聞いてよ

【ことのは１００】１１．ひとりごと
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雨、やまないね。なんか雨ってなにもやる気なくなっちゃうな。
そうだ、私のひとりごと、聞いてよ。
私ね、昔、歌手になりたかったの。
シンガーソングライターとして、アコギかついで世界一周、なんてやってみせてさ。
夢、だったんだ。
だからいろんなオーディションも受けたし、ライブにも出た。
けどね、途中で怖くなっちゃった。
「私はこうして歌って何を得るんだろう？」
「私は歌手として人生を終えるとき何を残したって言えるんだろう？」って。
そうやって考えると、止まらなくなった。
辛かったなぁ。
ギターも弾けなくなった。持っても、手が動かなくて、それで……。
私は歌手を捨てたんだ。
あんなこと思わなかったら、きっと幸せだったんだろうね。
でも私は考えてしまった。
何も考えず、がむしゃらに夢を追いかける、そんな人生もありだったななんて、今頃考えてさ。
結局、私は何もつかめないまま、今に至るんだよ。
今私の周りにいる誰かは、私を大切に想ってくれているのかな？
みんなは、私を認めてくれるのかな？
そんな風にまた考えて、ぐるぐるして結局解決できなくて。
そういう運命なんだって気づいたのは最近。
だからね、私ちゃんと私を信じるよ。
私自身を認めてあげたいの。
ねぇ、君はさ、私を認めてくれる？
あははっ、面白いこと言うね。そっか、君は……。
君……は……。
ごめん、ごめんね、泣くつもりじゃなかったんだよ。
なんかこぼれてきちゃったんだよ。
私は、信じてほしいって思っちゃうんだよね。
認めてほしいんだ。
馬鹿だね、私。素直になればいいんだけどさ。
不器用なんだ、ごめんね、本当に。