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《ひと》 理事 花坂雄大

こんにちは!みやっこベース広報チームの清水です。

みやっこベースに携わる方々をご紹介する連載企画《ひと》。
第4回となる今回ご紹介するのは、みやっこベース理事・花坂雄大さんです。

「毎年、『今年が一番楽しい!』と思っている」と語る花坂さんの溢れる行動力の秘訣は、宮古の未来に懸けるパッションにあるようで…?

ぜひご一読ください!

【プロフィール】

1982年、岩手県宮古市出身。
宮古高校を卒業後、市内でのアルバイトを経て盛岡市や仙台市で社会人生活を送ったのち、家業の印刷業を手伝うために花坂印刷工業株式会社へ入職。宮古で働くことに。

その3年後に東日本大震災が発生し、本社は全壊の被害を受ける。苦境に立たされつつも、印刷業の特性を活かした「企業の安否情報」の発信活動など、復旧・復興活動に尽力するようになる。

復興イベントをきっかけにみやっこベース現事務局長・早川と知り合い、みやっこベース初期の活動から参画。
現在も、花坂印刷工業株式会社の社長として働く傍ら、みやっこベースの中心的存在として活動中。

激動の20代のこと

ーーーみやっこベースOGから見ると、宮古の大人代表として以前から意欲的に活動されている印象の花坂さんですが、初めての就職先は市外とお聞きして意外でした。

高校を卒業してすぐは市内のCDショップでアルバイトをしていたんですが、地元に残りたいという意志が特別あったわけではないので、より給料の高い盛岡市の企業へ就職しました。
まあ給料がいいぶん、かなりハードな仕事で…(苦笑)。とはいえ当時は就職氷河期の真っ只中だったので、仕事があるだけありがたいと思い、1年半ほど働きました。

宮古市外といっても、盛岡も岩手県内ですよね。仕事を続けて貯金もあることだし、ということで、さらに都会を目指して仙台へ拠点を移しました。

都市ゆえの誘惑も多かったので、ここから2年ほど「人生の長い夏休み」期間に入りました(笑)
フリーターになり日雇い労働でお金を稼ぐ日々の中で、だんだんと身も心も疲れていって、「フリーターって自由じゃないんだな」と気付いたわけです。

そこからまともに働こうと心機一転し、仙台市内のIT関連企業に就職しました。そこが本当に素敵な会社で、みんな一生懸命働く環境でした。
働き続けていくうちに、正社員にならないかと声をかけられたこともあったんですが、「オレは東北に留まる男じゃねえ!」と思っていた節もあったし(笑)、ずっとこの土地で働くビジョンも持てなかったので、非正規雇用のまま働いていました。

そんな折、実家に不幸があって、父親から家業を手伝ってくれないかと頼まれました。
昔から「自分のやりたいことをしなさい」と言いながら育ててくれた、良く言えば豪快、雑な言い方をすると放任主義な父親からそんな風に頼まれたのは初めてで、これは一大事だぞと。
そんなわけで、宮古に戻り、花坂印刷工業株式会社で働き始めました。


ーーー県外での暮らしを経て、宮古で働いた当初はどんな生活でしたか?

入社してから3年くらいは、営業をしたり、色んなことをしていたんですが結果が伴わなくて。当時どんなところがだめだったのか、今になればわかるんですけど…。
まあ、まちも不景気でしたしね。ちょうど地元に戻ってから3年経って、結婚もして、会社は経営が厳しいしたたもうか…と思っていたところに、東日本大震災が起きてしまったんです。


「人の役に立てること」

震災の被害を受けて、本社は全壊。被害を免れた支店で営業を続けていたんですが、本社が無くなってしまったので、営業していることを知らなかった、という人も多かったんです。顧客や自社の復旧に必死な毎日でしたが、県内外問わず復興のために汗水流すボランティアの方々を見て、自分のことで手いっぱいな状況に後ろめたさも感じていました。

そこで、自分が困っているように、他の企業も大変なのでは?と考えて始めたのが「企業版の安否情報」でした。


ーーー当時、個人の安否情報はテレビやラジオで連日流れていましたが、「企業が稼働しているか」の情報はユニークなアイデアですね。

印刷業を営んでいたからこそ、その発想を形にできたと思います。市内の新聞販売店に掛け合って紙面のスペースをいただいて、印刷は自社が無料で行いました。その企画が話題になって、テレビ取材を受けたりもして。「人の役に立てた」という実感が湧いた出来事でしたね。

この企画を経てから、「情報発信は地域の経済において重要なセクションだ」という想いが生まれました。

「印刷」はあくまでも「手段」で、地域経済が発展していけばそれに伴って伸びていくものなんですよ。
昔から家業の影響で人脈はある方で、町の成り立ちにも詳しかったんですが、その上で特に、観光業と水産業が宮古の町おこしにおいて重要だと震災前から感じていました。

地域経済の伸びしろがあると思う一方で、田舎特有の狭さ・発展の乏しさも感じていたのですが、その「狭さ」を活かすアイデアをみやっこベースは持っていましたね。

みやっこベースとの出会い

ーーみやっこベースとの出会いは何がきっかけでしたか?

