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抗原検査キットの「医療用」と「研究用」って?

抗原検査キットには医療用と研究用がある

ドラッグストアの店頭やネット通販で見かける抗原検査キットには「研究用」「調査研究用」などの記載があります。

一方で、「医療用」もしくは「体外診断用医薬品」として売られている抗原検査キットもあります。

この記事では「医療用」と「研究用」は何が違うのかを解説します。

医療用抗原検査キットは国の承認を受けている

医療用抗原検査キットは、国によって臨床的な有効性があるという承認を受けています。したがって、医療用抗原検査キットのでの検査結果の信頼性は高いと言えます。

研究用抗原検査キットの性能は保証されていない

研究用抗原検査キットは、国の承認を受けておらず、性能にはばらつきがある可能性があります。いちがいに「研究用はダメ」ということではなく、研究用の中にも性能が良いモノと悪いモノがある可能性があり、信頼できる第三者の認証がないので一般の消費者がその区別をつけるのは難しい、ということです。

医療的な陽性判定のためには原則「医療用」が必要

神奈川県では、抗原検査キットもしくは無料PCR検査で陽性になった人は、医療機関を受診しなくても感染したとみなして療養に入れる「自主療養」という制度があります。この制度を使うためには、「医療用」の抗原検査キットである必要があります。(ただし、2022/8/4現在医療用抗原検査キットが不足しているので、「研究用」を使うことも臨時で認めています)

2022年8月2日から、東京都でも同様の制度が始まりました。東京都では、「医療用」抗原検査キットもしくは東京都の無料PCR検査で陽性になった人が対象です。2022年8月4日現在、神奈川県のような「研究用」使用可の緩和措置はありません。

医療用抗原検査キットは調剤薬局で対面販売

医療用の抗原検査キットは、調剤薬局での対面販売のみが認められています。ドラッグストアの店頭やネット通販では販売されていません。また、広告などもほとんど出ていないので、一般市民から見ると見つけにくいと言えるでしょう。また、調剤薬局での販売の際には

  • 本人と同居家族のみが使用すること

  • 使用者が現在発熱していないこと、または濃厚接触者ではないこと

の確認が求められます。

ドラッグストアの中には、奥の方に調剤薬局を併設しているところもありますね。店頭では研究用を販売し、調剤薬局では医療用を販売している、というケースもあるようです。そのような掲示がされていることは少ないので、買う側としては混乱しそうです。

価格は医療用も研究用もばらつきが大きい

医療用抗原検査キットは、メーカーや販売する調剤薬局によって価格に開きがあるようです。私が知っている限りでは、安いところで1個1320円、高いところで3080円(いずれも税込)でした。また、ばら売りではなく5個入り1箱単位でしか売っていない薬局もあるようです。理由はわかりませんが、バラで買おうとすると「研究用」の方がお値段が高い傾向にあるようです(ドラッグストアの店頭で1個4400円など)。逆に、大容量パッケージは、amazonなどで比較的安く売られているようです

医療用抗原検査キットはどこで買える?

厚生労働省が、医療用抗原検査キットを扱っている調剤薬局のリストを公開しています。

医療用抗原検査キットの取扱薬局リスト(令和4年8月2日18:00時点)

ただし、在庫の有無はわからないので、直接薬局に連絡するか、店頭で確認する必要があります。

医療用を推奨するなら、もっとアクセシブルに

国や自治体は、認証を受けた医療用抗原検査キットの使用を推奨しています。神奈川県では、医療用抗原検査キットの備蓄を推奨しています。一方で、

  • 医療用は品薄で手に入らない

  • どこで販売しているのかがわかりにくい

  • 調剤薬局でしか買えず近くに販売薬局がない人もいる

  • 多くの調剤薬局は閉まるのが早く、また土日の営業がないところも多い

  • 濃厚接触者には売ってもらえない

  • 価格が高い(これは研究用にも言える)

など、研究用に比べて入手が格段に困難です。推奨するのであれば、販売条件などをより緩和して、多くの人が手軽に入手できるように環境・制度を整えるべきでしょう。具体的には

  • 価格を低く抑える、生活困窮者にも入手しやすくする

  • ネット販売の解禁

  • (ネット販売に伴って)発熱者・濃厚接触者も購入できるように

  • 購入できるルートの積極的な広報

という政策が実施されるべきと考えます。

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