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「家族製本の物語」vol.1— 4世代家族が見上げる妙義山 国際結婚した娘夫婦が里帰りした1日に密着


「インタビューと撮影の時間を、家族のためだけに使って、家族のための1冊を作ってお届けしよう」

6年ほど前に着想した「家族製本」プロジェクト。雑誌『AERA』の巻末連載「はたらく夫婦カンケイ」で長らくご一緒してきた写真家のキッチンミノルさんと一緒に始めた個人活動です。


どんなに仲良しで、どんなに理解し合えていると信じる家族でも、第三者によるインタビューを通じて初めて表出できる思い、初めて知る発見があります。

そして、今その時の感情は、とどまってはくれません。

「あの時、これを伝えておけばよかった」「いつか忘れてしまうかもしれないから、記録しておきたい言葉がある」

たとえそれが荒削りな日常の言葉であっても、後から振り返れば宝物になる。そんな経験、きっと誰でもお持ちではないでしょうか。

普段はメディアの記事や書籍の制作に携わっている私たちですが、「家族製本」では個人のご家族のご要望に応じて、個人宅や思い出の場所まで伺い、インタビューと写真の撮影をしてきました。

聞いたお話は、エッセンスを選択して私が文章化。紙好き・本好きの熱烈なファンを抱える美篶堂さんがオーダーメイドで作ってくださった(構想〜試作〜完成まで3年ほど!)美しい手製本に、ちょっと古風な仕様で綴ります。

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写真は質感のあるプリントに仕上げて、写真立てとしても使える表紙に貼り付け。巻末にあるDVDには撮影したデータやインタビューの録音データも収納してお渡ししています。

これまで見本用のモデルも含めて様々なご家族の本づくりに立ち会ってきましたが、どのケースも本当に素敵な時間になりました。家族にとって大切な時間に立ち会える。作り手の私たちのほうが、幸せを受け取らせていただけるのです。

スマホアプリで簡単にフォトアルバムを自作できる今だからこそ、第三者とじっくりと時間をかけて形あるものをつくる価値を提供していければと思うのです。

・・・と、説明しても伝わりづらいのが歯痒いところ(なんといっても、他にはないプロダクトなので!)。このnoteでは少しずつ過去の事例紹介をしていきたいと考えています。いろいろな家族の「綴るひととき」を、ちょっとだけ披露させていただきます(ご登場いただくご家族には事前にご承諾をいただいています)。

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結婚式で伝えることができなかった「娘へ」

1番目の事例としてご紹介するのは、佐藤優子さんがつくってくださった家族製本。1年に一度、4世代の家族が集まった記念の1冊です。

優子さんのパートナーはドイツ人のアコッシュさん。日本で出会い、結婚してからはミュンヘン在住となり、愛息・シモン君も生まれました。

生活の拠点を海外に移してからは、故郷・群馬で代々農業を営むご両親と顔を合わせる機会も限られたものになっていたそうです。

「家族製本」の撮影・インタビューを受けたのは、その滅多にない里帰りの1日でした。
優子さん親子と、ご両親、そしておじいさま。実に4世代の肖像です。
家族で重ねてきた時間のすべてを知っている妙義山が見下ろす緑の田園で、記念の写真を撮りました。

インタビューは、あえて世帯ごとに別室で。
娘夫婦から親夫婦へ。親夫婦から娘夫婦へ。お互いに伝えたいメッセージを、語っていただきました。
聞けば、優子さん夫婦は結婚式を挙げていないため、あらためて親子で思いを伝え合う機会はなかったのだそう。

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言葉が通じないゆえに、最初はぎこちなかったというアコッシュさんとお義父さんですが、今では「目を見ればなんとなく分かる」という間柄になったそう。

国境を越えて、言葉を越えて。
この時でしか残せない家族の記録となりました。

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ミュンヘンから届いた優子さんからのおたよりの一部をご紹介します。

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ごく普通の家族がプロのライターさんに話を聞いてもらうチャンスなんてまずないので、写真撮影も含めて特別な時間が持てたと思います。
ライターさんによって文に起こされた自分の言葉って不思議ですね。キッチンさんの暖かく(いい意味で)飾り気のない写真に、あの時の自分の言葉が残せてよかったです。
後半にある白紙のページに、これからの家族のメッセージが加わるのも楽しみです。
私たちは日記などをマメにつけられないので、人生の節目にこういう機会があって、写真と文章で思い出を残せるのは家族の歴史を振り返るのに助かります。
子どもの成長とともに、その時その時の親からのメッセージを残せるのもよいですね。

私たちはあらたまった結婚式をしていなかったので、こうして両親に少しでも感謝の気持ちを伝えられて、それが形になって残せて、いい機会になりました。

本の装丁も布張りで品があって素敵ですね。また機会がありましたら数年後に家族製本の2冊目をお願いしたいです。

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この後に「家族がもう1人増えました」と嬉しいご報告をくださった優子さんと、2冊目の家族製本を作れる日を楽しみにしています。


◆お知らせ◆

【先着5組限定・家族製本インタビュー体験&撮影会を開催します】

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昨年初めて開催して好評いただきましたミニ体験会、
おなじみ、荻窪Titleさんのギャラリーで第2回を開催できることになりました。

本をつくる一歩手前の体験をお楽しみいただける機会として、
(1)20分ほどのミニインタビュー by宮本恵理子
(こちらが用意したテーマカードから、お話ししたいテーマを選んでいただき、お話を聴かせていただきます。「何を話そうかな?」と準備いただかなくてもOK。話してみたいテーマのご提案も大歓迎です。家族と一緒に受けるインタビュー体験をお楽しみください)
(2)ギャラリー内でご家族の写真撮影 byキッチンミノル

家族の思い出を振り返ったり、未来に向けて約束を確認したり、面と向かっては言いづらい思いをインタビューを介して話してみたり。
そんな時間の価値をほんの少し、体験していただけると嬉しいです。

感染症予防のため、完全予約・入れ替え制で
2日間で5組限定です(1組4名まで、撮影時を除いてマスク着用をお願いします)。

撮った写真はご希望の1カットをプリントして後日お送りします。
1カット税別5,000円(ご希望によりカット追加も可)でご体験いただける特別価格です。
「最近、家族写真撮っていなかった!」という方も、ぜひこの機会をご活用ください。

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会場内では、家族製本の実物サンプルや写真も展示しております。
階下の書店&カフェでも、じっくりと知的探索と美味しい時間をお楽しみください。

ご希望の方は、下記の日程からご都合のいい候補をお選びいただき、下記のご案内ページより(またはメール contact@kazokuseihon.com 宛まで)ご連絡くださいませ。
https://www.title-books.com/event/7661

◆10月3日(土)13〜14時

◆10月3日(土)15〜16時

◆10月3日(土)17〜18時

◆10月4日(日)13〜14時

◆10月4日(日)15〜16時

ぜひお早めにどうぞ。
お待ちしております🍎

家族製本主宰
宮本恵理子

https://kazokuseihon.com


荻窪駅より徒歩10分 Title にて
(1Fが書店&カフェ、2Fがギャラリー)
東京都杉並区桃井1-5-2
TEL:03‐6884‐2894


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