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スタートアップと大企業の新規事業を経験して感じた違い

IVRy Advent Calendar 2021 【23日目】
資金調達のプレスリリースがあった翌日のバトンを渡されて、重圧に負けそうなみやP(わかる人にはわかるあだ名)が担当させていただきます。

自己紹介

株式会社IVRY(旧Peoplytics)に2021年春ごろから営業戦略や資金調達戦略の議論に参加させてもらい、ゆるーくお手伝いをしておりましたが、今後は事業展開や組織作りでサポーターとして参画するみやPです。ノートも初デビューで様々な経験ができて新鮮さを毎日感じています!

今回書きたいこと

何を書こうか迷いましたが、直近何社かのスタートアップの資金調達や新規事業をお手伝いさせていただくとともに、自身の経験としての大企業での新規事業と照らし合わせて感じた違いについて徒然に書きたいと思います。これはどちらが良いとか悪いとか、どちらが正しいとか正しくないとかを論じたいのではなく、ただ未熟な自分が感じていることなので、そこだけはご容赦ください!

スタートアップと大企業の新規事業の違い

もちろん多くの違いを学び、それぞれの楽しさや難しさを感じましたが、その中でも

①決裁者を選べるかどうか
②バックオフィスが整っているかどうか

が特に新しい学びとして違いを感じました。

①決裁者を選べるかどうか

 まずスタートアップですが、VC・CVCは本当に多く存在するのだということをまず知りました。全部でリストアップすると600社程度になりました。何社かお会いすると、得意領域が異なっていたり、信念が異なっていたり、フィードバックの内容も具体的だったり抽象的だったり。あるいは、トップダウンで決められるところもあれば、稟議を上げて合議的に決めるところなど本当に様々ありました。
 現在は資金が潤沢だが投資先が少ないというような状況のようで、比較的会うだけであれば容易に会ってくれますし、比較的資金調達もしやすいように感じました。

 大企業はというと流行りのDXなどの言葉もあり新規事業部を立ち上げる企業も増えるなど新規事業への投資熱も上がってきているようで、様々な場所で新規事業への取り組みが目に付くようになってきています。そのような中で、大企業で新規事業を起案・推進するには必ず通らないといけないのは経営陣による決裁を勝ち取るということです。
 もちろん、昔よりは失敗に寛容になってきており、IR的にも新規事業が必要なため稟議は通しやすくなっているかもしれませんが、生え抜きの経営陣で仮に構成されている場合にはどうしても既存ビジネスの考え方やコンサルから言われたことを信じる決裁をしがちです。一番のデメリットは基本的には決裁者を変えることはできないと言うことです。

 スタートアップはプロダクトが一定出来上がっていれば、VCを選択できるため、決裁者(資金面での)を選ぶことができます。それはつまり、自身の考え方やビジネスの可能性にマッチする人を探すことができるため”やりやすい人”を選ぶことができることを意味しています。一方で、大企業の場合は決裁者を変えることができません。よって、会社の方針や経営者の方針と異なることは絶対に通らないということになります。
 要するに、スタートアップは資金提供をしてくれる人が見つけやすく”やりたいことができる確率が高い”と言えるかと思います。大企業は”方針が大前提となり、方針と合わない場合はやりたいことができない”と言うことになります。

 逆に、VC巡りをして感じたことは、それぞれの個性が違うがゆえにそれぞれのレビューポイントやフィードバック内容が非常にブレます。また、難しいプロダクトであればまず理解してもらうことに労力が必要となりますので説明コストが多大にかかる場合があります。さらには理解した風味の方々もいらっしゃって「SaaSとはxxx」とご高説をいただけるのですがサブスクの説明をひたすらされていると言うことも多々起きるため非常に疲弊します。なので、運が良ければすぐに良い人と出会えますが、出会うまでには相応の労力が必要となります。
 大企業においては事業方針や経営者の方針は形式知となっていることが多く、どうすれば起案が通せるのかを熟練した方々もいらっしゃり、比較的説明コストは抑えられて決裁を得ることができます。

 スタートアップはVCと言う決裁者を自由に選べる代わりにその人に出会うまでは労力が必要となるケースがある。大企業は方針さえ合えばスムーズにプロダクトを実現できるが、方針が合わないと一生実現できないと言うような特徴があると感じました。

②バックオフィスが整っているかどうか

 これはスタートアップはその後の命運を分けるぐらい大事なことなのではないかと最近強く感じている部分です。

 大企業は職能組織がとても整備されており、機能しています。なので、人事や労務、経理、財務、総務などなど業務プロセスもしっかりしており、多くの人は例えば、経理処理がどんなことがされているかわからないけど決められた手順で出張の経費処理が行えているかと思います。大企業にいる人にとっては当たり前のこの環境ですが、初期のスタートアップにはこのような組織構築が完了していません。なので自身でそれぞれ頑張るか、ものすごいスーパーマンがバシバシ対応をしてくれると言うことになります。

