2.独り
独りじゃないのに、独りだと思うことが、たまにある。
たぶん、ここでもそう。
こうしようと決意したはずなのに、なぜか悲しくなる。
何かから離れることは、それなりに勇気がいることで。
残業は定時には終わらず、上司はほかの社員が帰るのを見守っている。
早く終わらせなきゃ、迷惑をかけてしまう。
でも私は、私の心は限界に近かった。
悩みは、目頭を熱くさせた。
震える手をいなすようにして、机に向かう。
やっと仕事が終わって、上司に提出する。
と、涙が溢れそうになってくる。
だけど、上司はそんな様子に気づかずに会社を去っていくのだ。
所詮、仕事上の関係。
私は、独り残った会社で、静かに泣いた。
崩れ落ちた。
誰かに気づいてほしいけれど、ここは少女漫画の世界ではなくて。
そんな世界の中で、独りぼっちになることが、あるのだ。
家族といても、友人といても、そうなるときがある。
こんな違和感を抱えた私に、首をかしげる人は多い。
誰かと話すのが好きなんでしょう?
「違うの」
じゃあ一人でいればいいじゃない?
「それも違うの」
たぶん私の中には二人の存在があって
それはどこまでも理解されないのだろう。
子どもでいる限り、こうなってしまう。
仕方ない。
仕方ないで終わらせたくない。
ああもうめんどくさい。
なのに独りぼっちじゃ寂しいや。