美術館脱毛ダンス

・予定は極力1日にまとめたい。特に都心に出る用事は人がたくさんいてダルいのでギュッとしたところ、昨日は美術館をに行って脱毛を受けてダンスを観てきた。

・「痛み」を「カルチャー」でサンドする作戦だ。まいったか。

・ちなみに脱毛とダンスの話はしません。

・東京国立近代美術館で行われているゲルハルト・リヒター展。ちなみにこの人のことはな〜んも知らない。てか美術の知識がそもそも皆無である。ただ現代アートと印象派がなんとなく好きで(おもろいから)、両方の要素がありそうなので行ってみた。

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・おお…「そういうの」だ。現代アートを揶揄するときに一番頻出する「そういうの」だけど、ちゃんと間近でみたのは初めてかも。美術品あるあるだけどまずデカさにビビる。これは特に遠近感がバグるが軽く自分の背丈を超えていた。

・どういうつもりなんだろな。馬鹿にしているとかではなく、これを書いているときの心情は想像がつかない。一番最初に左上に刷毛を置いた時と最後に右下を塗りつぶした時でどう気持ちが変わるんだ。中盤でちょっと一瞬「やべ結構ダルいな〜」とか思うのかな。

・これはちょっと立体感があって、よくみるとタイトルの通り樹皮のような質感がある。「グレイはなんも浮かばないつまんねぇ色だけど、それを使い分けて素敵にしてみました」みたいな解説があった。確かに彩度がないことでより質感や陰影に意識が向く。

・「こういうの」を描くことに対して、多少なりとも「かまし精神」みたいがあるのは否定できない気がするな。マイナスな意味ではなく世間への問いかけの一種としてのかまし。本作は1970年代の作品たちだけど、流石にリヒターはこういう一色のみで描いちゃいました系を史上初めてやった人物ではないだろう。おそらく。そうなると多少「かましの純度」みたいのは薄れる気がする、先駆者の存在がどうしても頭にチラついてしまうから。

・例えば「パソコンのウィンドウ上で全部進行する映画」とか「途中までいい曲なのにサビに入った瞬間にふざけるコミックソング」みたいなアイデアは、本当に一番最初にやった人間にのみ与えられる賞賛が必要だと思う。一方で、「はいはいそのパターンね」の状態になるまで繰り返し使用され定着しても色褪せないアイデアたちがあり、それらは案外汎用かつ大衆的に感じられる。超画期的かましがパターンの一種として帰結するまでの文化の流れは面白い。

・うん。別にちゃんと面白い。これは「途中までいい曲なのにサビに入った瞬間にふざけるコミックソング」というパターンがいかに素晴らしいものかよくわかる。最初にやったのは誰なんだろうな。そういうのをまとめたサイトとかないのかな。緩急というのはユーモアの基礎だし、割と伝統文化にあったりするのかも。

・あれよ、免許。その感じならどっちか。

・でけ〜。ランダムな色のタイルがとにかく並んでいる。

・ほとんど同じような色合いが並んでいるマスが結構あるのが面白いな。ランダムに配置するぞ!って思うとこれは回避したくなるのが人間の性だ。でも実際に乱数をもとに生成したらそういう箇所も絶対あるだろう。人為性のある過剰なランダムではなくてガチのランダムだ。

・これすごかったな。まずめちゃくちゃでかい上に縦横比がすごい。記憶の限りだと高さが1~2mなのに対して横幅10mくらいあった気がする。これはマジです。大きめの駅の改札にある一番でかい広告くらい。

・だってほら、写真何枚か録ったのに画角に全部収まってない。

・そんなことは当然前提とされてないけど、現代の規格に慣れた人間からすると縦横比の時点でかなり頭が混乱する。普段我々がみている大半の画像は16:9の画面で見ることを前提に制作されているんだなぁと改めて思う。

・自身の絵をもとにコンピュータで生成したんだったかな。流石にそうよね。美大の卒展とか行くとたまにこういうのを手書きでやってる変態がいる。

・これの端っこでダッシュしたらすごい速く走ってる人に見えないかな。




・人はかなり多かったな。ダッシュできないくらいには。みんな「ほぉ…」とか「なるほどねぇ… 」とか言っていた。

・いかにも美術品が好きそうな奥様や個性的な出立ちの美大生だけでなく、タンクトップ一枚のジジイとかありえないくらい声でかいババアの群れもいた。素晴らしい作品ゆえ人を選ばない(赤ちゃんがずっと泣いてたのはちょっと勘弁して欲しかったけど)。まあこれから口元に電撃を喰らうボカロPも混じってるから人のこと言えないね。

・中盤、入り口付近で見るからに頭の悪い大学生4人がやってきて驚いた。いやこんなこと言ってはいけないのだけど、いくらなんでも「見るからに」だったから…客観視を欠いた身振り手振りや声量、多くの人が使用する出入り口で自撮りしながら大声で喋る様は、あまりに美術館に似つかわしくなくてちょっと面白かった。

・服装も女子ウケ最優先って感じだったし。「天使にラブソングを」で聖歌隊の歌声を聞いた学生たちが教会に入ってくるところかよ(インターネットのオタクはそこしか知らない)。彼らはなぜここに足を運んで、これから何を感じるんだ???案外とてつもないインスピレーションを得るのかもしれない。


・うわなんか、怖っ。油彩画なのに、写真にガウスぼかしをかけたような質感でめちゃくちゃ気持ち悪くなる。不穏さってこういう表現もあるんだ。

・SCPとかを間近でみたような居心地の悪さがある。見たことないけど。



そんな感じで「ふ〜ん」という感想のまま出口へ向かった。



・出口の先はグッズコーナーになっており、さっきの横長絵がノートになって販売されていた。


・面白すぎ。

・なんか、ここに入った瞬間一気に俗っぽくなって笑ってしまった。他にもマグカップとかTシャツとか。さっきまでみんな「ほぉ…」とか「なるほどねぇ… 」とか言ってたじゃん。

・急にビジネスの視点に切り替わると、さっきの横長の絵は単なる「おもしろ横長画像」でしかなくなるのがすごいな。めっちゃ横長のメモ帳おもろいでしょw、の材料として消費される。いや、実際のところ鑑賞者の自分もさっきまでオモロの視点でしかみれてないから文句は言えないんだけど、ここまで明らかにされると驚く。この面白がり方でよかったんかい。

・照明も急に明るくなって購買意欲を加速させる。昔から美術とビジネスに深い関係があるのは事実だけど、現代だとこうなるんだ。チケットよりグッズで売り上げを出すのはバンドマンと一緒だ。

・3685円は高すぎるのでいらないです。

【美術館あるある】
思いっきり壁に印刷してるけど大丈夫??
これ企画展でしょ?終わったら消すんだよね??

敷金とかどうすんの?

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