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『かさねる日々に 愛をこめて』

タツコン2022 に出展中の作品、『かさねる日々に 愛をこめて』についての解説と、制作背景などをポツポツと。


古代中国の神話に、スウグという神獣が登場します。スウグはユキヒョウに似た、命を愛し死を嫌う神獣だそうです。
絵の中では、先頭に立つスウグが歩く道に、植物が生え、大地が育ち、生命がうまれ、家族や仲間を作って日々を重ねていく…そうやって何気ない日常がつむがれていく。
そんな様子を描いています。

今年のタツコン2022のテーマは『日常』です。
日常とは、何でもない日々をかさねて、沢山の希望や絶望をつむいでいく事だと思います。


今、私たちは色々なものを諦めながら、生きているように感じます。
世界は混沌としていて、忙しないニュースが日々を追い立てる。こんな時だから『仕方がないよね』と自分を騙して、無理に笑って諦める…今は、こんなことが、日常になってしまった。

それが私は、悲しくて悔しくてたまらない。
平和で退屈な、何でもない日々をつむぐ事を、どうしても諦めたくない!そう思いました。
だから、あらがって道をつくる。これ以上、大切なものを諦めなくて良いように。平和で何でもない日々をかさねるために。
私は、そういう日常が良い。

そんな願いを込めて制作しました。

個人的な話ですが、今年は沢山のものを失う1年でした。大切な存在も、時間もチャンスも、どんどん手の中からこぼれ落ちてゆく…
大切に、失くさないようにと握りしめているのに、指の隙間からこぼれてゆくのを止められない…そんな喪失感を味わいました。

だからこそ、願ったものは、ささやかで平和な日常だったのだと思います。

これを読んで下さった皆さまの日常が、平和で愛おしいものでありますように。そう心から願っています。


みやこ

『かさねる日々に 愛をこめて』

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