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雪の南部坂

 東京は坂が多い。洒落た名前がつけられているのがなかなか小憎らしくもある。本もたくさん出ているし、研究家もいるらしい。

 さて、今日通りかかった南部坂である。赤坂六丁目から六本木二丁目にかけてアメリカ大使館職員宿舎を横目に北西へ下る。車1台がようやく通れる狭い道だ。江戸時代南部藩の中屋敷がここにあったのが坂の名の由来だと言う。

 有名なのが忠臣蔵「南部坂雪の別れ」の段。討ち入りの朝、大石内蔵助が南部坂に住む亡き主君浅野内匠頭の妻揺瑤泉院のもとへ浪士の連判状を持参するも、吉良方の密偵の潜入に気づいた内蔵助は「ある西国のさる大名に仕官がかなった。あだ討ちはあきらめた」と嘘でその場を繕い、瑤泉院の非難に耐えつつ永久の別れを胸に雪の南部坂を去るのであった。

http://www.youtube.com/watch?v=UzXLXzhDyUk

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