MPRE受験体験記

11月某日、NY Barの登録に必要なMPREを受験してきましたので、その感想を綴ります。


1. 準備編

(1) MPREとは

MPREとはMultistate Professional Responsibility Examinationの略で、日本でいう法曹倫理に当たります。アメリカでは、州法により各州異なるruleを定めているものの、"Multistate"とあるように、統一ルールがあるため、MPREではその統一ルールに関する問題が出題されます。なお、NY Barを受ける場合、別途NY州独自の規制についてその他の基礎科目とともに講義を受け、テストを受ける必要がありますが(NYLE/NYLC)、それはまた別のお話。

試験は毎年3月/8月/11月に実施され、留学中にどこかのタイミングで受けて1回合格点に達すればOKです。早い人で8月留学の場合、11月、遅い人でも3月に受けておくのが大半です。

2時間で60問。全て4択式です。単純計算で1問2分ですが、非ネイティブでは油断していると時間切れになります。ここは後述の演習量の差が出るところかと思います。

点数は150点満点。NY Barのボーダーは85点なので、6割弱程度で合格となります。総じて試験の難易度はさほど高くありません。といっても、やはり英語での試験ですので、油断していると合格には届きません。実際に1点差で落ちた同期もいます。

(2) 試験勉強

ちまたでは、10日~2週間前からの対策で間に合うという意見が多いようです。実際、直前にしっかり時間が取れる場合、上記の日程で間に合うと思います。

私は直前に慌てるのが嫌だったので、1か月前からのんびり対策を始めました。大学でProfessional Responsibilityはすでに受講し終えていたので、基礎知識は頭に入っている状態からのスタートです。

勉強時間は、大体1日30分~1時間で、先輩からもらったEmanuelとKaplanという参考書でアウトプットをしました。最新版でないため、ruleの改正に追いついていない点はあるものの、法曹倫理にそこまで大幅な改正はないので、数年前の参考書でも苦労はしませんでした。Emanuelには240問の比較的易しめな問題が、Kaplanには180問の比較的難しめな問題が収録されていて、Emanuel⇒Kaplanの順に演習と復習を繰り返しました。Barbriの問題演習を利用する人もいましたが、試験対策的には上記のアウトプットで十分と感じています。

勉強開始から2週間~3週間ぐらい経ち、演習と復習が1周ぐらいすると、仕上がりの良さを感じました。試験勉強にはEmanuelで十分、という人もいますが、試験本番の難易度を考えると、むしろKaplanだけやるので良かったかな、とも思います。

最終的には、間違えた問題だけを復習、という方式で3周くらいし、本番直前には以下のサイトでruleの条文を読んで復習しました。

2. 試験当日編

(1) 試験会場選択

試験の運営はPearsonという団体が行っており、会場もそこが運営しているTest Centerで行われるようです。私は試験開始の2か月前、8月終わりぐらいに申し込みました。LA在住の留学生は、大体Culver Cityの会場を選択していました。私の住んでいるSanta Monicaからは、バスを乗り継いで1時間ちょっとかかる場所です。

(2) 試験当日の持ち物

Pearsonからメールでお知らせがありますが、身分証2つの携帯が必須です。私はパスポートと写真付きの学生証を提示し、事なきを得ました。

Pearsonからのメールでは、Primary ID(上記パスポートのこと)以外全部小さいロッカーに入れることになる、と記載されていました。実際、腕時計も貴重品も、上着(パーカーやジャケット)も全てロッカーに入れるよう指示されます。メールでは過度な装飾品も記載されていましたが、結婚指輪を外せとは流石に言われませんでした。

同じ会場を受験した人からは、上着を脱ぐことを求められなかったという人もいましたが、そのあたりは試験官の裁量です。試験室は若干冷房が効いていたかな、ぐらいですが、長袖のシャツを着ていくのが無難です。私は半袖のシャツしか持っていなかったので、若干肌寒く感じました。

(3) 試験会場への移動

アメリカの公共交通機関は、バス停に時間通りに来なかったり、スルーされたり、目的地前で降ろされたりして信用できなかったので試験開始の2時間前には着くぐらいのタイミングで家から出ました。

