街の御面付き
はははははははははははは。
というわけで意味なく笑ってみたんである。街を歩いている際にこんなふうに意味なく笑い出したらきっと気の狂った人と近隣の皆さんから認定されやがては警察に通報されるだろうが、文章上でぐらい随意に笑いたいものである。そういうわけだから僕は笑う。だって笑いたいんだから。なんつってね。
それはさておき過日、夕刻のことである。付け放しにしてあったテレビジョンの画面に、繁華な街の風景が映し出されたのが目に留まった。人々が集まる都会の観光地。お。おおお。これは横浜・みなとみらいの模様やんけ。なんつって、普段使い慣れぬ河内弁でそう思って画面を見直してみたら豈図らんや、そのテレビジョンが放送/紹介していたのはお台場だったのである!
つーかさ、みなとみらいが開発されてから以降、てことはバブル景気華やかなりし頃からこっち、新たに開発/再開発される街の姿がどこもかしこも似たり寄ったりになっているように思われてならんのよね。おんなじような見て呉れのでかくて瀟洒なビルに、おんなじようなユニクロ的な瀟洒な店舗が軒を並べて入っていて、他にデパ地下とフードコートの間の子みたいなでかい食堂の空間があって、でもって仕上げにシネコンが入れば一丁上がり。みたいな。まあ規模と内容は違えども、地方都市の繁華街が丸ごと巨大なイオン、巨大なヨーカドー、巨大なアピタ・ピアゴに包含されちゃうのと同じ構図なんだろうが。
そういやこのところ、東京五輪の開催に向けてという意味合いからなのか、都内およびその近郊でも各所で駅前の再開発が進んでいるけれども、これも結果、どこも同じような風景になりつつあるように見えるナァ。でかい駅ビルと広いロータリー。みんな殆ど一緒でなんかつまんないン。
序でだから云うと、あれあもういまから十五年ぐらい前になるのか、小田急線の線路の一部が高架になるのに合わせて駅舎の改修が同時に行われたことがあった。その際、隣り合う複数の駅が悉く同じデザインの駅舎に作り替えられてしまって、ぼんやりしているといまどこにいるのだか解らなくなるような状態になってしまった。和泉多摩川・喜多見・狛江なんてまるっきり同じデザインの駅舎が三連続するから、慣れるまで、なんだかウルトラQ的な異空間に迷い込んだような気になったっけね。
そらまあ昭和の昔に比べたらどの繁華街も断然、便利に綺麗になって、どこにあすびに行っても一定水準以上の快適な時間を過ごせるようになったけれども、その一方で、なんかつまらなくなったよなあ。とも思う。繁華街の顔付き、みたいなものがどこも一緒になってしまったよなあ。と思う。たといば東京ソラマチだって、あすこに行かなきゃ味わえないような特別な雰囲気なんて微塵もないものね。(了)
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