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フルリモートを機に引っ越しをして1ヶ月経ちました

引っ越してからだいぶ落ち着いてきたので引っ越し前後の生活の変化を振り返ってみたいと思います。

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fromとto

- 最寄り駅:JR 目黒駅 → 京王相模原線 稲城駅
- 駅まで:徒歩5分 → 徒歩20分
- 広さ:1K 24平米 → 2LDK 68平米
- 家賃:8.5万 → 9万
- 日当たり:悪い(西) → 良い(南)
- 周辺環境:駅前に飲食店が多い → 緑・公園だらけ。でかいスーパーがある

目黒のときは24平米の1Kだったのが、家賃はほぼ据え置きで3倍近い2LDKになりました。駅からの距離は徒歩5分から20分と遠くなりましたが、駅に行く必要が無い生活なので問題ありません。近くに大きいスーパーがあるので日常の買い物は駅前より便利なほどです。

広さ=メモリ

ソフトウェアエンジニアが求める「人権」の一つにメモリがあります。よく安いPCだと初期メモリがケチられてて8GBとか、ひどいものだと4GBとかあります。そしてそれには人権がありません。なぜならば仕事をするスペースが無いからです。

部屋も同じです。リモートワーク以前は、オフィスで仕事をし、街で食事をし、家は寝るだけで良かったです。しかしリモートワーク以後は仕事も食べるのも寝るのも全てが家になってしまいました。

今回は2LDKになって一部屋は完全に段ボール荷物置き場の倉庫状態で実質1LDKしか使ってませんが、掃除する際にそうした空きスペースがあると捗るのもメモリと同様だと思います。

フルリモート生活で生じた課題

以前の記事でリモート化した仕事の変化について書いたのですが、生活の面ではいろいろと課題を抱えるようになりました。

- 運動不足
- 都心であることのメリットの消失
- 自宅作業スペース確保の必要性

主に感じたのはこの3つです。


運動不足

堂々と引きこもれるようになり、ベッドから起きて徒歩1歩で仕事という環境は最初のうちは新鮮だったのですが、そのうちだんだんと破綻が感じられてきました。

やはり通勤が無くなったことで運動量が皆無になりました。家の周囲を気軽に散歩できる環境が切実に欲しくなり、この直後のタイミングで多摩の物件めぐりをしたことで引っ越しを決めました。


都心であることのメリットの消失

目黒駅前という立地は山手線や地下鉄があり大抵の職場にドアtoドアで30分以内に行けるのが便利で(渋谷・恵比寿オフィスには徒歩通勤してた)、部屋の広さに多少不満はありましたがそれ以外は特に引っ越す理由が無かったので10年以上住んでいました。

しかし通勤の概念が無くなってしまったのであまり住み続ける必要もなくなりました。

さらに加えて羽田新ルートの問題が出てきました。2020年3月末から羽田空港に着陸する飛行機が新ルートになり、恵比寿~目黒~五反田~大崎の山手線上空を飛ぶようになったのです。


コメント 2020-08-28 082805

目黒上空を通るときには高度2000ftの状態であり、直下であれば74dBの騒音を受けます。

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これが15時~19時の4時間に渡り4,5分に一回飛んでくるようになったので、かなり集中を妨げられるようになりました。これまで騒音と無縁だった環境ということもあり、だいぶストレスに感じる日々が続きました。


自宅作業スペース確保の必要性

フルリモートというと通勤しなくて済むメリットが持て囃されますが、しかしその実態としては、オフィスで賄っていた機能を自宅に持ち込むということに他なりません。

オフィスにあるものといえばいろいろあります。

- デスク
- 作業用PC機器
- 室内の温度管理
- 適切な照明
- ウォーターサーバー
- 生活感と切り離されたスペース、音響、ムード
- 近隣の食事環境
- 同僚
- 光熱費

今まで通勤生活をしていた人がこれらの機能を十分に自宅に持ち込むというのはどうしても難しいはずです。

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オフィス

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自宅(机が狭い、部屋が暗い、西日が暑い、開放感が無い)

