではなく、遊びたいもの・楽しめるものを創ってはイメージを固めるというのを繰り返しています。

最初はこんなくらいのイメージ

最初のイメージは、両手に扇風機を持ち、風船を風でまきあげて遊ぶというだけのもの。子供の頃、ボールの海や風船をいっぱい作って遊ぶだけでも
楽しかったあの頃を思い出し、部屋の中にふわふわしたボールを飛ばし、手にもった扇風機で風を起こして舞い上げたら面白いのでは?というのを形にする所からスタート。
その後、もっとのんびりした雰囲気で遊びたいとか、時にはアクション的なものを入れたいとか追加の遊びの要素を取り入れ、イメージを形にしていっています。
今回のFANFUN VRでは点数というものは存在していません。ちょっとした時間に軽く遊べる「ボールや風船がいっぱいある遊び場で、好きなように好きなだけ遊べる空間」をイメージとしています。
(実際、ステージを創ってみたものの、全然面白くないので0ベースで創りなおしというのも結構あり、何度か作っては面白いかどうかで見直ししています)

昔のFANFUNを3D化したイメージ。当初は実験的に作成してボツにしていましたが、お部屋ステージの途中で復活させるようにしました。

■目指したもの

FANFUN VRの内容とは少し離れますが、今回開発にあたって目指したものは「ブロックくずし」としていました。
ルールはシンプルだけど、単純だが様々な遊び方が出来、「ブロックくずし」と言えば誰でもルールや遊び方がわかり、ちょっとしたプログラミングが出来れば真似して作ることができる。そのようなゲームが創りたいと考えていました。
そのためFANFUN VRも登場するキャラクタ(ボール)や動きなどは極力シンプルにし、いつか「FANFUNみたいな感じのゲーム」と真似されるようなゲームになれればと考えています。

ブロックくずしのゲームイメージ。

今はちょっとしたパソコンがあれば、気軽にゲームが作れる時代ですが、グラフィックや音楽が素晴らしくなればなるほど開発が大規模化し、権利も複雑化する上にチーム開発/プロジェクトでの開発が当たり前となり、個人での開発は難しい時代になっているように思います。
そのような時代だからこそ、自分のために作るゲーム、趣味のゲームづくりってのもあってもいいのではと思います。

次回は「どのように創ったのか」について記載したいと思います。


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