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夢と夜はよく似てる。

【ことのは100】18.切なさ
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夜の校舎 踏み入れる
上履きを履いて 歩き出す
どこまでも続く 暗闇が
僕の人生の ようだった

木製の机 彫られた文字
「さびしいよ 君がいなくて」
心の穴が ぽっかり空いて
机の縁に すっかり埋まる

何かが足りなくて
孤独を愛せなくて
また息をする 濃度が増す
夢の中では笑うの
夜の中では泣くの
対偶をとり ごまかすの

かさぶたをとっても
にきびをつぶしても
結局最後は終わる
覆い隠して 知らんぷりして
そうやって社会はできる

それでなにが解決する?
言葉にできないものが増えて

寂しさを埋めてく
孤独を愛したくて
また夢を見る 涙を流す
星空は苦しみ笑うの
青空は愉しみ泣くの
すぐダメになる 濃度が増す

これ以上言葉を重ねて
意味のない時間を繰り返す
孤独はどっかで微笑む
寂しさはいつまでも泣いてるの
そんな心が割れてく
誰も知らずに 何も知らずに

理解さえできない叫び
ダメになってくアタマ
握りしめた布団を剥いで
ベランダに出て 足をかけて
そのまま下に堕ちていく

結局心がむなしい
誰にも言えずに 何も言えずに
理解されたいわけじゃない
だけど聞いてほしいの
割れてる心に風が吹き込む
それだけで哀しくなる
握りつぶされるような心地
息ができなくなる

廊下にひとりたたずむ
まぶしいライトをあてられ
「そこに誰かいる?」
『誰もいないさ』
「気のせいか」
闇夜の校舎 人間は独り

何かが足りなくて
孤独を愛したくて
切ない心はうたう
わけもわからずに

何かがかなしくて
何かがくるしくて
わからないけれど
何かが襲ってくる

それを言葉にすらできない
それでも生きてゆかなくちゃいけない
だから星で埋めるの 光で満たすの
心にぽっかり空いた穴
体にゆっくり刺さる傷
生ぬるい風が満たしてくれる
『それでいいや』
光は灰となり溶けていく
闇夜に滲み 染みこんでゆく