PC仕事はノマドのように場所を選ばないというのはあるんですが、それでもオフィスでできていたことをちゃんと果たすにはまともな環境があるべきだと思います。

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リモートだからといってこういった環境で仕事というのは(保育問題自体は別として)だいぶつらく感じます。


住生活基本計画における「居住面積水準」

引っ越しに関連していろいろ調べて知ったことに、国の想定する暮らしの水準がありました。


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世帯人数に応じた住まいの広さについて、「最低居住面積水準」は必要不可欠な面積、「誘導居住面積水準」は豊かな生活のために必要な面積です。

これによると単身世帯では最低でも25平米、理想は40平米以上という想定になります。

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しかし最低居住面積水準に満たない世帯は単身だと特に多く、横浜市の資料では24.1%も存在します。自分が住んでいたところも24平米なので最低水準未満だったことを知りました。

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居住水準から住宅水準への転換をめぐって

都市での単身世帯の居住面積が特に狭いのは、生活機能の大半を都市に委ねることによって、自宅にはねぐらとしての機能さえあれば最低限成り立つという割り切りが(好むと好まざるとにかかわらず)あると思います。食事は全て外食であればキッチンすら不要になります。

しかしこのへんの事情がフルリモートになると大きく影響されます。前述の仕事環境を自宅に持ち込むことや、食事を自宅でするようになると、最低水準未満というのは十分な機能が果たせなくなるはずです。

そしてそもそも国の想定する都市型世帯の水準は通勤を前提にした生活なので、リモート仕事をするのであれば+10平米くらいの水準が必要になってくるように思います。

つまり都市の単身世帯というと1Rや1Kばかりですが、フルリモート環境では最低でも1LDKといった広さが新しい基準になるべきなんじゃないかと思いました。


住みよい環境を求めて

今回の引越しはリモートだから実際どこでも良かったわけですが、じゃあどこにする?というのにはちょっと悩みました。普通の引越しであれば通勤・通学の沿線や駅からの距離という条件で絞られるはずですが、しかし通勤しないとなると沿線も駅からの距離も関係なくなります。

(一応、完全に東京を離れて地方暮らしというのも選択肢としてはあるのですが、さすがに何のつてもないのでとりあえず東京郊外をターゲットにしました)

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そこでさきほどの広さ基準から考えることにして、賃貸の地図検索で「家賃10万以内、50平米以上」といった条件で探しました。まあこれが完全に多摩川を境にして相場が分かれるわけですが、予想してたとはいえすごくはっきり出ました。

そうしてこのあたりの物件をいろいろと見ていったのですが、しかしGoogleMapsで周辺環境を確かめてみると、隣家に密接していて日当たりや眺望がゼロということが往々にしてありました。広さはクリアしたとしても、一日家に居るのだから日当たりや周りの住環境も大きな課題になってきます。

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さらにGoogleMapsを眺めていると気づいたことがありました。米軍基地に付随する米軍住宅です。普通の日本住宅がひしめき合っている中、米軍住宅は圧倒的なスペースを持っています。これが日本とアメリカの差か…と感じざるを得ませんでした。

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それに加えて気になったのは団地の存在です。

団地というのは基本的に緑地を有していて、南側から見下ろした視点では各棟が重ならないように配置されています。つまり多数の住戸がちゃんと日照確保できていて、そして共有のスペースが存在するということです。

団地暮らしは経験したことがなかったのですが、こうして大規模に計画的な住環境を作るというのは行政でないとできないよなあと思い、それに比べると民間住宅は部屋の中は整えてもそれ以外は無計画だと感じるようになりました。つまり行政最高ということです。

公営住宅とUR住宅

団地にはいくつかタイプがあり、地方自治体が運営する公営住宅と、行政が運営する公団住宅(現UR)があるというのも知りました。

公営の方は低所得者層向けで収入が一定基準以下であることが条件になっていて、いわゆる団地というとそのイメージだったんですが、URは逆に一定以上の収入が条件となるので民間住宅に近いところがあります。