乗り継ぐ最後のバスになぜか乗せてもらえず、15分歩きましたが、余裕で試験開始時間前に到着しました。

会場前には、さもここで勉強してね、と言わんばかりにテーブルと椅子が用意されています。実際、施設内に入ると勉強できないと聞いていたので、試験時間までは会場の外で過ごします。すでに勉強している受験生も何人かいました。

(4) いよいよ試験へ

早くに受けた同期から、早めに着いたら早めに試験を受けさせてもらえる、と聞いていたので、試験開始の1時間前に施設内に入ってみることにしました。

入口にいるごつい黒人のおっちゃんに「MPREを受けに来た」、と言うと、「2階に行け」とのこと。エレベーターで2階へ。

2階に着くとPearsonの会場は左、と案内があるので廊下を左折。途中にトイレがあったので、用を足してからおそるおそる中へ。説明文っぽい紙を読んでいる受験生がちらほらいて、TOEFLの試験会場を彷彿とさせます。

受付にいる女性に「MPREを受けに来た」と話すと、「試験開始は何時?」と聞かれ、「17時」と回答。すると、あと20分後ぐらいに来てくれ、と言われる(16時10分ぐらい)。Pearsonからのメールでは、30分前に来るように、と案内があったのですが、実際の受付スタートも試験開始の30分前のようでした。

仕方なく20分時間を潰し、16時半ジャストにもう一度会場へ。「17時スタートです」と言うと、今度は試験の説明文と番号札を取るよう指示される。番号札は1番でした。

5分~10分くらいで、「1番の人~」と呼ばれました。説明文は読んで理解したか聞かれ、その後IDの提示を求められました。対応してくれたのが気さくなおばちゃんで、指示に対応すると、都度「awesome」とか「absolutely thank you」とか言ってくれる。好き…

その後名前の確認、名前のスペルの確認、e-sign、写真撮影などなどをこなし(完全にTOEFL)、ロッカー番号を言われ、荷物はパスポート以外全部入れるよう指示されました。ここで着ていたパーカーについても脱ぐよう言われます。

ちなみに、COVID-19感染拡大下なので、マスクの着用は問題なしです(むしろ必要?)。

ロッカーは小さいと記載されていた割には、パソコンを入れるリュックも平然と入るスペースはありました。キャッシュケースとかは流石に入らないとは思いますが。

いよいよ試験室へ。入る前に、パスポートの写真が開いたままジップロックみたいな透明な袋に入れるよう指示されます。その後身体検査、試験官を真似して、自分で服やズボンを上から触って、ポケットは全部ひっくり返して何も持っていないことを示します。

最後に何か言われ、適当にYesと言っていたら、耳栓を渡されました。多分耳栓が必要か聞いてくれていたんだと思います。結局使いませんでした、ごめんなさい。

ようやく試験室へ。中にはすでに試験を受けている受験生がいるので、静かに自分の指示された番号のパソコンの前へ。試験官がパソコンを操作し、座っていいよと促されます。

パソコンには、最初の説明文が映し出されていました。この説明文は、5分経つか、Nextボタンを押すと消えて、2時間の試験が始まる仕様になっています。

問題文にハイライトできる、ハイライトの色も選べる、フォントサイズも調整できる、などなどを軽く読んで、Nextを押して試験スタート。

1回回答した問題も、後で見直しのために飛ぶことができますし、見直したい問題にFlagを建てておくこともできました。

結果的には数分だけ時間を余らして、試験終了。

終了したら手を挙げて試験官が来るのを待ちます。試験室を出て、パスポートを取り出し、試験終了の紙をもらって無事終了。最後にロッカーから荷物を取り出し、試験会場を後にしました。

(5) 総評

結果が出たらまた追記しますが、すぐに正解の分かる問題から、あまり馴染みのない論点の問題まで幅広く出題されていたように思います。合格点のボーダーは高くないので、基礎をしっかりと身につけていれば受かるテストだと思いました。



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