遡ると、2012年7月に開催された「浄土ヶ浜 鎮魂の祈り」という復興イベントで、現・代表理事の早川さんと出会ったのがきっかけです。運営側として誘いを受けて、宮古のためにアクションするにはいいタイミングだと思い参加しました。

その後、お酒を酌み交わしたりもしながら、早川さんをはじめボランティアの方々の誠実さに触れるようになって、交流が深まりました。
改めて震災当初から感じていた「自分のことしかできていない」という後ろめたさと正面から向き合うためにも、ボランティア活動に積極的に参加するようになったんです。

このイベントでの出会いが繋がって、みやっこベースの立ち上げから携わるようになった、という感じです。


ーー8年間みやっこベースの活動に関わってきて、印象的だったことを教えてください。

町おこしにおいて、人を育てることや協力することの重要性に気付いたことですかね。ずっと感じていた「狭さ」の良さというか、人と人が力を合わせてやっと物事が成立するということを、さまざまなイベントを通して実感しました。

例えば、2019年から開催されている「経営者セミナー」は、会社の役職者など、運営する立場の人たちに対して、採用や社員の定着といった、人材に対する考え方を学ぶ会です。
このセミナーのように、宮古のことや、会社の経営を改めて考える機会…言うなれば「大人の学び直し」を体験する中で、若者だけでなく、今宮古にいる人みんなが、より一層幸せになれるまちを目指すことが大切だと思うようになりました。

「選択肢であり続けるまち・宮古」が理想

ーー宮古、そしてみやっこベースのこれまでを振り返っていただきましたが、今後の宮古の町おこしについてはどんなビジョンを描いていますか?

いろんな世代の人にとって、「選択肢であり続けるまち」であってほしいですね。
水産業や観光業の伸びしろという部分については少し言及しましたが、まちはその産業だけで回っているわけではないとも思います。医療だったり、福祉だったり…あらゆるジャンルに伸びしろがあるにも関わらず、現状はそれが伸び悩んでいる気がするのです。

そんな滞りの潤滑剤としての役割を担うのが、かつては人と人の繋がりだったと思うのですが、最近では希薄になりつつありますよね。娯楽の面であったり、収入の大小であったり、都会的な生活を追求するうちに、クローズなコミュニティの存在価値が薄れてしまったように感じます。

それから、宮古を表すフレーズとして「森・川・海のまち」とよく耳にしますが、自然へのアクセスもすぐそばにあるはずなのに容易ではない。機会が開かれていないんですよ。


ーー宮古で暮らし、宮古で働いているからこその視点ですね。具体的にはどんなアクションが必要でしょうか?

今後力を入れていきたいのはテクノロジーの分野です。自社でもIT事業部門を立ち上げたい、ビジネスモデルをつくっていけたらなと。

印刷業はもともと紙媒体が主流でしたが、それとは対極にあるペーパーレス化だとか、デジタルメディアの発展に抗うつもりはなくて、情報を発信するという意味ではどんな手段であってもいいと思っているんです。
例えば、海産物の水揚げ情報がリアルタイムで消費者に届くシステムがあったら面白いだろうな、とか。これは水産業と人(消費者)を繋ぐアイデアですね。

みやっこベースの一員としては、「宮古の『人』と触れ合う機会」をより多くの人が獲得できるようにしていきたいです。
昔でいうところの「祭り」のような、地元の人もそうでない人も価値観を共有できる場があれば、宮古をもっと盛り上げていけると思います。ローカルでありつつ、どんな人に対してもオープンに宮古の魅力を届けていきたいと思っています!

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自然や人との繋がりを、新たな切り口から開拓したいと語ってくださった花坂さん。
地元の人も宮古の魅力を味わい尽くせていないという視点は、まさに目からウロコでした。

従来のやり方に捉われない自由な発想で、宮古の、そしてみやっこベースの未来を創造していきたい!と感じさせていただいたインタビューでした!


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