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家から駅までの道の間に、ある大学の敷地があって、そこに四本の大きな木が立っている

昔、「木はあいさつをしている」という詩を読んだことがあり、私は今の場所に引っ越してきてから、なぜだか特にその木たちに惹かれて、「こんにちは」と心の中であいさつをしている

その四本からより力を感じるのは、街路樹と違ってコンクリートに囲まれていなくて、ちゃんと大地に植わっているからかもしれない

「こんにちは、こんにちは」と心で言ううちに、だんだん仲良くなってきて、今は「いってらっしゃい」「おかえり」を言ってもらえる

風が吹き、さわさわさらさらと
あいさつをしてくれる

嫌なことがあって、木のことなんか忘れている日も
前を通るとき、さわさわと声をかけてくれる
そういうとき、「あ、そうだった」と思う
うっかり忘れていた「ただいま」を言う

遠くからでもわかる
あなたの、おかえりが
私を今に戻してくれる

なにを言っているかよくわからないと思うんだけど、
私はそうなんです
そうやって生きています


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