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地球星人

仕事の量が増えるにつれ、人付き合いが苦手になってきた。
前は応援してくれてたのに、会えば露骨に潰そうとしてくる人。写真パシャパシャ撮ってSNSに「一緒に仕事した!」と、俺のことを呼び捨てでアップする人。俺の担当のことを恨んでいるという理由だけで、俺にまで冷たい態度をとるようになった別の出版社の編集者。彼らの都合だけで奪われた俺の大事な時間たち。全部がつらい。

寝る前にチビチビ読んできた村田沙耶香さんの新刊「地球星人」がもうすぐ読み終わる。仕事、恋愛、結婚、出産という過程を踏んで、蚕のような生き方を強いられている人間社会を「工場」と呼び、自分のことを宇宙人だと思い(込んで)暮している夫婦と従兄弟の話。そんな小説を読んでいたからなのか、余計に人付き合いが苦手になっている。
(小説としては、個人的には「コンビニ人間」の方がこれまで考えたこともない価値観を見せてもらえたようで好みでした。地球星人も村田さん独特の言い回し、瑞々しい表現、まだこんな日本語の使い方あったか!と思い知らされる言葉の組み合わせもあって相当面白いけど、そこまで人に勧めたくなるお話ではないかもしれません…)

苦手だ苦手だと思って続けてきた書き仕事だけど、最近はもう、家で仕事させてもらえている時間の方が幸せなのかもしれないと思うようになった。まだ誰も描いたことのないユーモアが生まれた瞬間の気持ち良さは、彼らといても絶対に味わえない。1階から2階の書斎まで、自分の脚で昇って邪魔をしに来る娘がふっと与えてくれるあの癒しは、彼らと過ごしていたところで死んでも得られない。
自分は生粋の地球星人だけど、こうやってこぢんまりとしたフィールドでしか生きられないようだ。

↓追記:全部読みました、面白かった〜。


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