物件も民間のサイトでは取り扱って無いので出てきません。UR物件はURのサイトか店でのみ探せます。

基本的に駅から遠い郊外地に開発されたファミリー向け住宅といった感じなのですが、値段が安く都心のワンルームからすると何倍もの部屋に住めるので、広さと住環境を求めている自分にはちょうどいい感じでした。

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URだと特に周辺環境も含めた開発がされているので、物件情報以外に「住まいリポート」という欄があり、ここにその地区の住みやすさが語られてるのが特徴だと思います。

稲城について

そうしてなんとなく見えてきたのが、多摩ニュータウンの一角である稲城という場所でした。

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多摩川の南側エリアというのは南武線が東西に通っていて、都心からの放射状路線と交差したところに大きな街があります。

東から、川崎、武蔵小杉、溝の口、登戸となってますが、その先は…となるとだいぶ馴染みが薄くなる、つまりそこが多摩の入り口、稲城です。

だいたい多摩というのがどこなのか東京に長年住んでいてもよく分かってなかったんですが、23区外は総じて多摩になります。

さらに多摩ニュータウンというのは多摩川以南の南多摩地域に所在する多摩市を中心に開発された地区です。

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ニュータウンという名前ですが計画が昭和40年代のものなのでもう半世紀経ってだいぶオールド感あります。ただ第1~第3住区である稲城市に関しては河川の整備に時間がかかったことによって計画が20年ほど遅れたため、初期の住区に対して比較的新しいところです。

特に団地が作られまくった高度成長期には質より量で緊急に住宅を用意する必要性があったため、後に生活上さまざまな課題が出てきました。そうした点が後の時代ほど改善されているという感じです。

(…といった団地の歴史に興味が出てめっちゃ調べるようになった)

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STUDIO社は海好きのメンバーが多く何人か海の方に引っ越したのですが、自分は海よりも圧倒的に緑を求めているというのを改めて自覚しました。

都心には無い緑豊かな街並みを見るだけでめちゃくちゃ満足度が高かったです。

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そうしたわけで稲城という街に対してとても愛着が湧いていて、これまで都心の街に対しては便利だなと思うことはあっても、街を好きになるということは無かったなという気がしました。

こういう街を作ってくれてありがたいという気持ちがあります。

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あと引っ越してからは自転車買ったり、ベランダに芝を敷いたり、洗濯乾燥機や昇降デスクを買ったりと、いろいろと生活向上のためにやろうとしたことが実現できた感じです。

まとめ

- 運動不足 → サイクリングや散歩ができるようになった
- 都心であることのメリットの消失 → 郊外で緑豊かな環境
- 自宅作業スペース確保の必要性 → 仕事部屋ができた

引っ越し前に感じた生活の課題点はこれで一通り解消できました。

住宅については広さはもちろん申し分ないし、設備も整ってるし、日当たりもいいし、風通しも良く、とても満足してます。


ただ、おそらくこうしたリモート生活も続けていくと、これはこれでまた新たな課題も出てくるように思います。

仕事をしているときに、誰かがまわりにいることで、がんばろう、と思うこともわかりました。誰かの目が近くにあると、成果を出すことに自然と前向きになれる。共同作業はひとりひとりの作業の合計ではない。かけ算でした。組み合わせたら倍になっていく。ところがテレワーク下だと、足し算の感触です。それぞれ別々の場所で生み出したものを足し算すれば確かにモノはできるのですが、決してそれ以上にはならない。

リモートで仕事をする上で感じるのはやはりこういうところがあります。この先どういう情勢になっていくのかまだ分からないところですが、まあ引っ越し自体はわりと気軽にやっていくべきなのかもしれません。(単身であれば)

これまで引っ越しに伴う費用が無駄になるという懸念があったのですが、URの場合だと敷金以外の礼金や仲介手数料がゼロなので、敷金がだいたい返ってくるとすれば、実質引越し業者代(今回は3万)だけで環境を変えられるんだなと改めて思いました。

ただいずれにしても、もう都心の密集した環境にはしばらく住まないんじゃないかなーと思っています。

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