これからの時代に求められる思考フレームとは
※このnote記事は、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース 「クリエイティブリーダシップ特論 」 の課題エッセイとして記載したものである。
企業や組織が、限界や領域を超えていくことを現実にするデザイン・イノベーション・ファームTakramの代表を務める田川さんが語る、「デザインエンジニアリング」の講義はとても刺激的なものだった。
田川さんによると、Takramにはこうした両方の領域を併せ持つハイブリッド人材が多いのだという。こうしたチームの力を結集し、様々な商品開発からGoogle主催の宇宙コンペ、はたまた名刺スキャンアプリのUI開発から、中古品売買を仲介するユニコーン企業の組織デザインまで、非常に幅広い案件を取り扱ってこられたそうだ。
田川さんが最近、著書「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」でも述べているのは「BTCフレームワーク」である。
これまでの社会はBusinessとCreativityが乖離していても成立してしまっていたが、人間と人工物の関係性が非常に複雑になってきた現代においては、デザインが潤滑油的な役割を果たすという。
また、これまで企業はマーケットだけを相手にしていればよかったが、現代は個人を対象にサービス提供を行っていくことがより一層求められていくため、そういったBusiness Designは非常に希少性を持っていくという。
イノベーションを起こすためには、BusinessとCreativityが結合し、なおかつDesign Engineeringが補強する構図が必要になるのだ。
明確な企業理念を掲げ、独自のプロダクト・サービス・ブランドをデザインに夜一貫した表現を通じて実現しているBTC型組織の例として、Appleやdyson、マツダは非常に有名で、こうしたBTC型組織の実践の結果が市場拡大・企業価値の向上に結び付けているというお話は非常に納得感のあるものだった。
上記のお話に加えて、田川さんの言葉で非常に印象に残っているのが「振り子思考(Pendulum Thinking)」という考え方である。
通常は、抽象と具体の話を考えるとき、どうしても時間軸で切り分けてしまいがちだが、思考がぐちゃぐちゃカオスな状態ほど、イノベーションを生み出しやすいのだという。
両方の領域をいったりきたりすることで、物事を単純化しすぎないことが異種混合を生み出す仕組みになる。
自身の研究のみならず、プライベートにおいても、ああでもないこうでもないと行ったり来たりの思考をすることには慣れておらず、苦痛を伴うものであることに間違いないのだが、こうした思考プロセスにももっと慣れていき、徐々に自然かつ無意識的にも出来るようになりたいと感じた。
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