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2019年を振り返る

1月

STUDIO 2.0リリースした

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年末から大詰めだったSTUDIO 2.0の開発は年明けまで続き、リリース直前にはかなり遅くまでやってました。夜明け前に帰宅して、歩いているうちに明るくなっていく光景がエモくて印象深いです。

街が封鎖された

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STUDIOのオフィスは渋谷の桜丘町(駅南西エリア)にあったんですが、一帯が大規模な再開発を開始して年明けから道が封鎖されました。こんな都内がいきなり隔離されて廃墟になるというのがわりとおもしろかったです。

3月

『まぼろしの市街戦』を観た

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フランスの1966年の映画です。カルト映画の傑作という触れ込みですが、いやーこれはもうキュートですね。正直映画はフランス映画が一番好きで、特にこの時代はなんでも面白いと思うんですが、なにが面白いんですかね。カルトという点では『不思議惑星キン・ザ・ザ』とかが雰囲気近いかもしれません。

話としてはWW1でイギリス軍とドイツ軍がフランスで戦っていて、町に爆弾が仕掛けられたので無人化し、そこに取り残された精神病棟の人々が街に繰り出して思い思いに着飾って生活するという感じです。狂った世界では狂人こそが正常であるという戦争風刺の映画なわけですが、その見せ方がもう素晴らしいわけなんですよね。

若松孝二監督の『キャタピラー』でも戦時日本が舞台で狂人が出てきますが、戦争が終わると戦争終わったバンザーイって真っ先に言うわけで、つまりは狂ってないんですよね。当時そういうひと結構居たんだよみたいなことトークで言ってた気がします。

僕は映画を見ていて、なんというか魔法がかかる瞬間がある映画がいい映画だなーと思ってます。まぼろしの市街戦においては、狂人たちが街に繰り出しめいめい衣装に身を包むわけですが、娼館のマダムに扮する女性が廃墟の化粧台で鏡に向かいながら口に紅をさすんですね。あれがやっぱりマジックが生まれる瞬間だなーと感じました。

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なんかもうどうやったらこんな世界作れるのっていたく感じ入ってスケッチをしました。特に黄色い衣装に身を包んだヒロインのコクリコとかなんなんですかね。すごいですよね。

映画は虚構でありイリュージョンなんですよね。だから劇中でなにかを演じる映画はわりとメタくて、映画自体を意識させられますし、それは観客自体を舞台に取り込む体験性を生むんですよね。


『佐藤雅彦研究室 カンヌ短編プロジェクト』を観た

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大学時代のゼミの先生がやっている映像プロジェクトがカンヌ短編にノミネートされユーロスペースで上映される機会があったので観に行きました。自分的に短編映像は長編に比べてめっちゃ難しいと思っていて、よくわからないというのが正直なところなんですが、『父 帰る』は分かりやすさがネットでもウケそうだなーと思いました(ネット脳)。

菊池寛の『父帰る』を演じる役者たちのオーディション的な映像(書き割りセット)になっていて、それぞれの役には候補の演者が複数人いるわけですが、それを意図的に混ぜることで、演者が変わりながらもストーリーが進行するという仕掛けです。『去年マリエンバートで』でシーンの時間軸が入れ替わるみたいなのにちょっと近い感じかも。

4月

『STUDIO OPEN 2019』が開催された

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STUDIO 3周年とのことで、note運営のピースオブケイク社にてコミュニティの方々とミートアップが開催されました。ここでユーザーの要望を聞いたり、これからの開発構想などを発表したりしました。


5月

『複雑GUIの会』に参加した

GW中になにかしようということで、はっしゅろっくさんの呼びかけでGUI開発について語り合う会が突発的に開催されたので参加しました。これはツイートしたら面白そうだなと思って実況したり、はっしゅろっくさんが記事を書いたりしたことで界隈からわりと反響がありました。

しかし「複雑GUI」というのが何を指すのかがまだよくわかりません。概念です。次回の技術書典で複雑GUI会の本を出す予定なので、おそらくそこでもうすこし言語化されるのではないかと思います。


『天下一キーボードわいわい会』に行った

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300人くらいが集う自作キーボードのやばいイベントです。ここ2年くらい自分のキーボードに満足してしまっていたんですが、このイベントで新たにいろいろなキーボードに触れて、改めて自作キーボードすごいなーと感銘を受けました。


『株式会社ROXX』に参加した

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毎週水曜日を休みにすれば連続で働くのは2日ずつになるから良いんじゃないかと思い、元々STUDIOでは水曜休みで働いていたんですが、知り合いから声を掛けられて当時同じ渋谷にあったROXX社(当時SCOUTER社)にその空いてる水曜を使って週一でのコミットをはじめました。

こういう形態は自分も初めてですし、週一ではもちろんフルコミットほどのパフォーマンスを発揮することはできないので、どのようにやっていくのかというのはまだまだ課題だと思ってます。