 バックオフィスが整っていないスタートアップ最大のデメリットは、プロダクトにできる限り時間を割きたいのに、それ以外の業務設計や業務対応にひたすら時間と労力を割かれることです。これは組織の人数が増えるほどやることも増えるため、限られた資金と時間でプロダクトを成長させなくてはならない立場からすると絶望的な状態となります。一方、これらを対応してくれるスーパーマンが市場にいるかというとなかなかいません。カオスな状態に秩序をもたらすには相当の経験と覚悟が必要になる中で、そのようなキャリアを積んでいる人がそもそも少ないからです。採用ができない中で組織の人数だけ増えていくとおそらくプロダクトを磨くどころではなくなり、次の資金調達を迎えなくてはいけないリスクが発生します。

 大企業はというと新規事業を立ち上げると、担当メンバーのアサインには”新規事業に良い人材を割く”や”エース級は割けないが、期待人材を配置する”など人材方針にもよりますが、大抵の場合バックオフィスは既存の機能をそのまま活用することができます。経理処理が不安になれば経理に聞けば良いし、契約書を結びたくなれば法務にお願いして対応してもらえます。そういった意味では、新規事業メンバーはプロダクトに集中できる環境が既に整っています。

 大企業のバックオフィスが良い面ばかりかと聞かれれば、そうではありません。特に法務などは新しいことをやる際に、少しのグレーも許容してもらえない場合には悲劇になると思います。逆にスタートアップであれば、バックオフィスの人材採用からスタートするので、文化づくりから始められます。攻めるバックオフィスも実現可能です。

 バックオフィス機能は蔑ろにされがちに感じますが、組織が大きくなり社会的責任が増したり、上場する頃にはそれに耐えうる組織になっていることが条件になっていることもあって、このような機能は欠かすことのできない存在です。近年のスタートアップは資金調達は比較的容易になっていますし、給与も多く出せる企業も増えてきてエンジニアの採用などはしやすくなっていますが(勿論高騰しすぎて難しくもなっていますが)、このバックオフィス人材は容易には採用できません。数年先には規模の大きい資金調達をしたがバックオフィス機能が十分でなく組織が崩壊している企業が増えているのではないか、、、勝手ながら心配してしまいます。

 スタートアップは組織づくりを根本から行う必要があるため、良い人材を採用できない限りはプロダクトに向き合う時間を削るリスクがあります。一方、既得権益化した組織はないので一から組織をデザインできます。大企業は新規事業を立ち上げるときには、既にあるバックオフィスのサポートをい受けて、スケールを前提にした準備をしながらプロダクトに向き合う時間を多く作れます。ただし、万が一、チャレンジを阻害するようなバックオフィス組織文化となっていれば新しいチャレンジは難しくなると言うことを感じました。

まとめ

 つらつらと書いてしまいましたが、すごく感じたことは。よくスタートアップの方が大企業よりも新規事業がしやすいなどの話を聞き転職や企業以降持つ人がおり、エージェントなどもそれをフックに紹介などをしていたりますが、必ずしも現実はでそうではないなと思いました。記事では華やかなスタートアップであっても蓋を開けてみると組織が瓦解している可能性もあります。
 大企業の新規事業の方が余計なバックオフィス業務や組織作りのリスクがないため、プロダクトに向き合った環境が整えられていると言えるかもしれません。もちろん、経営者がそもそも新規事業に対する意識が低ければ、新規事業がやりたい人は早くやめた方が良いかもしれません。
 スタートアップでも、大企業でも新規事業というものは本当に大変です。失敗する確率は一定ありますし、決裁者からの質問攻めにもあい、全員が敵に見えることもしばしばあります。

 新規事業をやりたいと言う人は多くいますが、結局は「自分が何をしたいのか」、「自分がしたいことをできるところはどこなのか」ということをかなり解像度を上げて転職や起業をしないといけないと言うことを強く感じました。スタートアップの良い面も悪い面もありますし、大企業の良い面も悪い面もあります。少なくとも自身に合っていない会社に居続けることは不幸ですし、将来的なリスクも多くあるように感じます。もし、転職や起業を考えている人は、私の感じたようなことをもっと詳しく感じている人が世の中には多くいると思いますので、捕まえて話を聞き、素敵な自己実現を達成していただければと思っています。

余談

 では、IVRYはどうなのでしょうか。資金調達の詳細までは聞けなかったですが、横目で見ていて感じたのは、

①素敵なVCにすぐに出会えたことによって、社長のプロダクトへの時間投資が増やせることとなった
②バックオフィス問題についてのアドバイスを多く受けて、スケールを意識した組織設計ができそう
③何より社長と関わっているメンバーが生き生きと楽しそうにプロダクトと組織作りに邁進している環境が整っている

と言う点です。
このプロダクトと会社はこれから本当に伸びると強く感じることができています!新規事業をやってみたいと言う人、転職を考えている人、大きく成長したいと考えている人、是非とも話を聞きにきてください!!!

以上、乱文失礼いたしました。少しでも何かのお役に立てれば幸いです。


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