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FANFUN VRを創る#7

今回は開発方針・基盤整備の後の、実際ゲームを形にしていく流れについて記載していきます。
実際はもっと試行錯誤・作っては壊しの連続でしたが、大まかな流れを思い出しながら記載しています(大規模な開発プロジェクトでは、もっと企画・設計などプロジェクトに適した進め方があるかと思いますが、過去作品のリメイクにあたり、最も大切にした進め方を中心に記載していますので、開発プロジェクトの流れでいうと違和感があるかもしれませんがご容赦下さい)

■基本的な遊び方を設定

FANFUNのゲームの基本のルールは
 ・天井からボールが出てきて
 ・扇風機の風でボールをコントロールし
 ・一定数ボールをゴールに入れる
というもので、このルール/考え方自体は昔パソコンで作った時と同じとしています。

今回はFANFUNのVR版なので、基本ルールとなる遊び方自体は変えず、遊び方・遊ぶ環境が変わったというイメージです。パソコン時代の固定された(2次元の)視点から、VRならではの様々な視点で天井やボールの位置、ゴールの位置が確認でき、パソコン時代では左右にしか動けなかった扇風機も、両手のコントローラで自由に風を出して操れるのが特徴となっています。

ゴールはパソコン版では左右の穴に入れるだけのものが、立体的なゴールに入れる形に変わるだけですが、一見簡単そうなゴールも立体になると非常に難しくなり、そのためVR版ではゴールに吸い込む風を用意し、ある程度ゴールに近づいたらゴールに自動的に吸い込まれるようにして難易度を調整しています(パソコン版では「ゴールの穴の大きさ」で調整していましたが、難易度が格段に上がったため調整)

パソコン版のゴール。難易度はゴールの「広さ」で調整
VR版のゴール。ゴールの前に吸い込みの風を発生させています。

■バリエーション・アイデア・遊び方に工夫を入れていく

ゲームの基本部分が出来たら、あとは各ステージ毎のバリエーションを増やすとともに、遊び手の上達とともに様々な遊び方の工夫が出来るようアイデアを肉付けしていきます
 
◆バリエーションを増やす
  ・部屋の種類を増やす(迷路や逆さの部屋など)
  ・ボールの種類を増やす(キャラクタボールなど)
  ・操作する対象を増やす(発射するプロペラ・機雷・輪っかなど)
  基本ルールは変えず、さまざまなバリエーションを増やすことで、新しい遊び方・楽しみ方が増えます。

部屋のバリエーションの1つ。迷路の中に隠されたゴールを探してボールを入れるステージ
部屋にあるしかけのバリエーション。壁の色をそろえるとゴールすることが出来ます

◆アイデアを増やす
  ・新しいしかけを増やす(固定FAN、のれん、動く壁など)
  ・ボールの出現条件を増やす(一定間隔、謎を解くなど)
  ・ゴールの種類を増やす(土管、籠など)

しかけの種類の「固定FAN」。風を送ってボールの動きをかく乱させます
しかけの応用。建物につながれたボールは移動範囲が制限されているので、風をうまく操って輪っかに通します

またFANFUN VRでは両手のVRコントローラが使えるため、左右でアクションを変えるようにしています。
・右手コントローラ
 →押し出し方向の風を発生させる
 →発射したプロペラに当たると、ボールが上昇する
・左手コントローラ
 →吸い込み方向の風を発生させる
 →発射したプロペラに当たると、ボールが下降する

発射プロペラは右で上昇。左で下降します。

実際はやってみて、アイデアを形にして面白くないものはどんどん入れ替えていったため、本方針にたどり着くまでは作っては壊しの繰り返しでした(でも、むやみにパワーアップや複雑なものにするのでなく、バリエーションとアイデアで勝負する考え方は変えないようにしていました)

■ゲームとして形にし、改善していく

基本は1ステージずつ開発していきますが、開発・テストを1人で進めているため、どうしても難易度調整が厳しくなりすぎる傾向にあります。
そのため、自身の持つ基準として以下の視点でチェックを進めていました。
 ・自分が遊んで面白いか?(作ることだけに専念していないか)
 ・ずっと、同じ面で遊べるか?(飽きが来ない構成になっているか)
 ・難しすぎる内容/簡単すぎる内容になっていないか(慣れとともに上達する構成になっているか)
 ・ストレスがたまる構成になっていないか(イライラさせていないか)
ある程度チェックを進めてから、第三者的なテストに進めてみたいと考えていますが、各ステージの作成を1~10日あたりで作成し、その後に上記チェックをもとに調整/見直しをかけているため、平均して各ステージの構成には1~3週間ほどかかっていたように思います。

今回、VRの実機で作っては試しに遊んでということを1年以上繰り返し、ほぼ毎日VRゴーグルをかぶって開発を続けていましたが、ちょっとずつ形になっていくのはやはり面白いです。

次回はゲームを支える枠組みの部分について記載していきたいと思います。

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