ただ、いろいろな面がSTUDIOとは対極なのでこうして働くことでそれぞれの事業の特長が見えてくるのはいいなと感じています。たとえばROXXだとスクラムでの開発をしっかりやっていますが、STUDIOだと全員ポモドーロとかその場で試していることが多かったり、創業者がデザイナーのSTUDIOだとGUIの価値を高めることが焦点になったりしますが、ROXXではページ数の多い管理画面をどう運用するかというところが課題になってたりします。

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楽器屋ではないです


『わたモテ原画展』に行った

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わたモテこと、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』という漫画をちゃんと知ったのはがい子さんのこのツイートからなんですが、7巻くらいまでずっとぼっちだった主人公が次第に交流の幅を広げていき、いまやド級の青春マンガになっているのがすごくて、すごいんですよ…(言葉を失う)

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吹き出しを貫通するネモ毛


6月

『Claw44』を組み立てて、ErgoDoxを卒業した

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前述の天キーで展示されていた『Claw44』というキーボードのパーツを取り揃え、組み立てました。今までは3年くらいErgoDoxという当時は有名なキーボードを使っていたのですが、気がつけばミニマルにするのが当たり前という感じで30キーしかないキーボードまで出る時代になっていました。

ErgoDoxは80キーもあり、ケースがでかいのが難儀していたのですが、Claw44で半分くらいに削減できたので満足です。


7月

『仙台や』が閉店した

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どローカルニュースですが、38年続いたオフィス近所のドカ盛りの店が閉店しました。そんなに通ってたわけではないんですが、調理する旦那さんと、調理の下準備、接客、皿洗いを全部やる奥さんの二人だけで黙々と切り盛りしてるのがすごいなと思いました。他の店だと4人くらい人手が居るところも多いので。

こういう個人経営の飲食店やラーメン屋などに行くたびに、毎日仕入れをして調理をして店を切り盛りする仕事というのはどういう体験なんだろうと想像するところがあります。


『アニサキス』を摘出した

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お店で刺し身を食べたら夜に胃が痛くなって、まあ気のせいだと思って寝たら、次の日起きてからも一定間隔で強い痛みがあって、うーん来たかー死かー、と思ってググったらどうやら寄生虫のアニサキスによる症状っぽいので病院行きました。先生にありのままの症状を話し、ネット調べでこれアニサキスだと思うんですけどって伝えたんですが、素人がネット知識で本職の人に話すのってすごく恥ずかしかったです。まあアニサキスだったんですけど。

ベッドに寝かされて麻酔嗅がされたら一瞬で意識失って、気づいたらもう処置は終わってて「知らない天井だ」という体験をしました。単純に寄生虫を摘出するだけで完全に治るわけですが、ただ、胃の痛みは虫が胃を刺して生じるのではなくアレルギーによるものだそうで、僕の場合は一日くらい痛みが残りました。

一応食中毒ということなので役所に連絡したら、家に聞き取りに来たり、お店に検査入ったりなどちゃんとお役所仕事が進行して、結果話し合いして医療費など出してもらいました。

ただ、これを読んで、刺し身怖い、寄生虫怖いって思われるとアレなんでこの体験で知り得た情報を書きますと、まず冷凍や養殖物の刺し身なら問題ないです。冷凍すれば死滅しますし、養殖の場合はエサが違って寄生虫が居ないので大丈夫らしいです。

そうではない新鮮な天然物の刺し身の場合(つまりおいしい)、調理師さんが目で見て取り除くわけですが、切った断面ではなく魚の筋肉の中に入り込んでいるような場合だと見落とすケースが出てきます。アニサキスは1-2cmほどの糸状の寄生虫で、タタキにしたりすれば潰せるのですが、厚切りな刺し身の場合だと気をつける必要があります。あとは自衛としてよく噛んで口内ですり潰すくらいでしょうか。

そんなわけで僕としてはまあ(おいしかったし)しょうがないよなーと感じたのですが、お店の方は検査装置を導入されたとのことでした。

あとアニサキスはほっとけば胃の中で死ぬので、たぶんちょっと昔までは、そんなに騒ぐこともなく胃が痛いなーつらいなーで済ませてたんじゃないかなという感じはします。

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摘出したアニサキスが入ってる容器。記念品かーという感じで貰ったんですが、後に役所の人に聞き取りされて回収されました。


8月

『STUDIO 夏合宿』に行った

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神奈川の山北町というところで今後のSTUDIO開発計画を考える夏合宿をしました。去年は千葉の海沿いのサーファーしか居ない町に行ったんですが、こちらはものすごく日本の夏という感じのロケーションでした。カメラを回して久石譲をかければ『菊次郎の夏』みたいな映画がすぐに撮れると思います。


