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2022年は喪失の年。

2022年は沢山のものを失い続けた一年だった。
忘れないように、もう後悔しないように、記しておこうと思う。


2022年は、夏に初個展を開催する予定があり、年明けは希望にあふれていた。ワクワクとドキドキから始まる一年だった。

だけど春先、愛猫が突然死した。
朝起きたら、10年以上連れ添った愛猫が、私の枕元で冷たくなっていた。
そこからはもう怒涛だ。

夏の初個展だけは諦めたくなくて、とにかく無心で手を動かして、絵を描いた。
だけど、だんだんと。変化は、ゆっくりと。

心より先に体が壊れた。良性発作性頭位めまい症。まわる視界に鳴り止まない耳鳴り。
眠れなくなって睡眠薬のお世話になり、ぼんやりと自分を失っていった。
そしてついに、絵が描けなくなった。
悔しくて情けなくて申し訳なくて、泣いて泣いて、初個展のチャンスを自分から手放した。

そこからの数ヶ月の記憶はあまり無い。何をして、どうやって過ごしていたんだろう。
家族がコロナ陽性になったりして、バタバタはしていたと思う。

少し元気になった頃に、東京での展示に参加した。ギャラリーでの在廊もかねて、東京旅行も計画した。
たけど直前で、コロナのせいで旅行の予定は消滅した。このために用意した、おみやげも飛行機もホテルも、奮発したワンピースも、全て無駄になった。

極め付けは、初個展の開催予定地だった、東京のギャラリーが閉廊したこと。もう、希望なんて何ひとつなくて、ただ泣いた。



大切なものも人も、大事な予定もチャンスも、何もかもが掌からこぼれ落ちていく。これ以上こぼさないように、ギュッと手を握りしめるのに、指の隙間からあふれて、やはりこぼれ落ちてしまう。
もはや、自分ではどうしようもなくて。大切で大事なものたちが、自分の中から消えていくのを、ただ呆然と眺めていた。

絶対的な喪失と絶望。
こんな事があるのかと、自分の無力をただただ嘆いた。


それでも今、私は絵を描いている。
もう辞めたかった。自分には無理だと思った。
だけど、私には絵が必要だった。

今は以前と同じように、淡々と制作ができるようになった。もう、あんな想いはしたくないから、私は強くなる。
絵を描いて、制作の中で自分と向き合う。
そういう過程が必要な段階にきているから。


2022年の喪失を、絶望を、私は忘れない。
だからこそ、私は強くなる。

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