何者でもない私は

【ことのは100】１７．裏切られた想い
https://miyabiyuubae21.wixsite.com/kotonoha

小さな頃はなんにでもなれると
そう信じて歩いてきた

世界はなぜか　醜いあひるには
時に厳しく　時に激しく

夢の中では何にでもなれた
思い出すのは小さな頃の笑顔だけ

私は悪魔よ

もしも太陽になれたら　この存在は光り輝いて
誰かを照らし生物を繁栄させるわ
もしも月になれたら　この存在は光り輝いて
暗闇の中歩く道を照らしてあげるの

そんなifの世界ばかり考えて
鏡に映るのは醜い私だけ
「そうね君には何もできない
　無力で貪欲な　醜い人間さ」

たった一つ　許せないこと
それだけが私の　人生の後悔

醜い私が伸ばす手を　誰がとってくれるんだろう
生きているのさえ精一杯なのに　幸せなんて一つもない

珍しいね君って　裏では嘲笑して
知っている醜い私は　裏切られた想い

私は天使よ

もしも風になれたら　この存在は自由になって
誰かがつらい時その背中を押してやれる
もしも炎になれたら　この存在は温かくて
か細いその身体をあたためてやれる

そんなifの世界ばかり考えて
目の前にいるあなたが憎くて
いや違う　一番悪いのは
すべて私　悪いのは天使なの

小さな願いさえ叶わないこと
大きなものほど遠くにあること
知ってる　知ってるさ
わかってる　わかってるよ
だからこんなにも涙が出るんだろ

今日も世界のどこかで
殺される人がいる
明日も世界のどこかで
生き延びる人がいる
どこまで生き続ければ
いつまで生き続ければ
私ははじめて「わたし」になれるんだろう

私は何者でもない

もしも私が「わたし」なら　その存在は夢のようで
それでも前を向けるくらい強いんだろう
もしも私が「わたし」なら　その存在はまぶしすぎて
それでも生きていけるくらい幸せに満ちている

そんなifの世界をいつか
本物に変えたくなって
それでも醜い私は
今でも血を流し続ける
泣き叫んだこの夜がほら
星となって輝き続ければ
もっと私は「わたし」に
近づけるはずなんだよな

愛される人に　愛せる人に　なりたいだけ

大人になって　あきらめることが多くなった
醜い私は　「わたし」になれたよ
それでも夢を忘れて生きている
その方が幸せになれると　信じ続けて