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メイキング of 「幸せを、ありがとう。」


幸せを、ありがとう。

撮影したのは大分前の話になってしまうのですが、
「みんなでインするミナデイン Vol.4」の販売を機に
対になるこちらの2枚の写真について、メイキングをまとめたいと思います。

過去に冒険日誌で書いた内容にも重複する部分があり、
既にそちらをお読み頂いた方もいらっしゃるかと思うのですが、
何卒ご了承いただけますと幸いです。(長文ですみません。。。)

幸せを、ありがとう。

【幸せを、ありがとう。】

助けてくれる、仲間がいた。
支えてくれる、家族がいた。
そばにいてくれる、あなたがいた。

そして今、この青い空の下。

たくさんの方たちに祝福されて、
あなたとここにいることが、本当に嬉しい。

幸せを、ありがとう。
これからも、よろしくね。

こちらの写真は、2020年度のアストルティア・プリンセス・コンテスト(以下、アスコン)にて、応募した写真とその時のPR文です。

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撮影に使用したセットがこちら。
青空かきわりと白色の背景スクリーンをベースにして、
ダーマ神殿の柱、フラワーの白壁、花道のラグ、
白バラのオルゴールなどを装飾しました。
光溢れる未来を暗示する、抜けるような青空を表現したかったので、
空が狭くならないよう、場所を広く使用しています。
(余談ですが、当時設営した最大級のセットでした。今でもそうかも)

しぐさは「神速シャンソン」で表情を「えがお」に
「カメラの方を向く」に設定した形で、
回り始めたときの正面を向いた瞬間を切り取りました。

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特に明確なきっかけは無かったのですが、
この年のアスコンは、応募写真について考え始めた時から、
漠然と「ウェディングの写真を撮りたい」という想いがありました。

上記の写真は、一番最初に組んだセットで撮影した写真です。
完成版と、イメージが全く異なります。

この時のイメージは、松任谷由実(ユーミン)の
『ANNIVERSARY』をオマージュしていました。

『ANNIVERSARY』は、自分の中で『ウェディングといえば、この曲』と最初に浮かぶ1曲で、曲のイメージが、自分の中でモノクロだった(※)のですね。静謐の中で、幸せと、新郎や家族への感謝をかみしめる。そんな印象の一曲です。

※ユーミンの「ベストアルバムを作るときに曲のイメージを色で表現して、
 そのグラデーションで曲順を決めた」という大好きなエピソードがあるのですが、このエピソードを聞いたときからこのイメージを持っていました。

曲の世界観を辿りながら、背景スクリーンやシルエット家具を合わせて
辿ってきた過去、未来への光、などを表現できないか、と、試行したのですが、どうにもしっくりこなくて断念することに。

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その後、応募写真のセットを組む過程で
「奥行きの表現」というものを考えるようになり、
現在のセットの初期案が出来上がります。

この段階でフレンドさんに写真を見せてご意見を頂いたところ、
「政略結婚」あるいは「望まない結婚」など
自分の意図とは全く異なる印象を与えうる、という事が判りました。

イラストや舞台表現の手法の一つとして、右向き、右配置には
このような、「後ろ向き」な意味を与える効果があるのだそうです。
これには自分も驚きましたし、深く考えさせられました。(下記リンク参考)

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試しに、セットを微調整して左右を逆にしてみたところ
ほとんど同じ構図なのに、全く印象が変わってビックリ!
ここで、現在のセットがほぼ最終的な形になりました。

その後花びらの舞う位置や、微妙な体の向きなどを調整している中
ふと、1つの違和感に気が付きます。

セットは屋外で、花吹雪が舞う状況なのに
後ろに結った髪が、全く揺れていません。これはおかしい。。。

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おいのりのしぐさを止めて、
カメラの位置や動きのあるしぐさを模索している最中、
偶然上の一枚が撮れたとき、自分の中に電流が走ったのを感じました。

この、カメラを通じて新郎に向けた笑顔。
これこそが、自分がウェディングをテーマにして撮りたかった
「幸せ」や「感謝」そのものじゃないか、と。

そこから、笑顔が最大限に伝わるよう、
カメラの範囲や角度を調整して撮影を繰り返し
ようやく、冒頭の応募写真が完成したのでした。

賞レースとしては、残念ながら結果を残すことはできなかったけど
未だに写真のことをお伝え戴く機会がある、
自分にとっては、とても大切な1枚となりました。

アス恋_デビッド_結

「そんなに急ぐなよ。同じ道を進むんだ、一緒に並んで歩こうぜ。
…どんな姿に変わっても、一緒ならすぐ見つけられるんだからさ。」

続いて、こちらの1枚のお話です。

この写真は、先の花嫁の写真と同じタイミング、
花婿の方にスポットを当てた形を想定した写真となります。

ただし後述しますが、色々な理由で幾つかの相違が生じています。

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先のプリンセスの写真を撮る傍らで、漠然と
「いつか、花婿に焦点を合わせた写真を撮りたい」
という想いが生まれてきました。

