吾輩は猫でありたい。
今日のような風薫るうららかな日和に、路地をのんびりと歩いている猫を見かけたりすると、ああ。いいなあ。猫いいなあ。僕もいっそ猫になってこういううららかな日和の下で何も気にせずのんびり過ごしたい。ぼんやり生きていたい。なんて人間の意見としたらかなり屑みたようなことを思ったりするんだけれども、かといって、いざ実際に猫に生まれ変わってみたらそれはそれで大変なんだろうなあとも思う。どこぞの良家の飼い猫にでも収まって安穏と暮らせればいいけれども、野良猫になったとしたらそれは大変、まずは生存競争を勝ち抜かんければならん。自らの才覚のみを頼りに雨露を凌ぎ、餓死せぬ程度に腹を満たさんければならん。治安の悪い町に生まれ落ちでもしたら最悪で、公園なんかに行った折にきっと悪ガキに捕まりとんでもなく酷いいたずらをされる。よし飼い猫になれたとしても、僕なぞは人間として暮らしている今だって人付き合いが苦手のほうだから、猫の集会に参加しても上手く他の猫の皆さんの中に入れずさぞや居心地の悪い思いをするように思う。というか、それ以前に僕ァそもそも猫の毛アレルギーだから猫になったが最後、目の痒みやくしゃみが止まらなくなるのは必定だしなあ。なんてな塩梅で、いろいろ考えているうちに、そうだよな。猫といっても見た目ほど安穏と暮らせるわけじゃないよなあ。なんて思ってしまって、そういうわけですからもう少し人間として生きていこうか……と諦め気分でいま思ったところです。どうもすみませんでした。(了)
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