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《ひと》マンスリーサポーター 盛岩幸恵

こんにちは!みやっこベース広報チームの島越です。

みやっこベースに携わる方々をご紹介する連載企画《ひと》。
第13回となる今回ご紹介するのは、古くからみやっこベースの活動に参画、サポートしてくださっている盛岩幸恵さんです。マンスリーサポーターとしても応援していただいています。

「宮古弁ステッカー」をご存知の方も多いのではないでしょうか?
盛岩さんはArt Eriysの経営者として、宮古市内のイラスト業務を引き受けたり、宮古にまつわる商品の企画販売を手がけています。2015年頃からみやっこベースの活動サポートをしてくれています。そんな盛岩さんに、自身の想いについて伺いました。

盛岩さん①

プロフィール
1986年生まれ。岩手県宮古市出身。宮古商業高校情報科卒業後、老舗和菓子メーカーに就職するため上京。宮古市にUターンした数年後、東日本大震災で被災。世間では復興が叫ばれる中、廃業していく地域の会社を目の当たりにし、「誰かが起業しなければ変わらない」と一念発起。「Art Eriys」を起業し、宮古弁ステッカーなどの商品を企画販売するほか、市内のイラスト業務を引き受けている。


「Art Eriys」起業までの道のり

ーー地元へUターンしたあと「Art Eriys」を起業されていますが、もともと絵の仕事で起業したいという想いがあったのでしょうか?

私がArt Eriysを起業したのは、地域の危機感と妹の存在からでした。

私が宮古にUターンして数年後、東日本大震災が発生し、私自身も被災しました。当時、世間では「復興、復興」と叫ばれていましたよね。でも、自分の住む地区を見渡してみると、会社が廃業してしまったり、地域のために頑張っていたおじちゃんが倒れてしまったりと、身の回りが廃れていく様子を目の当たりにしました。「まずは自分の地区で、誰かが会社を興して盛り上げていかなければ」と、強い想いを持っていました。

同時期、妹から「絵の仕事がしたい」と相談を受けました。宮古ではデザイナーやイラストレーターといった職業はありません。そこでイラストの仕事を作ることにしました。「妹をよく知っているからこそ、自分が妹をプロデュースできるのではないか」と考えたのです。

事業計画もないまま「起業したいです」と税務署に行き、両親の結婚記念日30周年の日に起業をしました。「自分たちも30年続くように頑張ろう」という決意が込められています。最初は2人とも副業をしながら、徐々に今のArt Eriysが出来上がっていきました。

盛岩さん①


「宮古弁ステッカー」の誕生秘話

ーー私の中でArt Eriysといえば「宮古弁ステッカー」というイメージがあります。大ヒット商品ですが、どうやって生まれたのでしょうか?

妹が浄土ヶ浜レストハウスで勤務していた際に、「ステッカーが欲しい」とお客様に言われました。当時は震災後だったので、「復興」や「東北魂」といったワードが入ったステッカーはありましたが、いわゆる「宮古」っぽいステッカーは存在しませんでした。

その時に考え付いたものが、「おでんせ」や「おおきに」といった宮古弁ステッカーでした。ArtEriy’sでそれを商品化しようと話が進み、誕生したのです。第一弾を販売したところ、想像以上の反響がありました。そこから、第二弾、第三弾と販売が決まった他、取り外しができる缶バッチバージョンも商品化しました。

盛岩さん③


ーーそんな経緯があってヒット商品になったんですね!他には、どんな商品を販売していますか?

宮古弁ステッカーの反響を受けて、その後もグッズ展開が進んでいきました。

例えば「やませくん」というキャラクターをつくりました。宮古では太平洋沿岸特有の冷害を「やませ」と呼びますが、それをモチーフにしました。妹が宮古で観光の仕事をしていた時に、観光客から「せっかく浄土ヶ浜を見に来たのに、霧が邪魔で見えない」とがっかりされた時がありました。やませのことを説明しても、なかなか喜ばれません。

そこで、やませを擬人化したキャラクター「やませくん」を一冊の本にしました。冷害のイメージよりも、みんなに会いたくてやませが出て来てしまいましたね、などプラスなイメージを持ってもらい、親近感や、ここに来たから出会えた特別感を思い出にしてもらうためです。他にも、「日出島と山王岩は同級生なんだよ」とか「ウミネコについていくと陸に帰れるんだよ」などの説明が書いてあるステッカーを販売し、観光地の知識を盛り込みました。宮古には「おもてなし検定」がありますが、それよりももっと気軽に、やませくんを通して、だれでも宮古の観光案内ができるようになっています。

その他にも、「だるま」「犬」「猫」をモチーフにした商品もあります。おかげさまでそれぞれのキャラクターにファンの方が定着してくれているので、今後はファンコミュニティを作れたらいいなと思っています。

盛岩さん④


みやっこベースとの出会い

ーーこれまでたくさんみやっこベースの活動に協力いただいていますが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?

記憶が曖昧なのですが(笑)、Art Eriysとして活動していく中で、みやっこベースの活動をサポートしている理事やボランティアと繋がりが生まれました。そこから、高校生の農業関係のプロジェクトをサポートしたのが始まりだと思います。その後、みやっこタウンの企業ブースに参加したり、実行委員会メンバーとして一緒に企画を考えたり。2021年春には実践型インターンシップの受入れ企業としてインターン生と一緒にプロジェクトを進めたりしました。

私自身、震災後はボランティア団体や学生団体などたくさんの団体を受け入れてきたので、依頼があればなんでも協力するスタンスでいます。そういった活動に参加すると、「なんでArt Eriysをやっているのですか?」とか「これからどうしていきたいですか?」などと質問される機会が多く、自分自身がメンタリングされている感覚になります。経営者として自分の刺激につながるので、こういった活動には積極的に参加しています。

盛岩さん⑤

今後の展望

ーー精力的に活動されている盛岩さんですが、今後の展望を教えてください!

私たちは、これまでたくさんの方たちに応援してもらい、「やりたい」と言ったことが叶うよう、支えていただきました。そのため、今度は私たちの下の世代の活躍をサポートしたいという気持ちが強いです。下の世代がやりたいことを積極的に聞き、活かしてよりよい環境を作ってあげたいです。

これまで、なかった絵の仕事を自分たちが作り、実績を作っていき、もし宮古でデザイナーやイラストレーターをやりたいという子が出てきたときに、仕事しやすい環境を作ってあげたいです。

おわりに

いかがでしたか?地元にUターンし、経営者としても地域の大人としても精力的に活動されている盛岩さん。

記事では紹介しきれませんでしたが、みやっこベースの他にも本当にいろんな活動をされています。宮古ならではの商品を企画するアイディア力と、下の世代を想う優しさに、私も盛岩さんのような大人の女性になりたいと強く思いました。

素敵なインタビュー時間をありがとうございました!

盛岩さんのArt Eriysはこちら↓
http://arteriys.com/