先の写真ですが、実際に披露宴を挙げた方や、
出席した方の中にはなんとなく違和感を持った方も
いらっしゃるかもしれません。

通常、挙式や披露宴の中で
お色直しなど明確に花婿に送り出されるときを除くと
「花嫁が花婿より前に行く」ことは、あまりないように思っています。
(もちろん、式の内容によると思いますが)

挙式や披露宴の、式次第のルーツについては知見が無いのですが、
自分はこの式中における花嫁と花婿の歩みについて、
「両親の元から、花嫁が花婿のもとへ嫁いでいく」
「その先は、新郎新婦が寄り添って共に歩んでいく」という
意味を持たせているのかな、と解釈しています。

そんな挙式の中で、この先の希望溢れる未来に向けて
期待を抑えきれず思わず先に進み、最高の笑顔で振り返る花嫁。
この時、花婿がその笑顔をどう受け止めていたのか、
撮影をしながら考えるようになったのでした。

とは言っても、なかなかに撮影をする機会もなく、
刻一刻と時間だけが過ぎていき、他のセットの片付けも進む中
気が付けば年末にまでなっていました。

そんなある日、『写真でつくるアストルティア映画祭』の募集告知が発表されます。

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「毎日姿が変わるパルプンテの呪いをかけられてしまった、2人の恋愛物語」。
久しぶりの写真コンテスト(コンテスト。。。?)に胸が躍って、
応募写真の構想を練る傍らで、この時のことを思い出して
改めて新郎を焦点にした写真を撮ろう、と思ったのでした。

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当初は春先でクローズし、撤去する予定だったこのセットが
多忙のために図らずも取り壊すことなく残っていたのは、
ひとつの奇跡だったと思います。
(その間に幾つか建て替えた家や、同じ家の中でたたんだセットもありました)

多少の立ち位置は調整しましたが、同じセットで撮る以上
写真の構図は初めから決まっていました。

しかし、撮影にあたって問題が1つ。
花嫁が同じしぐさをして、撮影を行うというのは
現実的に不可能である、ということに気づいてしまいました。

花嫁の撮影方法は冒頭に書いた通りですが、
カメラの方を向く調整(※)は、撮影者以外の冒険者には作用せず
かといって、花嫁の位置から撮影すると、
撮りたい構図にすることができなかったからです。

※プリンセスの写真撮影時に試行したのですが、
 同じ笑顔でも顔の向きで印象が全く変わるので、この設定は必須でした

この点について、どのように調整するか凄く悩みましたが
改めて、この時の新郎の想いに沿って情景を考えたときに

「はやる気持ちを抑えきれない、そんな新婦を笑顔で見守りながら
 ゆっくりと新婦に歩み寄っていく」

そんな新郎像が、再撮影の中で漠然と固まってきたのでした。

そしてそのイメージは、少し花嫁の状況を変えたところで
最初の写真の新郎の人物像としても違和感がなかったので
この写真では花嫁は少し先のところから手を振る、という形になりました。

なお、応募規定に沿っているか判らないので没にしましたが、
実は、先の花嫁の詩(PR文)と対になる詩(PR文)も考えていました。

アス恋_デビッド_結

【幸せを、ありがとう。】(花婿Ver.)

マイペースで、いつも周りを驚かせてばかり。
時に困らされることもあるけれど、
いつだって、俺の事を見守ってくれる。

そんな君だからこそ、俺は
俺のペースで いられるのだろう。

幸せを、ありがとう。
これからも、よろしくな。

たぶんこの時の花婿は、花嫁のように
最高の笑顔を見せていると思います。

でも、それは花嫁だけのもの。

やっぱり、人前ではあまり表情に出さないで
格好つけたいじゃないですか、男ですから(笑)
花嫁だけが知る笑顔というものが、あっていいと思うのです。

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最終的に、この写真は、セットを設営している家の家主である
「デビッド」の名義で応募することになりました。
(ちなみに新郎役は、デビッドではありません。2つ前の写真の下の方にちょこんと写っている子です)

「1キャラ1テーマで、1枚まで」という応募ルールがありますので、
どの名義(キャラクター)で写真を応募するかについては
写真撮影とは別のところで、最後まで悩んでいました。

花嫁の写真を撮影した子(キュキュ)か、
このセットの家主(デビッド)か。

でも、このセットを作るにあたって
たくさん相談をしてきた写真仲間の人達や
撮影後にセットを公開して、遊びに来てくださった
フレンド・チームの皆様の顔を思い浮かべたときに

「願わくば、そんな思い出の詰まったセットに
 トロフィーを添えることができたなら」

という想いで、デビッドの名義にした経緯があります。

キュキュ・デビッドはいずれも同じアカウントで
撮影側と被写体で同時に出てくることができないため、
応募写真での花嫁役は、別の子が務める形となりました。
(なお、文中では触れておりませんでしたが
 ドレスが違うのは、映画祭の応募規定で服装の指定があったからです)

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悩んで悩んで、色んな人に相談して。
そうして作りあげたセットに、応募から1か月、撮影からちょうど1年経って
本当にトロフィーを添えることができたことが、ただただ嬉しく、そして誇らしかったです。

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花嫁の撮影から1年が過ぎた今、改めて思います。

『幸せを、ありがとう。』

沢山の方に祝福のお言葉を戴いて、
幸せは、今でもここにありました。

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