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あと、ここのラーメン屋が親父さん一人だけで切り盛りしててめちゃくちゃ待たされたんですが、これがやたら美味しかったです。この体験が忘れられなくて東京に戻っても背脂のきいたラーメン屋を何店か巡ったんですが、どうにもこの店のような感動を得ることがいまだにできていません。


『Mount & Blade II: Bannerlord』がとうとうリリースに向けて動き出した

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2012年にこのティザー動画が出されたときには、全世界のMount & Bladeファンの心を大いに沸き立たせました。しかし月日の流れは残酷なもので、次第にファンの期待は怒りと失望へと変わり、2020年を迎えようとしています…。(出たら出たで数千時間消費するので困る)


『Pixel 3a』買った

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5万。安い。カメラが良い。さようならiPhone。


9月

『LEDスマートランプ』を買った

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いつも夜ふかししがちなので、夜は時間で勝手に消灯するようにしました。


『目黒寄生虫館』に行った

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目黒といえば寄生虫館なのですが、目黒に長らく住んでいながら今まで行ったことがありませんでした。ただ前述の通り今年はアニサキスに触れ合う機会があったこともあり、ようやく見に行きました。

寄生虫というのは、自身で何かをするより宿主に寄生したほうが効率的であるという生き物の戦略形態であってそれ自体は善も悪もないと思うんですが、やっぱ寄生されたらつらいなーと。あと人間社会において寄生的な戦略を取る人間をどう捉えるかみたいなことも考えてしまいます。


『サタンタンゴ』を観た

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上映時間の長さとその体験性によってイメージフォーラムで話題になっていたタル・ベーラの映画。長回しが特徴的なタル・ベーラがふんだんに長回しをして7時間超えの大作。

タル・ベーラは以前『ニーチェの馬』を観たんですが、創世記を逆回ししたようなついには光さえも失われる世界で、それでも日々じゃがいもを食べて生きていくというじゃがいも映画っぷりにハマりました。

サタンタンゴは7時間18分と長尺ですが、3部構成で間に休憩が入るので、普通の映画3本一気に見る感覚で見れます。名画座だと2本立てが基本ですが、早稲田松竹だと時々3本立てをやったりするのでそういった感覚でいけると思います。あるいはRotR 三部作一気観と捉えてもいいかもしれません。ただし3部全てが長回しというのがサタンタンゴのサタン性でしょう。

後にルーツ氏によるまさかの漫画レポが掲載され、あの映画体験の再現度の高さが素晴らしいと思いました。

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2月に観た『ファニーとアレクサンデル』も5時間超えで長かったです。


10月

『Vue Fes Japan 2019』に台風19号が直撃した

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10月に予定されていたVue.jsの日本最大規模のカンファレンスは運悪く中止となってしまいました。自分は運営側ではないのでただ残念というだけなのですが、開催中止の決断やお金の問題など関係者の苦労が伝わってきました。

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STUDIOとしては登壇予定だった話が宙に浮いてしまい、やっぱり中止されてなかったらどういう感じだったのかなあと今でも思います。


『岸辺のアルバム』全話観た

今回の台風が相当やばいということをきっかけにして、1974年の多摩川水害を題材にした『岸辺のアルバム』を全話通して一気に観ました。自分が子供の頃ってドラマやアニメの最終回ばかりを取り上げて「なつかしいねえ〜」みたいな番組が多かった印象で、それ故に最終回は知ってるけど本編を全然知らないという話が多いです。岸辺のアルバムも最終回で流される家にお別れを言うシーンが繰り返し放送されました。思えばひどい公然ネタバレだと思う。

そんなわけで観始めた岸辺のアルバムは1977年のドラマで山田太一の出世作。STUDIOオフィスのあった渋谷桜丘町もロケ地に登場したりして感慨深いです。70年代って世代的にまだ戦中派のなごりがある時代なんだなあと感じたり。主演の八千草薫の演技がダントツに光っていましたが、奇しくもこれを観てから半月ほどして亡くなられました。


11月

STUDIOオフィスが移転した

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メンバーが増えたので、渋谷から恵比寿ガーデンプレイスにオフィス移転しました。恵比寿はいまのところ体験性がいいですね!


JAMstack記事のインタビューを受けた

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友人のtrkwくんと以前技術書典でJAMstack技術についての本を書いたことではてなとエン・ジャパンで連載しているテック記事のインタビューを受けました。

こういうインタビューは初めてのことで、特にJAMstackというものをどう伝えるのが良いのか悩みましたが、インタビューでいろいろ話して記事を起こしてもらい、校正を重ねてこうして形になったので良かったです。


12月

『PWA Night vol.11 ~PWA × CMS~』で登壇した

以前にPWAを絡めた記事をqiitaに書いたことでお声がけいただいて発表しました。

今回は、正味PWAについては内容薄いのですが、CMSがテーマの回だったのでSTUDIOで開発中のCMSとデザインをNoCodeで実現するデモを紹介しました。


そんな感じの1年でした。


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