わたしは小学校のとき、図工の先生に言われたことがある。

「あなた、あの人に似てるわね……
 ほら、あの…」

たぶん版画の授業中、彫刻刀を受け取りにいったときにそんなことを言われたもんだから、ちょっとわくわくした。授業の脱線が嬉しい年頃。しかもわたしに似てる人だなんて!だれでしょう?


「…そうだ!唐沢寿明!」


わたしはその先生がけっこう好きで、唐沢寿明も好きだったので、
「え?」(男性…?まぁ好きだからいいけど…)
となった。そのあと、ものすごく笑った。

小学校のいい思い出って少ないけど、このエピソードはよかった記憶として残っている。
それ以来、他の人に同じことを言われたことはなく、図工の先生だから視点も独特なんだろうなくらいに思っていた。

でも、何年か前、AIの顔判定アプリというものが流行りましたよね。
あれで、女性版を一通り試して、全然当たってないな〜と思って、男性だったらどうなんだろ?と、でき心でやってみたんです。

「一位 唐沢寿明」

何かの伏線を回収してしまった気がしました。

だけど唐沢寿明の画像を検索しても、全然似てないんだよね。「似てる」ってなんなんだろう?

それで、昔、ちょっと年上の初対面の人に、「遠山景織子に似てるね!」と言われて、これもまだ誰にも言われたことがなかったから、「へえ」と思っていた(だがその後、また他の一人に言われた)。

ここまでの一連の話を、職場の人たちにしていたとき、聞いていたひとりが遠山景織子の画像を検索してくれたところ、《半裸の唐沢寿明が遠山景織子を抱きしめているドラマの宣伝写真》があり、その場もわたしも今まで感じたことのない種類の妙な雰囲気になってしまった。笑

だけどどちらも別に本当に似てるわけじゃない。「似てる」ってどこで感じるのだろう。

中学生のときに付き合っていた人が、友達に、「◯◯(私)のどこが好きなの?」と問われて「カマキリみたいでかわいいじゃん」と答えていたことがある。(は?虫じゃん)と思っていたんだけど、そのちょうど10年後、そのとき付き合っていた人に「この写真カマキリみたいですよねって職場の人に見せた〜」と言われた。

カ マ キ リ !

まぁそれで、なんでこんな話を書いているのか自分でもわからなくなってきているのですが。

だいぶ唐突だけど、実は、私が母とぶつからない唯一の話題が「この人、あの人に似てるね」という話なのです。

「この俳優の◯◯さんは、◯◯さんに似ている」

これは、お互いの価値観とか、生き方とか信条とか、ほぼなんにも通さずにできる、貴重な話題なのです。

母も私も、「この人に似てる」の感覚だけが一致している。(顔のかっこよさとか、かわいさの認識はまた別)
唯一ぶつからずに済む話題がこれ。
あとの話題はなんでもぶつかる。笑

でも母に当時、「今日図工の先生に唐沢寿明に似てるって言われた〜」って報告したら、なんかちょっと必死に否定してた気がする。自分の娘が、男性の俳優に似てたらまずいと思ったんだろうか。わたしが傷ついたと思ったんだろうか。そういうことは想像しうるのに、その他のことではいくらでも無自覚に傷つけてくるから謎である。脳の不思議!

まとめ
・わたしは唐沢寿明で遠山景織子でカマキリ!
・人生の後半、母とは「誰が誰に似ている」話だけでやっていくよ!
以上です!

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