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激情
心の水が枯れるまで、僕は君を求め続ける。
その腕の血管に流れる血液さえも美しいのだろう。
君の大きな手と、僕の小さくて丸っこい手。
重ね合わせたらどうやって溶け合うだろう。
左手薬指にはめられたゆるい指輪をとったりつけたりする。
それが君の癖。あとよく愛想笑いをする。
そんな癖さえ、愛おしく、僕を狂わせる。
そして、さりげなく見ていることを、僕は知っている。
それでも気づかれないようにと取り繕うのを、僕は知っている。
だから僕は今日も笑顔でって君を見るけれど、
どうしようもなく刻々と迫るその日を思い出して涙が出る。
僕が偽れば偽るほど、君の前にいる僕は素直になる。
君の声に呼ばれた僕の名前を耳がくみ取り、脳に伝達されると、
体じゅうの細胞がうずいてやまなくて震える。
それは歓喜の振動か。
でもたまに欲しがりになる僕は、君からささやいてほしいと願う。
そんなこと絶対にない、ないのだけれど。
シニカルに生きようとする僕の身体を、唯一興奮させる君。
吸い込まれそうになる黒の瞳に見つめられるとくらっとする。
ペンを走らせるその手の動きと真剣な顔つきに胸がつまる。
その長い腕を捕まえて、僕の方へ君の身体を寄せて重ねたい。
大きな背中をぽんぽんと叩いて二人で安らかなる場所へ行きたい。
笑えるだろうか。ばかばかしい、青春の過ちだというだろうか。
でも僕は、今感じているこの気持ちをぽいとタンスに入れて、
それをあとあと眺めては微笑むようなことは許せない。
許したくない。
たとえこの身が朽ち果て何かを燃やしてでも、僕はこの恋情を捨てない。
激しい渦に巻き込まれようとその渦に意味があるのなら僕は流れ去ってしまいたい。
だから今、君を感じる。
身体の奥深くで、体の表面で、この心壊れるまでに君を僕の一部にする。